梅雨時の湿気が身体に纏わり付き、吸引力をにわかにそなえた肌が冷たいシャワーを求めていた。
バーゲンの応援に出て一週間、慣れない立ち仕事で脚がパンパンになっていた。
並木道のネオンが点灯し、人々を誘惑しはじめる夜の入り口に差し掛かった頃、タイムカードを押して会社を出た。
冷たいビールを流し込みたい衝動にかられるが、後ろ髪を引っ張られながら、なんとかBARではなく丸の内線の扉をくぐった。
産後子供達を連れ実家にお世話になっていた妻が子供達をつれて実家から帰ってきてる。
今日は朝早くから正太郎は保育園に行っている、疲れてスヤスヤ寝てるかもしれない、そっと帰って寝顔を見てからゆっくり風呂に浸かろう、風呂あがりに冷たいビールを飲んで足裏に休足時間を貼り、読みかけの小説を最後まで読んで寝る、自宅のマンションの入り口に着くまでに今日の過ごし方が決まっていた。
マンションのオートロックを開け廊下を歩いていると、赤ちゃんの泣き喚いている声が聞こえてきた。
そして、2秒後には走り出していた。
自宅の鍵を開け中に入る、妻が二人の子供を風呂に入れていた、いやがる正太郎の頭を洗い、桃華はベビーチェアーで泣き叫ぶ、まさに戦争真っ只中だ。
すぐに鞄を置き桃華を抱っこした、あやしながら泣き止むのを待つ。
正太郎の洗髪が終ったのか、桃華を連れてきてとバスルームから妻の声が聞こえる。
風呂あがりの正太郎の身体をふき、綿棒で耳掃除をし、着替えさせ、麦茶を飲ませた。
一息つく間もなく、桃華とミルクを渡され、ミルクを飲ませ、ゲップをさせた。
正太郎とシール遊びをしながら夕飯を食べ、毎日会っているのに悩み事の手紙を置いていく母親の手紙を読み、妻が正太郎を寝かしつけている間に手紙の件について母親の長い話を電話で聞きながら食器を洗った。
子供達が眠り、日付がかわった頃、母子手帳のコピーや保育園の用意など早口で妻が喋り出したが、ファイルオーバーでサーバーがダウンしたように私はソファーに沈みこんだ…