かつてこれこそ真実だと思っていたものが、今では間違いだったと思う。かつてこれこそ自分の変わらぬ信条だとしていたものが、今では少しちがうと思う。
それを、自分は若かったとか、浅かったとか、世間知らずだったと断じて葬らないほうがいい。なぜならば、当時の自分にとっては、そう考えたり思ったりすることが必要だったのだから。当時の自分の段階にあっては、それが真実であり信条だったのだ。
人間は常に脱皮していく。常に新しくなっていく。いつも新しい生に向かっている。だから、かつて必要だったものが、今は必要ではなくなったにすぎないのだ。だから、自分を批判していくこと、人の批判を聞いていくことは、自分の脱皮をうながすことになるものだ。さらなる新しい自分になるために。
悦ばしき知識
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ