タクシー | Get up-joe. Stand up-joe!

Get up-joe. Stand up-joe!

How many ways do you know to free yourself ?

実家から雪が積もってるため車が出せないと連絡が入った
最寄り駅でタクシーを拾いしょうたろうを迎えに行く事にした
タイムカードを押し会社を後にする
今年はほんとに雪が多い

最寄り駅に到着しタクシー乗り場に急ぐ
階段を下りきらないうちにタクシー待ちの行列が見えてきた
しばらくタクシーが来る頻度を確かめる
タクシー待ちの人数をざっと数え計算する
1時間24分9秒
すぐに自宅に向け歩き出した

街道は路面に雪はないが横道にそれると真っ白だ
実家の近くはあまり車通りがないうえ急な坂道がある
チェーンを巻いてから迎えに行く旨実家に電話を入れた
しょうたろうがパパと叫んだのが聞こえた
私を待っている

駐車場に着きトランクを開ける
チェーンを探すが見つからない
寒さで手の感覚がなくなっていく
もう一度探すが見つからない
先週三月になったからと思いチェーンを片付けた事を思い出す
ファック
ファック ファック ファック
大声で叫んだ
何度も何度も叫んだ

かじかむ手で煙草に火を付けた
大きく煙りを吸い込む
諦める訳にはいかない
投げ出す訳にもいかない
しょうたろうが待っている

傘を拾いトランクを閉めチェーンを取りに自宅に向かう
マンションの入り口に入ろうとした時

隣のマンションから一台のタクシーが出てきた
傘を投げ捨て走った
雪で足を取られバランスを崩しながら両手をふり走った
音が消えスローモーションでゆっくりタクシーが停車した

運転席にジェスチャーで待って欲しいと告げ傘を拾いに戻る
タクシーに乗り込み実家の位置を告げ

止まってくれた事への感謝の言葉を口にする
後部座席に身を沈め窓から外を眺める
街灯に照らされた雪が桜の花びらのように舞っていた