堀江貴文 新興ネット企業・ライブドアに東京地検特捜部の強制捜査が入り、ホリエモンこと堀江貴文社長が窮地に追い込まれている
今朝の各紙のコラムも、主要紙ほぼ全部がライブドアのことを取り上げているが、このうち「光クラブ事件」の山崎晃嗣をホリエモンと比して書いているのが産経の「産経抄」だ


コラム子は「私は法律は守るが、モラル、正義の実在は否定している。合法と非合法のスレスレの線を辿(たど)ってゆき、合法の極限をきわめたい」という山崎晃嗣の語録を挙げ、ホリエモンの「日ごろの言動とよく似ている」と指摘している


青の時代 白昼の死角 さらに「産経抄」では、山崎晃嗣をモデルにした三島由紀夫青の時代」や高木彬光の「白昼の死角」についても触れている
三島の「青の時代」は先日読んだばかりだ し、高木の「白昼の死角」もすでに読んでいる私には、今回のライブドア事件がまるで「光クラブ事件」をなどっているような気がしてならない

しかも私自身、ライブドア株で多少の利益を上げ、今も若干の株を持っている(追記:その後、すべて売却)

その破竹の進撃ぶりに時代を変革する若者の姿を見て、ホリエモンとライブドアを応援していただけに非常に残念である


三島は「青の時代」の冒頭、この作品で「偽者の英雄譚」を書きたいとしていた
「偽者の英雄」と規定された山崎晃嗣は「産経抄」にあるがごとく、戦後の「反社会的で無責任な若者たちをさす『アプレゲール』そのものの生き方」だった


ホリエモンもまた、バブル崩壊後の経済混乱期から生まれた「アプレゲール」だったのだろうか
柳田邦男が指摘するように、彼は「拝金主義を蔓延」させた張本人だったのだろうか(そういえば、ホリエモンは「人の心も金で買える」と言っていた)


失望の念を込めて、ホリエモンにあえて言いたい
君もまた山崎晃嗣のように「偽者の英雄」だったのか、と


●(以下引用)………………………………………………………………

産経抄(平成18(2006)年1月18日[水])
 堀江貴文社長を論じるとき、しばしば比較されるのが、戦後の混乱期に「光クラブ事件」を引き起こした山崎晃嗣(あきつぐ)という人物だ。昭和二十三年、東大在学中にヤミ金融「光クラブ」を設立。商店主らに高利で金を貸し付け、事業を急拡大させて世間を驚かせた。

 ▼反社会的で無責任な若者たちをさす「アプレゲール」そのものの生き方は、三島由紀夫の『青の時代』や高木彬光の『白昼の死角』のモデルにもなる。

 ▼「私は法律は守るが、モラル、正義の実在は否定している。合法と非合法のスレスレの線を辿(たど)ってゆき、合法の極限をきわめたい」。山崎が残したこんな語録は、確かに堀江社長の日ごろの言動とよく似ている。

 ▼昨年の「文藝春秋」五月号で、柳田邦男さんはそれぞれの時代背景に注目していた。敗戦と、第二の敗戦といわれたバブル崩壊は、人々の価値観を揺さぶり、社会は慎みを失って、拝金主義を蔓延(まんえん)させた。そんな「大変動の中から生まれた時代の申し子」だという。

 ▼結局山崎は、物価統制令違反などの容疑で逮捕され、それがきっかけとなって事業が破綻(はたん)し、青酸カリを飲んで自殺する。経営するライブドアが、証券取引法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた堀江社長は、この危機を乗り越えることができるのか。

 ▼保阪正康さんの『真説光クラブ事件』(角川書店)によれば、山崎は新聞や立て看板を使った派手な広告で顧客を集めた。一方の堀江社長は、自らが広告塔となり、にぎやかな話題を振りまいてきた。きのうの東京株式市場でライブドアグループの株は軒並みストップ安となり、時価総額は約千五百億円減少した。これまで堀江社長をもてはやしてきた一部メディアの「風説」は罪に問われないのか。


◎堀江貴文氏の写真は以下より引用http://news.goo.ne.jp/news/specials/2004/review/detail/human/det_human_horie.html