AMAZONの商品を閲覧しているうち、DVDレインボーマンに目が留まった。お勧めコメントに、”大人は見るべし。安いし。”とあり、ふらふらと購入した。

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配達されると、さっそく視聴。レインボーマン!の叫びの後、懐かしい主題歌が流れる。

♪インドの山奥で 修行して~ ここ、替え歌で歌ったなあ。♪インドの山奥でっ歯のおじさん ガメラを倒してたんこぶできたとサンポール 意味不明。この替え歌はどうやら各地方に別バージョンがいくつかあるらしい。このバージョンはたしか転校生の友人から教えてもらった。(どこ出身だったか覚えてない)

愛の戦士レインボーマン(このタイトルからすごいね)は197210月から1年間放映された。変身ヒーローものの中でも異色の作品である。

 

敵の設定がものすごく、大人は見るべし、というより子供に見せられんだろこれ。

”死ね死ね団”・・・ボスはミスターKといい、戦争中、日本軍に両親を殺され、自身もひどい仕打ちを受けた過去があり、そのため日本人をひどく憎んでいる。そして”日本人を一人残らず地球上から抹殺すること”を目的とする死ね死ね団を結成する。

 

対するヒーロー、ヤマトタケシ(名前・・・)は東京の下町で料理店を営む母と、足が不自由だが、お金がなく、治療が受けられない妹と暮らす、二人兄弟の長男。妹の手術代を稼ぐため、レスリングのチャンピオンを目指すが、お前のレスリングは野蛮だといわれ、部から除名されてしまう。そこでヤマトタケシは無敵のチャンピオンを目指すため、先輩に勧められ、インドの大聖者ダイバダッタの修行を受けに、インドに旅立つ。(そもそもこの設定が不自然な気が・・・)

 

物語はいきなり戦争シーンから始まる。折しもインドとパキスタンが戦争中。その修羅場に現れ、兵隊に捕まり、尋問される。パスポートを見せ、”おれ、ヤマトタケシ。18歳。東京は浅草で育った、江戸っ子だよ~” 大丈夫か~あんた。

ヤマトタケシは兵隊に射殺されるが、何ゆえかダイバダッタに助けられ、生き返る。

ダイバダッタに、日本から運命の男が尋ねてくるというお告げがあり、150年待ち続けていたのだという。

その後タケシはそれはそれは厳しい修行をして、ついにレインボーマンに化身できるようになる。同時にダイバダッタの寿命が尽きる。

 

この後お金を稼ぐため、賭け試合に出場するためマカオに行く。そこでタケシは死ね死ね団と出会い、物語では2年に渡る死闘を繰り広げることになる。

 

  このドラマは、関東では15%、関西では20%と今の朝ドラ並みの高視聴率を取った。

当時私は小学2-3年であった。ずっと毎週見ていたが、このDVDを見るまで、ストーリーは全く忘れていた。お子様には難解すぎる。正義のヒーローはたいていMATだの公害Gメンだの、悪と闘う組織に属しているが、タケシはただ一人である。しかも、毎回違う怪獣や怪人と戦う従来の変身ヒーローものと違い、秘密結社とヤマトタケシ、黄色い豚、どぶねずみである日本人を抹殺しようとする集団とただ一人で戦う愛国心あふれる大和男児の物語なのだ。

死ね死ね団の作戦もすごい・・・キャッツアイという、飲んだら凶暴になり、暴れだし、最期には自分を死なせてしまう薬を飲ませて日本人皆殺しを図るが、一日目の作戦会議。ミスターK”一日かかって一ダースしか殺せないとはなんたることだ!”しゅんとする男性隊員。日本人の一日の出生数は?”はい、約5000人です”と女性幹部。”聴いたか、これでは我々が一生かかっても日本人を皆殺しにできないじゃないか!”あの~作戦に根本的に誤りがあるのでは・・・

第二部の作戦は偽札を大量に作って、日本にハイパーインフレを起こそうというもの。

おたふく会という新興宗教が登場する。(なんと入信するだけでお金がたくさんもらえる!)子供心にも、変わった悪の組織だなあ、と思っていた。

ちなみに、死ね死ね団は男性は素顔を見せず、あのトラウマになりそうなマスクをかぶっているが、女性幹部は素顔で、美女ぞろいである。

この集団、まるで40年後の世界を予言していたかのような気もする。

 

これでは、当時のお子様がストーリーを覚えていない(というより理解できてない)のも当然である。それでは僕らはなぜこのドラマを毎週楽しみに見ていたんだろう。

 

  レインボーマンの設定に尽きるだろう。ヤマトタケシからレインボ-7(太陽の化身)になり、作戦に合わせて、月火水木金土の化身に再度変身できる。鉄を焼ききって牢から脱出する時ダッシュ2、火の化身に、消火の際はダッシュ3、水の化身にチェンジ、という具合。番組の翌日は”昨日はダッシュなになにになった”というのが学校での話題だった。

 次に変身するときに唱える呪文。アノクタラサンミャクサンボダイ・・・と3回繰り返し、レインボーダッシュ7!あのシーンは格好良かった。この呪文は阿耨多羅 三藐三菩提と書き、仏教の経典にあるそうだ。

 それから変身ヒーローは、超能力をどこから得ているか、エネルギー論が示されているのがお約束である。ウルトラマンは太陽光、仮面ライダーは風、アイアンキングは水、バロム1はなんと友情!

レインボーマンのエネルギーは眠り、である。レインボーマンに化身して一定時間活躍した後、強制的に5時間の”ヨガの眠り”に陥る。この5時間は無防備状態で、敵に襲われたらひとたまりもない。敵も第一部の途中でこの秘密に気づき、わざとエネルギーを消耗させる目的の襲撃後、眠りの最中のタケシを襲うというような作戦を幾度もかける。この設定は子供にもわかりやすく、スリルを感じた。

 ナレーションが納谷悟郎の味のある声。これも○。

 この作品は一年で終了したが、最期まで視聴率はよく、打ち切りになったわけではないようだ。1972年は改めて、いろいろなものが移行していく過渡期のような年だ。流行歌だのドラマにそれが現れる。この作品もその一つだろう。

 

 最期に、詳しくは触れないが、エンディングの3曲。ヤマトタケシの歌、あいつの名前はレインボーマン、死ね死ね団のテーマはどれも名曲だが、特に後2曲は過激すぎて、こんなの公共電波で流していいのかーという内容だ。若気の至りでカラオケでこのうち一つを歌ったら、場の雰囲気がシーン・・・となってしまったことがある。(汗)