楽園
最近、
こうして歌詞を見ながら、CDを聴くって機会が、
めっきり減ってしまいました。
あ!あの曲聴きたい。
あの人のニューシングルが出た!
なんて、CDを買うのが当たり前だった時代は、
その存在すら危ぶまれるほどに、
今となっちゃあ、遠い過去の話だったりして。
久しぶりに、
しかもアルバムでないものは、本当に久しぶりに、
こうして手元にCDがあって。
歌詞カードなんぞを開きながら、
ちょっとひたって聴いてみる。
メレンゲというバンドの『楽園』というCDです。
なんかね、
人っていうのは、
過去にしばられたり、未来の不安にとらわれたりして、
今ここにいれないと、
幸せを実感するのが、とても難しくなるでしょ。
とは言え、
頭ではそれをわかっていても、
過去や未来に氣持ちが揺らいでしまうのが、
人ってやつだったりするわけで。
そんなね、
上手に今にいれない感じが、この曲からただよってきたよ。
このPVには、宮本りえちゃんが出てて、
台湾で撮影されたそれは、
この曲の持つ雰囲気をとてもいい感じで増幅させているのであります。
テーマは、
“優雅に華麗に旅する女性ひとり旅”
って、書いてあるところを見ると、
私の見解は大きくはずれてるのかもしれないけど、
音楽は音を楽しむと書くわけで、
私は私の感じたままに感想をひとつ。
それは手が届く距離にあるのに。
手を合わせてすくおうとすると、
指の間からすり抜けてしまう。
目の前にあるのに、
どんなに強くつかもうとしても、
するりとこぼれ落ちてしまう。
そんな感じのせつなさ。
台湾って土地が余計に、
まぁ、私がだいぶ前に行ったにもかかわらず、
知ってる場所が出てきたりなんかした懐かしさも含めて、
そのノスタルジーが、
今ではないどこかを連想させて、
今っていう存在が遠くなる。
ここにいるのに。
こんなおしゃれな音楽の、こんなおしゃれなPVから、
勝手に、人が人たるカケラを、ひろってみたりなんかして。
ノスタルジーってのはさ、
絶対的な普遍性みたいなのがあるくせに、
とても不確かでさみしい。
上手に今にいるくらいなら、
不器用に永遠を生きたい。みたいな。
なんかそれって、人のゆらぐ心みたいで。
時間は間違うことなく同じ間隔で刻んでるはずなのに、
こんなにも瞬間ごとに体感が違うのに似てる。
そんな瞬間を1つの曲に閉じ込められたら、
とてもステキね。
こうやってじっくり曲を聴くという行為自体、
なつかしい作業だったからなのか、
台湾って土地がそうさせるのか、
はたまた、素直にこの曲のもつチカラなのか…
かけちがえたボタンくらい、
ちょっとだけ今からずれた場所につれてかれた氣がしたよ。
そして、そのタイトルが『楽園』というのも、
なんともやられるわけであります。
ああ、あの場所を、楽園と呼んでしまいますか。
ってね。