★ゆかっちの場合⑤★
院内学級の先生と本来校の担任との打合せの結果、ゆかっちが学校に行くのは、その2日後の3時間目と4時間目となりました。外泊で家に帰る前に、学校に寄ることになったのです。
当日は、ゆかっちと院内学級での担任、私の3人で学校に向かいました。ゆかっちは、マスクをして帽子をかぶって行きました。
クラスでは、その2時間を使って、ゆかっちを迎えるお楽しみ会をしてくれました。ゆかっちはゲストという感じで、みんないろんな出し物を考えてきてくれていて、みんなの気持ちが伝わってきました。ゆかっちもみんなに会えて、楽しい時間が過ごせたし、私もきちんとけじめがつけられて、よかったと思いました。
復学の予定はまだ先ですが、これでかなり気持ちが楽になったのではないでしょうか。
帽子をかぶっていたので、髪の毛が抜けていることはわからなかっただろうし、教室に入っても帽子を脱がないことを指摘する子もいませんでした。気にしていたことが何もなかったので、ほっとしたものです。
後日、クラスメートのおかあさんから、子ども達がゆかっちが学校に顔を出したのでみんなとても喜んでいたこと、そして、ゆかっちが学校に行く前に、担任からみんなに話があったことを聞きました。
「ゆかっちが今度学校にみんなに会いに来てくれることになったこと。治療はうまくいったけれど、ゆかっちは、髪の毛が抜けていて、それをとても気にしていること。それが自分だったら、どう思うか。」と、クラスのみんなで話し合ってくれたそうです。
その結果、
「髪の毛のことは、なにも言わない。
他のクラスの子がからかったりいじめたりしたら、自分たちがゆかっちを守る。」
ということになったそうです。
なんて嬉しいことなんでしょう。みんな、知ってたんやね。ありがとう。ありがとうね。当日は、3時間目が始まってから学校に着き、4時間目が終わるまでに教室を出たので、他のクラスの子どもと会うことはなく、トラブルもなかったのです。でも、クラスのみんながそう思っていてくれたことが、とても嬉しかったです。
きちんと話をして下さっていた担任の先生にも、感謝です。
学校に行く気になった手紙の中で、代理の担任が書いて下さっていたのですが、
「今日国語の時間に、○という漢字を教えました(この字は、ゆかっちの名字の中にある1文字です)。黒板に書いたら、みんな口々に、「ゆかっちちゃんの字や。」と言っていました。」
とあったのを読んだときに、ありがたいと思うとともに、このクラスの子ども達は、とても素直でいい子達やなと思ったのですが、本当にその通りでした。
ありがとう、みんな。あんた達は、優しくてとってもいい子達やで。