2003年11月6日(木)
T先生に書いてもらった紹介状を持って、K大病院に行きました。
トムさんは、午前中は外で打合せなので、帰りに病院で拾ってもらおうという安易な考えで、バスで行きました。
バスにはすわれたのですが、病院が近づく頃、しんどいと言い出したゆかっち。バスを降りてもしんどくて歩けないというので、おんぶしたのですが、これがまた重い!
バス停から病院までは3分くらいですが、とても長く感じられました。しかし、病院の敷地に入っても、玄関まで距離があり、玄関を入るとまた受付までと、ものすごく大変でした。病院の中に入ってからは車椅子を使えば良かったのですが、車椅子のくの字も頭に浮かびませんでした。玄関横に外来患者用の車椅子もたくさん置いてあるのですが、このときは目に入らなかったですね。
初診受付も結構混んでいました。自分たちもですが、たくさん初診の人がいるなぁ、みんななんの病気かな、しんどいのかな、大丈夫かな、とわりとのんきに考えていました。
受付を終え、3階の小児科外来をめざして、近くにあったエスカレーターに乗りました。そして、2階に上がって、3階へのエスカレーターに向かおうと2歩くらい歩いたところで、げーっとゆかっちが嘔吐してしまったのです。
ここまで状態が悪かったことをどうして見抜けなかったのか。何度も書いてますが、本当に情けない親です。頭の中は、もう真っ白け。
今朝は食欲がなく、ミニあんパンを半分とお茶を少し飲んだだけだったので、それほど量は多くなく、また、何度も嘔吐することはなかったのですが、しゃがみこんで動かないゆかっち。少し先に内科の受付カウンターがあり、病院職員の人がいるのが目に入ったので、「人を呼んでくるから、待ってて。」と言って立とうとしたのですが、「行かんといて」と、ゆかっちは私の腕をしっかりつかんで離さないのです。
心細いのはよくわかるけど、それじゃどうしようもない。一体どうしたらいいのか…。どうしよう、どうしよう…。
私のすぐ後ろにはエスカレーターがあり、ゆかっちと私がしゃがんでいる後ろをたくさんの人たちが通り過ぎていきます。でも、だれも声を掛けてくれる人がなく、私は途方に暮れてしまいました。私たち二人だけが、取り残されたような感じがしました。
そこへ、ああ、神様っているんですね。1人の男性が、「どうかしましたか?」と声を掛けてくださったのです。たぶん内科で順番を待っていた患者さんでしょう。
「子どもが吐いてしまって…。」と言うと、「じゃあ、誰か呼んでくるから」と、看護師さんを連れて来て下さいました。
地獄に仏とは、このことですね(神様って書いたけど)。
看護師さんはゆかっちを見て、車椅子を持ってきて下さいました。「汚してすみません。」と言うと、「いいのよ。あとで掃除しますから。」と言って、一緒に小児科外来までついてきて、小児科の看護師さんに事情を説明して下さいました。
数日たって落ち着いてからよく考えると、私はあの看護師さんを呼んできてくれた男性に、お礼を言ってないような気がするのです。たぶん、言ってないと思います。
看護師さんが来られてからは、男性は自分の役目は終わったという感じでこちらにはもう近寄ってこなかったように思います。私もゆかっちのことで頭がいっぱいだったので余裕がありませんでした。失礼なことです。仏様なのに。その上、顔を忘れてしまったので、今会っても誰だかわからないです。重ね重ね失礼なことです。
ごめんなさい。あのときの方、本当に本当にありがとうございました。しっかりお礼が言えずに、申し訳ありませんでした。とても感謝しています。