ドバイ万博(2020年、実際は2021年10月1日~2022年3月31日開催)と大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日開催)を、複数の観点から比較してまとめます。以下は、開催概要、規模、来場者数、経済効果、テーマや特徴、運営面、課題などに基づく比較です。
参考サイト
https://goldendubailife.com/osakadubai/
1. 開催概要
• ドバイ万博:
◦ 開催期間: 2021年10月1日~2022年3月31日(182日間)
◦ 場所: アラブ首長国連邦(UAE)、ドバイ
◦ テーマ: 「Connecting Minds, Creating the Future(心をつなぎ、未来を創る)」
◦ 特徴: 中東・アフリカ地域初の登録博。COVID-19の影響で1年延期。192カ国・地域が参加し、過去最大級の参加国数。
• 大阪・関西万博:
◦ 開催期間: 2025年4月13日~10月13日(184日間)
◦ 場所: 日本、大阪市夢洲(人工島)
◦ テーマ: 「いのち輝く未来社会のデザイン」
◦ 特徴: アジアで1970年大阪万博以来の大型登録博。159カ国・地域の参加が予定(2025年3月時点)。
2. 規模と会場
• ドバイ万博:
◦ 会場面積: 約438ヘクタール(4.38平方キロメートル)。広大な敷地を活用し、個性的なパビリオンが特徴。
◦ パビリオン: 192カ国が独自パビリオンを設置する「一国一館」制を初導入。Al Waslドーム(世界最大の360度投影ドーム)など大規模施設が話題に。
◦ インフラ: ドバイメトロ(無人全自動鉄道、三菱商事など日本企業参画)などアクセスが充実。会場は万博後も90%が再利用され、「ドバイサウス」として住宅やオフィス街に発展。
• 大阪・関西万博:
◦ 会場面積: 約155ヘクタール(1.55平方キロメートル)。ドバイの約3分の1の規模。
◦ パビリオン: 180以上のパビリオンを予定。海外パビリオンは米国(宇宙体験)、英国(積み木デザイン)、UAE(ナツメヤシをテーマにしたイマーシブ体験)など個性的。
◦ インフラ: 既存の埋立地を活用し、インフラ整備費を抑制。会場へのアクセス道路や交通網の整備が課題に。
3. 来場者数
• ドバイ万博:
◦ 実績: 約2,410万人(目標2,500万人にやや届かず)。コロナ禍での開催にも関わらず、順調に集客。開幕後5.5週間で約294万人。
◦ 特徴: 18歳未満・60歳以上無料など太っ腹な価格設定が集客を後押し。バーチャル来場者も約2億5,000万人
• 大阪・関西万博:
◦ 目標: 総来場者数2,820万人(1日平均約15万人)。
◦ 初動実績: 開幕初日(2025年4月13日)に14万6,426人、7日間で64万人。ドバイ万博の同時期より好調なペース。
◦ 課題: 開幕3カ月前の入場券販売が目標の半分にとどまるなど、集客への懸念。SNSや口コミでの盛り上がりに期待。
4. 入場料
• ドバイ万博:
◦ 比較的安価(具体的な金額は資料に未記載だが、18歳未満・60歳以上無料など柔軟な価格設定)。
• 大阪・関西万博:
◦ 大人1日券7,500円(早期割引あり)。愛知万博(4,600円)やドバイと比べ割高との批判も。
◦ 例: 愛知万博の大人入場料は約4,600円、上海万博は約2,400円(当時)。
5. 経済効果
• ドバイ万博:
◦ 試算: 約3兆6,000億円。観光業やホテル業が活性化し、UAEの2021年GDP成長率3.8%、2022年第1四半期8.2%に貢献。
◦ ビジネス: 1,500以上の法人向けミーティング、130カ国から2万5,000人以上が参加。ドバイ商工会議所が98件のビジネスイベントを開催。
• 大阪・関西万博:
◦ 試算: 約2兆円。ドバイより控えめだが、インバウンド需要やスタートアップの技術展示に期待。
◦ ビジネス: スタートアップや日本企業の技術発信の場として期待。ドバイのビジネスミーティングを参考に商談機会を拡大予定。
6. テーマと展示内容
• ドバイ万博:
◦ テーマ: モビリティ、サステナビリティ、機会の3つのサブテーマ。各国パビリオンはテーマに沿った展示(例: サステナビリティパビリオンのエナジーツリー)。
◦ 特徴: テーマパーク的な要素が強く、DPワールド館の水を使った視覚ショーや、スタンプラリーが人気。コロナ禍での開催を意識したAIロボットによる感染対策も話題。
◦ 日本館: 「Where ideas meet(アイディアの出会い)」。課題と解決策を両面で見せる展示が好評。
• 大阪・関西万博:
◦ テーマ: 持続可能な未来社会の共創。パビリオンは「いのち」を軸に、医療・宇宙・環境技術を強調。
◦ 特徴: 開発プロセスや2030年の未来像を展示し、ワクワク感を演出。共創プログラム「TEAM EXPO 2025」で市民参加を促進。飲食施設約100店舗で世界の料理を提供。
◦ 日本館: 夢洲会場模型や大型スクリーンで未来社会を訴求(ドバイ万博でのPRブースが原型)。
7. 運営と課題
• ドバイ万博:
◦ 成功要因: 徹底したコロナ対策(ワクチン証明や無料PCR検査、AIロボットによる消毒)。アクセスの良さや中東初の万博という話題性。
◦ 課題: コロナ禍での開催リスク。情報公開が不十分で、サステナビリティ調達の実態が来場者に伝わりにくかった。
• 大阪・関西万博:
◦ 成功要因: 1970年大阪万博の成功体験(6,421万人来場、20世紀最大)。初動の来場者数は好調。
◦ 課題:
▪ 入場券販売の遅れ(目標の半分)。
▪ 会場建設費2,350億円はドバイ(約8,000億円)の約3分の1だが、「中抜き」や「ショボい」批判がX上で散見。実際、ドバイの330億ドル・大阪の900億ドルは誤り。
▪ アクセス道路やインフラ整備の遅れ。海外での大阪の認知度不足。
▪ 高額な飲食価格(例: 神戸牛すき焼きえきそば)への批判も。
8. 文化的・社会的影響
• ドバイ万博:
◦ クリスマスや国際婦人デーなど多様なイベントを開催し、世界市民の団結を促進。セレブ来場(メッシ、ウィリアム王子など)で話題性確保。
◦ 跡地は「ドバイサウス」として持続的な都市開発に活用。
• 大阪・関西万博:
◦ 1970年万博の「太陽の塔」や万博記念公園のレガシーを継承。
◦ 音楽ライブやフェス会場化で若者層の関心を引く施策。有名アーティストの出演予定。
◦ 跡地の活用計画(IRやカジノ含む)が注目されるが、具体化はこれから。
9. 学びと展望
• ドバイ万博からの学び:
◦ ビジネスミーティングやスタンプラリーなど、来場者参加型の仕掛けが成功。
◦ コロナ対策やアクセスの良さが集客に貢献。万博後の跡地活用がモデルケースに。
• 大阪・関西万博への期待:
◦ ドバイの規模や予算を超えるのは難しいが、日本のおもてなしや共創プログラムで独自性を発揮。
◦ 口コミやSNSを活用した情報発信、運営改善が集客のカギ。
◦ スタートアップや技術展示で世界に日本のイノベーションを発信。
まとめ
ドバイ万博は、コロナ禍での開催にも関わらず、広大な会場、徹底した感染対策、ビジネスチャンスの提供で成功を収めました。一方、大阪・関西万博は、1970年万博のレガシーを背景に、コンパクトな会場で共創や未来志向の展示を目指しますが、予算や集客、インフラ整備に課題が残ります。ドバイのアクセスの良さやビジネス活用、参加型イベントは大阪にとって参考になる点です。両者は規模や環境が異なるものの、万博の意義である「世界の課題解決と文化交流」を共有し、それぞれの地域特性を活かした祭典となっています。
注: X上の予算比較(ドバイ330億ドル、大阪900億ドル)は誤りで、実際はドバイ約70億ドル(8,000億円)、大阪2,350億円です。
























