【私の生活流儀】本多静六 | 【Mink 。本のにおいがスキである。】

【私の生活流儀】本多静六

■タイトル:私の生活流儀

■著者:本多静六

■発行:2005年7月20日

■発行所:実業之日本社

■定価:本体1000円+税


残したい箇所を抜粋します。


いったい多くの人は、草むらにのぞむと、いきなり、一番こんで、一番太い草から、力ずくでムリヤリ抜いてかかろうとするからはかがいかぬ。骨ばかり折れて中途でいやになる。これは一番うすい、一番小さな草から、手近なところをえらんで、根気よく抜いていくに限る。そうすれば知らぬ間に広い場面がきれいになって、こんだ草、太い草まで楽に取りのぞくことができる。すべて世の中の事もこれと同じであると。


塩だけのお菜で朝食をすますのだが、これで私は貧乏と粗食になれッこになった。


牛や馬は青草ばかり食っていても、その体中には、多量の脂肪や、蛋白質や、各種ビタミン類など、あらゆる栄養素が完全生成されるのをみてもわかる通り、人間も、その地に産する新鮮な野菜類と米麦その他の穀類を混用していさえすれば、健康は十二分に保ち得るわけである。それなのに、不完全なるゼイタク栄養学、数字ばかり並べたがる人工栄養学は、やれ動物蛋白質をどれだけとらねば病気になるの、やれ肉や卵を食わねば栄養失調になるのと、できもしない相談をもちかけて嚇かすばかりである。


仕事が人を年寄らせない。忙しさが人を若返らせる。