「おにいちゃんが、時間で動くのが苦手なようで、あと、こだわりも強くて…  」
  
「私との闘いごっこも、お母さんはこれを持って、こうしてあーしてやってや、ぼくは、こうするから。…とか」

「おやつも食べたのに、ご飯が待てなくて、
ソーセージがほしいといいだして。夕飯すぐできるし、今たべたらご飯が食べれないよ?といってもくれるまで泣きわめいたり


「結局、ダメ!といいながらあげちゃうんです…だめですよね〜はーっ…」





肩を落として、私に話をしてくれるお母さん。

訪問保育の前や後に、子育てで気になることを話す時間を設けるようにしている。

預かっていると、お母さんが心配してることが、気にしすぎなのか、何かのSOSなのか、

なんとなく、この事か…と理解しやすいから。


今回も、いつものように子供主体の保育をはじめる。ここは幼稚園でもなく、学校でもない。


家という、気の休まる、自分主体で遊べる落ち着く空間なのだから。


わたしもそこに合わせる。
そうする事で、素の子供の姿も見られる。




4歳8ヶ月男児。
幼稚園から帰ってきての着替え。
確かになかなか着替えない(笑)


着替えの途中、意識がおもちゃだったり、おやつだったり、いろいろ飛んじゃうわけね(笑)

わかる、わかる。


でも、手洗い、着替え、おやつの流れルールであれば、すぐ着替えようが、制服でしばらく居ようが、いいじゃない?

着替えなければ、おやつは食べれないんだから。
ほっといても、おやつ欲しくて着替えるわ


「早く、着替えなさい」
こればかりにお母さんも意識が集中してたら
体もたんよ?やめやめ!



こだわりね…
オレンジ、水色、赤の紙コップで遊んでるとき、
色ごとにかためてピラミッド型に並べていた。
一つ一つ出来上がるさまを妹に邪魔されないように積み上げていく。
ツリーのように綺麗に出来た!


その時!
コロコロコロコロ…



崩れた。…




なんで崩すんやーっ!!



妹の手があたって、崩れたのだ。
妹の頭を力いっぱい叩く。
何度も手をあげる。私の手が遮る。

お母さんは妹を抱っこし、
「叩いたらあかん!」
と、おにいちゃんを叱責しながらも、泣きわめくおにいちゃんをなだめようとする。


おにいちゃんの目が、パニックになってる目だった。一点集中して妹を睨む。また、寝て泣き叫ぶおにいちゃんを私はゆっくり抱っこした。


いま、おにいちゃんに、叩いてはだめ、と言っても判断がつかない状態。


「おにいちゃんはがんばって作ったのに崩されたから嫌やってんな。そうや、おにいちゃんは悪くないよ。妹ちゃんの手があたったから、あかんのやな。悪くない、悪くない。大丈夫。上手に積んでたの、育さんみてたから。みてたよ。…
もう一回、一緒に作ろうか」

パニックで言葉にならない言葉を、こちらが代弁してやることで、彼の気持ちは落ち着いていく。

 
そしてまた何もなかったようにコップを積み上げていく。

お母さんはこの時どうしたらいいか、いつもわからない、と言う。

私だって子育て中はカッカカッカとしてたさ(笑)


「妹を叩いたことを怒るより、そうやって言ってやればいいんですか?妹も可哀想かなと…」


妹はケロッとしている。なにかあればお母さんがいつも助けてくれるから。
妹は得だよな〜〜

お母さんに伝えた。
「妹は大丈夫。彼の場合、パニックになるからその時は彼をみてあげて。叩いてはいけないことは、日常のなかで教えていけばいい。それに叩いてはいけないことは彼はわかってる。
こだわりが強い子は、時折パニックになるから、パニックになった時はみかたになってあげて

とその日の保育を終えた。


その子の個性。すべて個性。
個性を受け止め、その対応をすればいいのだ。


対応がわからなければ
こうして相談すればいい。

小さい事も、恥ずかしいなと思う事も、
一緒に考えてくれる場所をみつけておくだけで
すごく楽になるように思う。



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