父が結婚したのが29歳だから、大学を出てから7年間祖父の商売を手伝っていた。祖父は修行のために名古屋にある会社に研修に行かせる。
親類の家に下宿していた父は、ある日その家の主婦が産気づいて、大騒ぎになって、お手伝いするはめになったらしい。気の弱い父のことだから、あわてふためいたことだろう。
また謡曲と俳句をして、街のマラソン大会に出場して優勝したこともあったとか。父が言うには気づくと前に誰も走っていなかっただけだそうだ。
昭和30年代始めの日本はまだのんびりしていたのである。定年退職するまで、それらの趣味をする余裕は全く無くなってしまうのである。雲舟のリハビリ日記