「クラシック節」は、金七商店の四代目、瀬崎祐介さんがひとつひとつ手作業で製造している本枯節。
枯節を作るうえで最も重要な “カビ付け作業” の行程中に、カビの酵母熟成が活性化してより美味しくなることを願い、工場内にモーツアルトを流しているそうです。
クラシック音楽の効果は、鰹節にはまだ実証されていないそうですが、なんとお酒の麹・酵母には研究結果が出ているそうです。
生きている菌は、よい環境を与えてあげるとちゃんと答えてくれるんですね。
さて、金七商店のクラシック節は、燻製風味がしっかりしていて鰹の風味が濃厚。削りたては感動もののおいしさです。
本枯節の表面を覆っているのは、鰹のよい香りのするきめの細かい麹カビ。
最初の使い始めは、表面のカビを刷毛やペーパーで落とします。
鰹節の正しい使い方・削り方を記載した分かりやすい説明書を同梱してくれるので、初めて使う方でも安心です。
私は子供のころ、母が目の前で削ってくれたおかかの美味しさが忘れらなくて、いまでも毎日の味噌汁や豆腐に鰹節は欠かせません。
愛用中のシンプルな削り器で、削りたてのふわふわをたっぷり楽しんでいます。
じつは、私は忙しい毎朝の味噌汁には出汁をとらず、仕上げに細かく削った鰹節をそのまま加えて一緒に食べてしまいます。
邪道と言われるかもしれませんが、出汁をとったあとの鰹節を捨てるのは惜しいし、この方法なら市販の顆粒のだしの素と同じ感覚で簡単・お手軽です。
もちろん、削りたてを真空パックした削り節でもじゅうぶんに美味です。
こんなに素晴らしい食材が身近にあるのに、出汁をとるのが面倒だからと添加物の多いインスタントの顆粒だしを使い続けるのは本当に残念でもったいないことだと思います。
皆さんもぜひ天然の鰹節のお味噌汁をお試し下さいね。
そういえば、私が長年愛用し、取り寄せている福井県の「マルカワみそ」の河崎さんも、クラシック音楽を聴かせて熟成させた味噌を作っています。
その名も「ヴィバルディ」。
麹をたっぷり使用した甘くまろやかな味噌で、数あるマルカワさんのお味噌の中でも私の一番のお気に入りです。
こちらの「マルカワみそ」は、昔ながらの伝統製法で味噌作りをされている数少ない生産者さんです。
原料の大豆や米は国産の有機栽培のもの。
今ではすっかり姿を消してしまった木樽を使い、丸1年かけて仕込んだ天然醸造の本物の味噌作りをされています。
世界中で注目されている発酵食のひとつ「味噌」は、日本が誇る食材ですが、こうした伝統製法で作られたものこそ正真正銘の発酵食で、本当のおいしさと健康効果が望めます。
今はスーパーで、出汁の風味も加えられている便利な味噌が安価で買えますが、これらは短期間で出来上がるように発酵を促進させる添加物などが加えられたりしています。
こうした大量生産の安い商品に押されて、伝統製法のものはどんどん減少しています。
今回は、クラシック音楽を聴かせた珍しいものをご紹介しましたが、これらの生産者の金七商店の瀬崎さん、マルカワみその河崎さんは、ご自分の作る商品をさらにおいしくする工夫や日々の努力を重ねられています。
だからこそ、まだ実証データの少ない未知の方法もすすんで試されているんですね。
このような素晴らしい生産者さんによる日本の伝統食材は、今後もずっと残していかなければなりません。
安心・安全なまっとうな原料を使い、手間と時間もかけて作られるので当然値段は高めですが、一度買えばかなり長い間使えますし、無添加で栄養価も高く、なによりおいしくて体にいい。
長い目でみればとってもお得なんです。
皆さんもぜひ伝統製法のものを選び購入し、買い支えてくださいね

江ノ島・いのうえ食堂のさざえ丼と、濃厚な煮汁がおいしいきんきの煮つけ。
裏通りですこし入りにくい雰囲気ですが、店主のおとうさん・おかあさんはやさしいです
