演習Ⅰ


キャラクターマーケティング


投稿者 あら



目次
0. はじめに
1. 好まれるキャラクター
2. キャラクターは優秀なCMタレント
3. 今後の展望



0. はじめに
 今回はアンケートの結果や調査を基にどのようなキャラクターが好まれているのかを調べていく。
また前回興味があると述べたキャラクターが広告に活用される事例についても触れていく。


1. 好まれるキャラクター
1-1. 好きなキャラクターランキング
【調査概要】
タイトル:バンダイこどもアンケートレポート Vol.190「お子様の好きなキャラクターは何ですか?」
実査期間:2011年4月5日~4月14日
調査対象:0歳~12歳のこどもの保護者
調査実数:2,000人(男の子の保護者 1,000人、女の子の保護者 1,000人)
調査方法:雑誌、新聞及びインターネット上でのアンケート付きプレゼント企画の応募より

表1 2011年 こどもが好きなキャラクターランキング
順位 キャラクター 人数(人)
1 それいけ!アンパンマン 444
2 ポケットモンスター 251
3 プリキュアシリーズ 220
4 仮面ライダーシリーズ 201
5 ワンピース 110
6 スーパー戦隊シリーズ 99
7 ドラえもん 84
8 たまごっち 76
9 リラックマ 68
10 ハローキティ 66
(資料バンダイこどもアンケートレポートより筆者作成)

■調査結果概要
・「それいけ!アンパンマン」が2002年の調査以来10年連続で総合1位。
・過去5年、トップ3は「それいけ!アンパンマン」「ポケットモンスター」「プリキュアシリーズ」
・トップ10に入ったキャラクターは、全体的にテレビでよく見るキャラクター

それいけ!アンパンマン:やなせたかしの絵本『アンパンマン』を原作としたテレビアニメ
→ 特に2歳以下のこどもたちから高い人気を集めている。(0~2歳のこども500人中322人(64.4%)が好きなキャラクターとして挙げた。)
→ 理由として「丸い形はよく認識できるようで、アンパンマンの顔が好きなようです。」「アンパンマンなど、顔の丸いキャラクターが好きみたいです。」などのコメントが寄せられた。

⇒ 小さい子は丸いキャラクターが好き?


1-2. 幼稚園児が好むキャラクターの特徴
2005年にある幼稚園の年長組園児を対象に好まれるキャラクターの形と色についての調査を実施した。(出典:辻ほか、2009、P136)
1-2-1. 形に関する調査
【概要】
画用紙で50cmサイズの三等身の人形をつくり、顔の部分を丸、三角、四角にし、あとはすべて同じ胴体手足とする。園児たちには自分の好きな形の人形のところに集まってもらう。

【結果・理由】
1位:丸
かわいい、友だちになれそう、やさしい顔をしている、楽しい顔をしている、さわってみたい、やわらかい感じがする、親切にみえる、ボールみたい、安全な感じがする、良い人にみえる、笑っている、だんごみたい、雪だるまみたい
2位:三角
おにぎりみたい、かわいい、ちょっと元気な男の子みたいにみえる、チーズにみえる、怒ったら怖いかもしれないが笑っているから大丈夫、山みたい、とんがっている
3位:四角
かくばっている、格好よい、痛そう

1-2-2. 色に関する調査
【概要】
緑、赤、黄、青、ピンクの5色の上下同色の服を着用した学生5人がいる。園児たちには自分の好きな色のところに集まってもらう。

【結果・理由】
1位:赤
太陽の色だから、きれいだから、イチゴの色だから、明るいから、あたたかいから、よく見るから、目立つから、遠くからでもわかるから、強そうな色だから、鞄は赤が多いから、リボンの色だから、母の日の花の色だから(カーネーション、サンタさんの服も赤だから
2位:黄
レモンの色だから、お日様の色だから、かわいい色だから、楽しい色だから、飴の色だから、透明で透きとおっているから、ライオンの色だから、チーズも黄色だから、消しゴムも同じだから、パイナップルが黄色いから
3位:青
空の色だから、海の色だから、のびのびしているから、気持ちよい色だから、すっきりしているから、自由だから、魚の色だから
4位:ピンク
やさしい色だから、かわいい色だから、女の子の色だから、赤ちゃんの色だから、リボンと同じ色だから、服の色だから、人形の服もピンクだから
5位:緑
草の色だから、信号の色だから、野菜の色だから

人気の丸、赤色は好きな理由が多岐にわたっており、一方、あまり人気がなかった形、色は好きな理由も少なくなっている。

⇒ アンパンマンは丸型であり、人気の赤や黄色が使用されている。

⇒ 丸はキャラクターとして受け入れやすい形なのか、それとも、幼児のころから親が安全を考えて丸い玩具を与えているからなのか?赤色は彼らの周囲に多いから好きなのか?などまだ調査すべきところがある。


1-3. 丸型キャラクターが好印象をつくる要因
2007年にある大学生102人(男子72人、女子30人)を対象に丸型キャラクターに対する印象についての質問をした。(出典:辻ほか、2009、P158)
【質問内容】
丸型キャラクターは他の型と比較して
1. 「かわいい」感じがしますか。
2. ほほえましい感じがしますか。
3. 癒される感じがしますか。
4. 柔らかい感じがしますか。
5. 個性的な感じがしますか。
6. やさしい感じがしますか。   など全50項目

【結果】
表2、表3(パワーポイント参照)
第1因子:「かわいい」「ほほえましい」「心が許せる」→「愛らしい」
第2因子:「柔らかい」「あたたかい」「ふわふわ」→「あたたかさ」
第3因子:「安全」「日常的」「安心」→「安全さ」
第4因子:「親しみ」「癒し」→「癒し」
第5因子:「活気」「積極的」→「元気」

⇒ 丸型キャラクターに「癒し」を求めている?
→ 人間関係で悩んだり、ストレスを感じることが多い現代社会において人々は癒しの存在を必要としている。特に女子高生やOLに多く見られる。


1-3-1. 女子学生、OL文化のキーワードは「かわいい」
もともと女性はキャラクターを好む傾向にあるが、女子学生、OL世代のキャラクターに対する思い入れは非常に強い。

独特のキーワード「かわいい」:「pretty」「cute」の他にも、あるときには「ステキ」「カッコイイ」「うれしい」といった本来とは違う意味を重ね合わせている。

女子学生は流行に対して敏感であると同時に、自分も誰かに「かわいい」と言われたいと思っている。
→ この願望をもっともわかりやすく具現化できる道具がキャラクター(ex:かばんにキーホルダー)


2. キャラクターは優秀な「CMタレント」
2-1. 差別戦略
メーカー側はキャラクターを使いたがるのか?
→「モノが売れない」→ 差別化戦略

性能性はほとんど差がないためイメージによって差別化を図る。その際、非常にわかりやすく差別化できる能力を持っているのがキャラクターである。
いかに複雑あるいは差別化にしにくい商品をキャラクターの世界観を利用して、一言でイメージとして伝えるか。

ex:業務用コピー機のCMにドラえもん
1台でFAXにもプリンターにもなる、1分間で何枚コピーがとれる、さまざまな機能がある…


ドラえもんが出てきて「なんでもできるよ」の一言。
→ 受け手はドラえもんがなんでも夢を叶えてくれるという能力を持っていることを知っている。


ex:カラーレーザープリンターのCMにセサミストリートのキャラクター
スピード、鮮やかな色で印刷される…


セサミストリートのキャラクターが、プリンターで印刷された自分たちの絵を持って見せる。「プリンター?ゼロックス!」の一言。
→ 受け手はセサミストリートのキャラクターたちがカラフルであることを知っている。

⇒ CMはインパクトが重要
実際に購入する際には、営業マンがセールスするはずだが、そのときにCMのインパクトが強ければ営業もスムーズに進む。CMは営業活動のバックアップとなっている。

しかし、送り手側、クリエイターが満足しても売り上げにつながらない場合もある。

ドラえもん → 子供の頃から見ていて親しみを感じている。ドラえもんの他にものび太がいてジャイアンがいてスネ夫がいて静香ちゃんがいて、わくわくする何かが起こるかもと期待できる。
セサミストリート → 英語劇は知っているが、大してなじみがない。わくわくを人形から感じ取れなかった。
⇒ サミストリートはターゲット層に深くコミュニケートできるキャラクターではなかった。


2-2. キャラクターの魅力
差別化を図るだけなら一般のタレントを起用することもできる。しかし、なぜメーカーはキャラクターを選ぶのか?

→ タレントはどうしてもファン層がある程度決まってくる。
→ キャラクターは年をとらない = 芸歴が長い
⇒ こどもから年配者にまで比較的多くの人に愛され、親しまれる要素を持っている。

→ 一般のタレントを広告やプロモーションで使う場合には、プレミアムグッズはつくりにくい。
→ キャラクターは世の中に出ていった時点ですでにグッズになっている。
⇒ キャラクター好きの人々の消費欲求を掻き立てることにもつながる。
⇒ 商品とキャラクターとの相乗効果が期待できる。
ただし、これらは日本独特のものである。


2-3. 日本から世界へ
キャラクターのマーケットが非常に隆起な理由として、日本のキャラクターのレベルの高さを挙げることができる。

現在、日本のキャラクターは香港、タイ、シンガポールなどの東南アジアのマーケットにどんどん浸透している。
・日本のコミック雑誌がリアルタイムで発行
・キャラクターを使った広告キャンペーン
・いわゆる「海賊版」の出回り など

一方、アメリカに対しては、日本のアニメやキャラクターが進出することは非常に難しかった。
→「ポケットモンスター」が進出し、大成功を収めた。(1999年)
 (ex:ピカチュウが「マン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、タイム誌の表紙を飾る)
→ 「manga(マンガ)」という英語が定着し、「japanimation(ジャパニメージョン)」という造語が生まれた。
⇒ 日本のマンガやアニメが欧米で一つの地位を築いた証拠といえる。



3 今後の展望
 今回はキャラクターが広告に起用されることについて少し触れたが、簡単な事例のみになってしまったので、次回からはキャラクター広告について深めていきたい。
また、文献などを読んでいてキャラクターマーケティングにおいて「ポケモン」は重要な存在であると感じたので、これについても少し詳しく述べられたらと思う。
アニメについて研究していくことにも興味を持ったので、ゼミ論をまとめ、来年に向けて自分がやりたいことについて整理したい。


【参考文献・URL】
辻幸恵、梅村修、水野浩児 2009 『キャラクター総論―文化・商業・知財―』 白桃書房
キャラクターマーケティングプロジェクト 2002 『図解でわかる キャラクターマーケティング』 日本能率協会マネジメントセンター
山田徹 2000 『キャラクタービジネス「かわいい」が生み出す巨大市場』 PHP研究所
小田切博 2010 『キャラクターとは何か』 筑摩書房

株式会社バンダイ『バンダイこどもアンケートレポート Vol.190』
http://www.bandai.co.jp/kodomo/pdf/question190.pdf
アンパンマン なかまのしょうかい
http://anpanman.jp/sekai/friends/anpan.html
富士ゼロックスCM
http://www.youtube.com/watch?v=ue1AalpDPzc
TIME MAGAZINE COVER
http://www.time.com/time/covers/0,16641,19991122,00.html
(最終閲覧日すべて2011年12月13日)