さまざまなキャラクターと消費者
-キャラクターマーケティング-


投稿者 あら


0. はじめに
 わたしたちの周りにはたくさんのメッセージを発信してくるキャラクターが数多く存在する。わたしはテレビCMなどで登場するキャラクターが視聴者にどんな効果を与えているのか疑問に思い、このテーマに興味を持った。キャラクターはテレビCM以外にも商品やサービスのパッケージなど様々なところで使われている。
今回はキャラクターの分類と消費者にとってのキャラクターとはなにかを調べていく。



1. キャラクターとは
1-1. 定義

キャラクター[character]:①性格。人格。個性。キャラ。②小説・映画・演劇・漫画などの登場人物。③文字。記号。(広辞苑〔第六版〕より)

キャラクター商品:販売を促進するため、テレビや漫画などの登場人物やそのシンボルマークなどを付した商品。(広辞苑〔第六版〕より)
→ 映画や漫画そのものを「キャラクター商品」と位置づけた場合、「キャラクター」は必ずしも二次的使用とはいえない。


「キャラクター」は営利やPRを期待された人格的存在であると同時に、視覚的存在である。
→ 優れたアイキャッチ機能を備えている。


1-1-1. Fanciful Characters
 1920年代からアメリカでは、ディズニーの「ミッキーマウス」やアメリカンコミックの「ポパイ」などがアニメーション化され、絶大な人気を集めた。それらを商品化するにあたって、こうした主人公は空想の登場人物=“Fanciful Character”と呼ばれるようになり、1950年代に、日本にもアメリカ直輸入の商品が出回るようになる。
 「キャラクター」という言葉は、“Fanciful Character”に適当な日本語訳がなかったために、当時の日本人が簡単にカタカナ表記ですませ、それが今に受け継がれている。


2. キャラクターの分類
2-1. 系譜分類
a. 児童文学の挿絵を母体にしたキャラクター
  (ex:不思議の国のアリス、クマのプーさん)
b. 新聞や雑誌を母体にしたキャラクター
  (ex:テディ・ベア、キューピー、スヌーピー)
c. 映画やテレビを母体にしたキャラクター
  (ex:ミッキーマウス、ビッグバード、鉄腕アトム、ドラえもん)
d. ゲームやウェブサイトを母体にしたキャラクター
  (ex:マリオ、藤崎詩織、モモ)
e. 流行を母体にしたキャラクター
  (ex:ポーズ人形、ひょっこりひょうたん島)


2-2. 類型分類
2-2-1. キャラクター媒体による分類
a. エンターテインメントソフト活用:漫画、テレビ番組、映画、ゲームなどのメディア・テキストを舞台として、キャラクターが活用されているケース。
→ キャラクターは単行本の売り上げ、番組の視聴率、映画の興行収入に結び付く魅力的なパーソナリティでなければならない。


b. マーチャンダイジング活用:パッケージ、ブランドネーム、子ども向け商品、食玩などを舞台として、キャラクターが活用されているケース。
→ 商品開発と並行的に創造されるキャラクター(ex:不二家のペコちゃん、日本コカコーラのQoo、明治製菓のカールのカールおじさん)とエンターテインメントソフトから借用したキャラクター(ex:キューピーマヨネーズのキューピー)の二通りがある。


c. 広告活用:テレビCM、グラフィック広告、ウェブ広告でのアイキャッチャ―またはメッセンジャーとして、キャラクターが活用されるケース。
→ マーチャンダイジングに活用されるキャラクターは、そのほとんどが広告をも舞台にしている。


d. プロモーション活用:キャンペーン、イベントなどにキャラクターが活用されるケース。


e. 空間活用:テーマパーク、キャラクターショップなどにおけるキャラクター活用のケース。


2-2-2. 汎用性による分類
a. グローバル・キャラクター:民族や人種を超えて、広く憧れや支持を集めるキャラクター
b. リージョナル・キャラクター:特定の文化圏だけに受け入れられるキャラクター


2-2-3. ブランド活用による分類
a. パブリック・ブランド・キャラクター:公共機関、非営利機関、地方公共団体などのサービスキャラクター。公共サービスの受益者に親しんでもらうことを目的としたパブリックサービスのひとつ。
(ex:NHKのどーもくん、警視庁のピーポくん、野生動物保護団体「WWF」のパンダ)


b. イベント・ブランド・キャラクター:協会・団体が開催するスポーツイベント、博覧会などに活用されるキャラクター。
(ex:愛知万博のモリゾーとキッコロ、「ゆるキャラ」)


c. コーポレート・ブランド・キャラクター:企業のアイデンティティを人格的形象にまで昇華させたキャラクター。通称、企業キャラクター。
(ex:エスエス製薬のピョンちゃん、ヤンマーのヤン坊マー坊)


d. サービス・ブランド・キャラクター:おもにサービス業務の理想的なあり方を、人格的なシンボルで表象したキャラクター。
(ex:ヤマト運輸のクロネコマーク、ディズニーのミッキーマウス、アート引越しセンターのドラえもん)


e. リーテル・ブランド・キャラクター:店舗などのシンボルとして活用されるキャラクター。コーポレート・ブランド・キャラクターとしても活用される場合もある。
(ex :マクドナルドのドナルド、ケンタッキー・フライドチキンのカーネル・サンダース)


f. キャンペーン・ブランド・キャラクター:プレミアム・キャンペーンなどの販売促進のために使用されるキャラクター。
(ex:NECの「お店に行こう」キャンペーンのために作られたバザール・デ・ゴザール)


g. アド・キャラクター:グラフィック広告やCMでのアイキャッチのために使われるキャラクター。他のブランド・キャラクターを兼ねていることが多く、広告媒体の中だけに留まっていることは珍しい。


2-2-4. 物語の有無による分類
a. 物語を背負ったキャラクター(ex:ポケモン)
→ 商品に貼り付けられたキャラクターは、いずれもアニメや漫画の物語を背負っており、商品化するライセンシーの側からすればメリットでも制約でもある。
→ エンターテインメントソフトのキャラクターは「物語を背負ったキャラクター」と名付けることができる。


b. 物語を背負わないキャラクター(ex:ハローキティー)
→ このタイプのキャラクターは、アニメや漫画の登場人物ではない。ぼんやりとした世界観は持っているが、物語中の具体的な役どころや性格は賦与されていない。
→ 最低限の世界観を損なわないかぎり、あらゆる製品やサービスに適用できる。⇒ 汎用性に優れている。


2-3. 規格分類
a. 内向的キャラクター:かわいい系キャラクター。手足が短く、丸っこく、ふんわりしていて、身体に突起物がなく、口数が少ない。
(ex:ドラえもん、トトロ、ハローキティ)

b. 外向的キャラクター:かっこいい系キャラクター。手足が長く、よく喋り、俊敏に動き回り、失敗もすれば人並み外れた活躍もする。
(ex:ミッキーマウス、トムとジェリー、ルパン三世)


「内向的キャラクター」は日本人が愛好するかわいいキャラクターの特徴を備えており、反対に「外向的キャラクター」はウォルト・ディズニーのアニメーションに代表される。



3. 消費者とキャラクター
3-1. 消費者の認知
キャラクターの認知度がキャラクターマーケティングにおいて重要視される。
→ 知っているキャラクターの方が、知らないキャラクターよりも親近感や安心感を持ってもらいやすいから。


3-1-1. 認知を促す手段
企業は自社キャラクターや自社商品を消費者にアピールして、より多くの消費者に認知してもらう。
a. テレビ(CM、ドラマ、バラエティ、ニュースなど)
b. 雑誌(ファッション、音楽、趣味など)
c. インターネット(メール、検索、掲示板、ブログなど)
d. ディスプレイ(店頭、店員など)

→ 現在はテレビ、雑誌、インターネットなどの口コミの影響が多いと推察されるが、情報が正しく伝わるかどうかは未知数。
→ ディスプレイ(商品陳列)は、店頭でキャラクターそのものを間近に見たり、手にすることができるので、消費者へのアピール度は高い。


ただし、キャラクター商品が他の商品と異なる点は、ある既存のキャラクターを借用して、その効果をもって消費を促すことがあるという点である。消費者がよく知っているキャラクターを採用することで、消費者は商品に対してより親近感や安心感を抱く。


3-2. マイ・キャラクター
マイ・キャラクターとは、ノートの隅などに自分なりのオリジナルキャラクターを描くことである。描き手その人の属性やパーソナリティを表すといえる。また、他者との差別化としてはたらく。


(ex:痛車)
既存のキャラクターを車体に自分らしくアレンジすることは、マイ・キャラクターと同様に、規格品である自家用車にオリジナル性を強め、差別化をはかっている。


マイ・キャラクターが思わぬところから、世の中に認められ、話題になるケースもある。(ex:やわらか戦車、電車男)
→ マイ・キャラクターもヒット商品になることがある。


3-2-1. 既存キャラクターとマイ・キャラクター
既存キャラクター
・マーケティングに活用、商品価値を高める
・ライセンス料を支払う
・認知度が高い
・キャラクターに関心をもってくれるかどうか不明、好悪がある
・商品とタイアップできる


マイ・キャラクター
・本来は私的な趣味、価値はない
・特別な料金体制はない
・認知度はない
・制作者のキャラクターに対する強い思いがある
・商品との関連性がうすい


3-3. ヒットの要因
メディアミックス戦略が重要である。
コミック誌で人気の漫画 → TVアニメ放映 → キャラクター商品の展開 など (ex:ドラえもん、クレヨンしんちゃん)
出版、TVゲーム → TVアニメ放映というパターンは新しい。(ex:ポケットモンスター)


 なにかがヒットするには、そこに魅力がなければならない。たとえば、夢や冒険といった物語は男子に受け入れられやすい。(ex:銀河鉄道999)かわいらしさや恋愛は女子に受け入れられやすい。(ex:美少女戦士セーラームーン)TVアニメがヒットするというのは、そこに見る側の求めているものがあるのである。


4. 今後の展望
今回は定義やキャラクター分類に幅を取りすぎてしまい、内容が薄くなってしまった。次回は消費者が具体的にキャラクターに対して、何を求めているか、逆にキャラクターが消費者に対して何を与えるかなどを調べていきたい。



【参考文献・URL】
辻幸恵、梅村修、水野浩児 2009 『キャラクター総論―文化・商業・知財―』 白桃書房
キャラクターマーケティングプロジェクト 2002 『図解でわかる キャラクターマーケティング』 日本能率協会マネジメントセンター
中島信行編 2003 『大ヒット!企業キャラコレクション』 小学館
野上眞一 2010 『18歳からの「マーケティング」の基礎知識』 ぱる出版

ポーズ人形ギャラリー
http://spica.mond.jp/poseningyogallery.html
WWFジャパン
http://www.wwf.or.jp/
痛車総合情報サイト「痛車.net」
http://www.itasya.net/