こんにちは、宇野ひかるです。
きょうは、「赤い文字」についてお話をしたいと思います。
日本で赤い文字というと、「修正文字」の印象があります。
これは、原稿などを修正するときに、赤いペンを使うため、そのイメージが定着しているのでしょう。編集・出版業界では、文字校正を行うとき、「アカ入れする」と動詞で使ったりします。
西欧諸国では、この赤文字を嫌う人が多いようです。
昔、私がアメリカでアルバイトをしていたとき、メモを取るのに手近にあった赤いボールペンを使ったところ、上司からこっぴどく叱られた経験があります。
「赤文字」は、経理の帳簿で「マイナス」を表わすので、赤いペンを使ってモノを書くのは、縁起が悪いというのです。
私は、アメリカ人が、「縁起が悪い」という表現をすることに驚きましたが、これは決して珍しいことではないようです。
その上司は、「赤いインクの手紙がきたら、それは“あなたと絶交する”という意思表示なんだよ」と教えてくれました。
聖書の中に、赤は「罪悪の色」としての記述があるためかどうか、西欧では赤はあまり好まれないようです。
アメリカ文学『スカレットレター(緋文字)』は、17世紀のボストンを舞台に、姦通罪を犯した女性が、胸に「A」という赤い文字をつけて暮らす、当時の清教徒の生活を描いた物語です。
文字だけではなく、髪の色でも赤毛の女性は差別を受けてきました。
現代ではそのようなことは減っているようですが、私の知り合いの赤毛のアメリカ人女性は、「赤毛は不幸の象徴」とか、「気が強い」などと言われるので、いつもブルネットに染めていました。
カナダ文学の名作、『赤毛のアン』やフランス文学の『にんじん』などは、主人公が赤毛のために悩む物語で、皆さんもよくご存知だと思います。
フランスでは赤文字だけでなく、緑の文字も嫌われます。
フランスでは、「赤は死を呼び、緑は不幸を招く」という言い伝えがあるそうで、赤や緑のインクで手紙を書くのはタブーだそうです。
面白いことに、昔、イスラム圏出身の占い師の方からもらった手紙は、緑色のインクで書かれていました。「緑の文字は、尊い神の色」なのだそうで、敬意を表して書いたため、緑になったそうです。
色に対する認識の違いは、国によってさまざまです。
グローバル化が進んだ現代、国際マナーを学ぶ上でも、「色に対する知識」は重要なのだな、と思い知らされます。
ノブレス・オブリージュアカデミーにてカラーメンタリスト講座受講生募集中▶