2023年 9月26日、東京メトロと都営地下鉄に乗り、神社巡りしました。

 今回は、標記の御紹介です。

 

 

 佃 住吉神社 

 佃島(つくだじま)は、江戸時代に埋め立てられた人工島です。以来、島民は渡し舟を使ってきました。「渡し」は佃大橋が完成する昭和39年(1964)まで続きました。

◇鎮座地:東京都中央区佃1-1-14

◇最寄駅:大江戸線 月島駅~350m

◇バス便:リバーシティ21バス停~209m

 東京駅八重洲口から[東12]or[東16]

◇御祭神:住吉三神、息長足姫命、東照御親命

◇御朱印:あり

 

 

◆一之鳥居

 隅田川の川辺、堤防脇に建てられています。

 これは、当社への参拝に渡し舟が使われていたためです。隅田川を向く鳥居は、隅田川神社や三囲神社にも存在します。

川瀬巴水『佃住吉神社』1936年

byパブリックドメイン美術館(フリー絵画)

 

◆佃大橋から一之鳥居を望む

 佃大橋は隅田川「佃の渡し」の位置に架橋されました。「渡し」は廃止になりましたが、小さな船着き場があるようです。

 

◆佃の渡し-昭和30年代-

「佃の渡し」は、佃島の築島が完成した1645年に島民が江戸市中へ行くための交通手段として始まりました。

 1926年から東京市営(のち都営)となり、運賃無料で運航されました。最盛期は15分間隔で1日70往復していたそうです。1964年佃大橋の完成により、江戸時代から続いた「佃の渡し」は320年の歴史を静かに終えました。

by「このまちアーカイブス」

 

 

【参道】

◆手水舎

 当社では「水盤舎(みずや)」と呼んでいます。

 

◆二之鳥居

 一之鳥居が朱色の神明鳥居でしたが、こちらは色も形状も異なります。

明治15年(1882)に寄進された陶製の神額

 

由緒

 天正年間(1573~1592)、徳川家康は大阪・田蓑村(のちに佃村と改名)の民と深い関りを持ちました。

 のちに豊臣豊臣秀吉の命により、徳川家康が江戸に下向。その際、佃の漁夫33人と摂津住吉の社の神職が分神霊を奉戴し江戸へ下りました。

 寛永年間(1624~44)幕府より鉄砲洲向かいの干潟を賜り、築島。故郷の名を取り、佃島とし、この地に社地を定めました。

by当社パンフ

 千木=外削・鰹木=奇数

御祭神

住吉三神

 底筒之男命(そこつつのお)

 中筒之男命(なかつつのお)

 表筒之男命(うわつつのお)

 

 イザナギが黄泉国から帰還し、禊した際に現われた神。海の底、海の中ほど、海上で三柱の神が顕現。

 古くから、航海守護の神として崇敬を集めています。

 

 ◇神名「ツツ」

 ①ツツ=星

 →航海の際、星の位置を読むことに由来。

 

 ②ツツ=柱

 →船の帆を立てる柱だとする説。

 

◆現人神(あらひとがみ)

 住吉の大神は、万葉の時代から「現人神」として、人の姿をして実際に現れる神とされてきました。白髪の翁として、多く描かれています。(住吉大社所蔵)

 

御祭神

息長足姫命(=神功皇后)

 

 神功皇后には神憑りする能力がありました。住吉三神や天照大神の荒魂が神功皇后に憑依して、「新羅征伐」の神託を下しました。

 

 本殿は境内からでは見ることができません。境外に出れば見ることができます。佃小橋を渡り、運河沿いを左折します。

 

◆本殿

 左社殿は入船稲荷神社、白っぽい建物は神輿庫、右が本殿。

 

 

【境内社】

◆龍神社

 龍姫大神たつひめのおおかみ

  別名:豊玉姫命

 於迦美大神おかみのおおかみ

 龍王弁財天

 

 当社境内に龍姫大神を祀ったのち、佃島に白蛇が現れました。島民は、これを龍神(於迦美大神)として祠を建てて崇敬しました。

 文政5年(1822)に鎮座。その後、天保9年(1838)に佃島の一角にあった龍神を祀る祠が合祀され、天保10年に日本橋白木屋に祀られていた大弁財天が合祀されました。

「巳の日」は、竜王弁財天の縁日として、多くの方々が参拝される日です。「巳の守り」が頒布されます。

 

◆船魂神社

御祭神

 船魂神、住吉三神

文久3年(1863)に鎮座。

佃島の船大工の方々が祀っていた神さまです。漁民や職人からの崇敬を受けました。

 摂津住吉大社の摂社「船玉神社」

 延喜式にも記載された古社です。船の守護神として信仰を集めてきました。船玉(船魂)とは、船舶そのものの神霊で、住吉大神とは表裏一体の関係として尊崇され、時には住吉大神の荒魂とされることもあります。

by住吉大社HP

 

◆疫病退散系寄せ宮

 疫神社(疫神)

 疱瘡神社(素戔嗚尊)

 佃島では文久2年(1862)に麻疹が流行し、多くの人が命を落としました。その際は、7尺の船を造り、そこへ災いを移した藁の人形(ひとがた)を乗せて、漁師の子供らの手によって沖へ流させたという記録が残っています

 

◆古河神社ふるかわ

御祭神:不詳

佃島周辺の水辺を守る神様です。

 

 

◆入船稲荷神社

御祭神:宇迦之御魂命

鎮座は新しく、明治2年です。

 

 

【例祭】

「蔭祭」と呼ばれる例祭は、毎年8/6&8/7に斎行されます。

 3年に1度の本祭り(4日間)では、獅子頭の宮出しや八角神輿の宮出し、神輿を船に乗せて氏子地域を巡る船渡御が行なわれます。
 佃島に6本の幟(高さ18m)が立てられ、龍虎の獅子頭、黒駒の獅子頭も飾られます。

 

◆神輿庫

拝殿の隣に建てられています。

 

◆獅子頭

 獅子頭は文政二年製(1819)

 佃渡船跡の石標に隣接する「佃まちかど展示館」にあります。

 

◆大幟(おおのぼり)

広重『佃じま住吉の祭』

 幟は寛政10年(1798)に幕府から建てることを許されたと伝えられています。

図版by「錦絵で楽しむ江戸の名所」国立国会図書館

 

◆大幟埋設場所

 ふだんは、佃小橋の下に埋められています。祭礼を前に、幟を引き上げるときはTVニュースなどでもおなじみです。

 

◆高札

「此の場所には、江戸時代後期 寛政拾年(1798年) 徳川幕府より建立を許された大幟の柱・抱が埋設されておりますので、立ち入ったり掘り起こしたりしないでください。」佃住吉講 と、書かれています。

 

 

◆江戸情緒と「タワ・マン」

 当社周辺は、いわゆるウオーター・フロントの一角を成しています。その象徴ともいえるタワー・マンションと江戸情緒を残す部分が調和して良い雰囲気を創り出しています。当社はそうした環境に溶け込むように鎮座しています。

 

 

 

【御朱印】

初穂料:300円

 

 

【参拝ルート】

2023年9月26日

START東京メトロ茅場町駅(東西線or日比谷線)9番出口~90m~①日本橋日枝神社(=日枝神社山王御旅所)~茅場町駅→日比谷線→門前仲町駅(乗り換え)門前仲町駅→大江戸線→ 月島駅~350m~②佃住吉神社 ~月島駅→大江戸線→勝どき駅~400m~③住吉神社勝どき御旅所~900m~④住吉神社晴海分社~650m~勝どき駅→大江戸線→門前仲町駅GOAL

 

 

【編集後記】

◆地域の氏神

 当社が鎮座する佃島は、江戸時代に埋め立てられました。その後、月島、勝どき、豊海、晴海など続々と埋め立てが行われました。当社はこれら地域の産土神(氏神)として信仰されています。by当社パンフ

 

 本記事の公開に合わせて、2017年アップの旧記事は削除しました。(了)