2023年 9月26日、東京メトロと都営地下鉄を使って、中央区の神社を巡りました。

 今回は、佃 住吉神社の関連社の御紹介です。

 

佃 住吉神社

①お旅所(勝どき)

②分社(晴海)

 

 ①勝どきお旅所 

 お旅所は、明治34年(1901)「二号地」の現・勝どき2丁目11番に建立されました。

◇鎮座地:東京都中央区勝どき4-13-7

◇最寄駅:大江戸線 勝どき駅~400m

◇バス便:勝どき三丁目バス停~143m

 東京駅丸の内南口から[都04]

◇御祭神:佃島住吉神社に同じ

◇御朱印:なし

※佃住吉神社からの直線距離=1.8km

 

 

◆社頭

 狭い境内ですが、清々しい雰囲気をたたえています。

 昭和59年(1984)、勝どき2丁目から現在地に移りました。

 かつて、境内には樹木が茂り、地域の「鎮守の杜」として、地域住民の日常生活とともにありました。

 現在地に遷座ののち、旧地に神輿庫が再築されました。

 境内はていねいに清掃されており、地域住民の崇敬の篤さを感じました。

 しかし、手水は使えませんでした。

御祭神は本社(佃 住吉神社)と同じです。

御祭神

 住吉三神

 息長足姫命(=神功皇后)

 東照御親命(=徳川家康)

 

 千木=外削、鰹木=奇数(7本)

 

◆本殿

 

 

【境外】

◆神輿庫

 初代「御旅所」を惜しみ、跡地の一部に神輿庫が建てられました。

 神輿庫は2棟。その中庭に置かれていた子供用と思しき山車。

 

◇中央区「まちかど展示館」WEBサイトにおいて、お旅所の地元=町会長さんへのインタビューを見つけました。祭りの様子が分かるので、一部を以下にまとめます。

 

Q:お祭りはどのような方が中心に?

A:祭りを仕切るのは睦会(むつみかい)で、二号地「月睦(つきむつ)」っていうんだけどね。町会とは別の伝統ある組織で、黒袢纏(くろはんてん)を着て神輿や山車の巡行を統括します。

※三諸:東京湾は埋め立て順に番号がつけられています。

 →1号地=月島、2号地=勝どき、4号地=晴海、10号地=有明、15号地=若洲など。

 

お祭りの詳細について

Q:本祭りの2日目は?

A :「連合渡御」があります。

 →各町会の神輿が御旅所に来る。

 お宮で清祓いを受けた各町会の神輿が、獅子頭を先頭に隊列を作って御旅所までやって来ます。

Q:本祭りの3日目は?
A:「御旅所渡御」があります。
 →佃住吉神社の神輿が御旅所に来る。
 御霊を移した宮神輿が氏子地域を回り、御旅所で一泊します。御神輿は月睦がひと晩中警護します。
 
◇一般の方々の参加は?
 八角神輿(佃住吉の神輿)は、月睦の袢纏にタスキを掛けた人だけ担げる決まりです。
 大神輿(町会の神輿)は月睦の袢纏を着ていれば誰でも担げます。
 今は女性の担ぎ手が圧倒的に多いですね。
 子供たちも中・小の神輿を担いだり、山車を引きます。
 

◆江戸時代の住吉の祭

 佃島は白魚の名所なるゆえ したがって漁家あまたあり ここに住吉大明神を祭る 祭礼の日は 龍虎の造り物をこしらえ 島中を走りめぐる いと興あることにぞなん

『絵本 江戸土産』広重

江戸市中及び近郊の景趣を描き、略解説を記し添えた淡彩色摺りの簡易地誌絵本。

 

 

 ②晴海分社 

 境内は、狭いながらも石玉垣・社号標・鳥居・狛犬・水盤・社殿・社誌石碑・植栽・玉砂利など、神社のひと通りがそろっています。

◇鎮座地:東京都中央区晴海3-4-9

◇最寄駅:大江戸線 勝どき駅~650m

◇バス便:晴海三丁目バス停~153m

 東京駅八重洲口から[東12]or[東15]

◇御祭神:佃島住吉神社に同じ

◇御朱印:なし

※佃住吉神社からの直線距離=1.9km

 

 

◆黎明橋からの風景

 都営地下鉄 大江戸線の勝どき駅を下車してほどなく、この橋を渡ります。川辺にタワーマンションが立ち並びます。

 こちらは、橋の右手風景。左手は「トリトン・スクエア」に向かう橋(動く歩道)があります。

 

なぜ、晴海地区に「佃住吉神社」分社が建立されたのか?

 →鰹節問屋が深く関わります

 

由緒

◇江戸時代

 江戸の鰹節問屋は、佃住吉神社に海上安全や商売繁盛を祈願していました。

 その証が今も佃住吉神社の境内に残っています。

「鰹塚」

写真は2018年12月筆者撮影

◇明治20年

 東京鰹節問屋組合が設立され、佃住吉神社の祭神を組合の守護神と位置づけました。

 

◇昭和13年

 日本橋小舟町に「東京鰹節荷捌所」を建てた際、屋上に「住吉神社御分社」を創建。

 

◇昭和43年

 東京鰹節問屋組合が晴海に移転。併せて「御分社」も同地に遷座

由緒by境内の社誌碑

 

 

 

 清掃された水盤になみなみと張られた浄水

 

 

背後のビルは「東京鰹節センター」。鰹節製造会社などが入居しています。

 

 

◆晴海町会の神輿

  40年間レンタル神輿を使ってきましたが、平成23年に念願の自前神輿が完成。海をイメージして、青色をふんだんに使った神輿です。

神輿社写真 by中央区「まちかど展示館」

 

 

晴海地区の歴史

「いつも晴れた海に望みたい」との希望を込め、昭和12年の区議会にて「晴海町」と命名されました。


◇明治初期

 晴海地区の埋め立て開始。

 昭和6年(1931)に埋め立て完了。

 

◇昭和16年

 第二次世界大戦中(1941~45)は、軍需物資の輸送基地。

 

◇昭和20年(1945) 

 日本敗戦。占領軍が晴海を接収。

 飛行場が建設されました。

 →筆者:銀座の隣町にアメリカ軍飛行場…。屈辱的かつ悲しい歴史です。

 

◇昭和33年(1958)

 占領軍が接収地を全面返還。

by「晴海をよくする会」WEBサイト

 

◇令和時代の晴海地区

 

 

【御朱印】

 勝どき御旅所・晴海分社、ともに御朱印はありません。

本社=佃住吉神社の御朱印をアップします。

初穂料=300円

 

 

【参拝ルート】

2023年9月26日

START東京メトロ茅場町駅(東西線or日比谷線)9番出口~90m~①日本橋日枝神社(=日枝神社山王御旅所)~茅場町駅→日比谷線→門前仲町駅(乗り換え)門前仲町駅→大江戸線→月島駅~350m~②佃島住吉神社~月島駅→大江戸線→ 勝どき駅~400m~③住吉神社 勝どき御旅所~900m~④住吉神社 晴海分社 ~650m~勝どき駅→大江戸線→門前仲町駅GOAL

 

 

【編集後記】

◆佃住吉神社の分祠社はもう1社

 江東区牡丹町に「牡丹住吉神社」があります。

 この神社は、享保4年(1719)に当地周辺が《佃島漁民の網干場》となったことから、佃住吉神社の分祀として創建された、と伝わります。(了)