今回は、香取郡とその周辺神社の巡拝シリーズの最終回です。

当初の予定になかった神社2社をご紹介します。1社は標記神社、さらに『瀧大神』という水神社です。

 

 ①星之宮大神 

(ほしのみやだいじん)

◇鎮座地:千葉県香取郡東庄町石出1598

◇最寄駅:JR成田線・下総橘駅~87m

◇主祭神:天御中主神

◇相殿神:八衢姫神、久那土神、水神(ミツハノメ)

◇御朱印:無人社のため、ないものと思われます。

 

 

 

天之御中主神のこと

 記紀に活動記録がまったく記載されておらず、古事記の冒頭で「天と地が分かれたとき、高天原に最初に現れた神」とだけ記されています。漠然とした神格のためか、この神を祭神とする神社はありませんでした。

 

  時が流れ、江戸時代後期、平田篤胤が「万物の主宰神」とみなすようになって、一般に知られるようになりました。そして明治時代。多くの寺院が神社へと変身した際、天之御中主神を祭神とする神社が広がりを見せました。

 

 

◆社頭

 鳥居左手の石室の中は、掛け時計。

 

 

◆大鳥居

 

 

◆手水舎

 水は供給されておりません。必要に応じて、左手の水道栓を使うのでしょう。

 

 

◆手水舎から社殿を遠望

 

 

寺院から神社へ

 明治時代初頭、神仏分離令によって妙見信仰(神仏混淆の神)の寺院も例にもれず神社へと転身しました。その際、《御本尊→御祭神》《妙見菩薩→天之御中主神》となり、天之御中主神を祭神とする神社が一気に広がりました。

 おそらく、当社もこのパターンかと思われます。

そもそも、千葉県は妙見信仰の千葉氏が治めた土地なので、当社が元・妙見では?と想像しやすい状況です。

 妙見菩薩を祀る寺院が神社になった例

→千葉神社・登渡神社(ともに千葉県)、秩父神社(埼玉県)、星宮神社(茨城県)など。

◇ちなみに、NHK朝ドラ『らんまん』のロケ地となっている飯高神社(千葉県匝瑳市)も元・妙見です。

 

※妙見菩薩

 北辰尊星王(ほくしんそんしょうおう)とも呼ばれ、北辰(北極星)を仏格化した”星の仏さま”です。

 

 

◆常夜燈と社殿

 

 

◆本殿と瑞垣

 参拝者は瑞垣御門にてご挨拶します。

 

 

◆神額

 通常は、拝殿に掲げられます。当社は、拝殿がなく瑞垣御門に掲げられています。

 

 

本殿は流造。屋根の曲線が流麗です。

 

 

無人社ではありますが、境内の清掃は行き届いていました。

 

 

◆裏手

瑞垣は、裏手にも扉がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 ②瀧大神 

(たきだいじん)

◇鎮座地:千葉県香取郡東庄町平山473

◇最寄駅:JR成田線・笹川駅

◇御祭神:ミツハノメノカミ

 表記→古事記「弥都波能売神」

 表記→日本書記「罔象女神」

◇御朱印:無人社のため、ないものと思われます。

 

 

 

◆大鳥居

 

 

◆参道

 

 

◆参道右サイドは崖

 

 

 

【社殿】

◆瑞垣+本殿

 拝殿はありません。しかし、瑞垣御門が開放されているので、本殿にてご挨拶が可能です。

 

 

祭神:ミツハノメ

 代表的な水神です。

 この神名は「水が走る」「水這う」という意味。田畑の灌漑につかう引き水を表現した、という説もあります。

 

 この神が女性神であることについて

「女性小便のスサマジさを神名としたのは間違いなかろう。」by『神様事典』柏書房

↑ホントですかあ~!?

 

 ちなみに、アマテラスは、イザナギの禊から生れた神

一方、ミツハノメは、イザナミの小便から生れた神

禊VS糞尿。両者は対照的な生まれ方をした女性神です。

 

 

 

 

 

 

 

◆独創的な覆い屋

 

 

◆屋根に鯱

 火災予防の呪術的ツールです。

 

 

 

映画『君の名は。』

 おの社号=「大神」、御祭神=「神:みつはのめ」、近くに「下総橘(たちばな)駅」

 これらの語句は、標記映画を想起します。

 

  男子高生=立花 瀧(たき)

  女子高生=宮水 三葉(みつは)

 

◆妹と舞う、みつは

 

 

 

【境内社】

◆仙元大神

 仙元=せんげん→浅間となると、祭神は木花開耶姫命

 

 

◆天満宮

 

 

◆不明社1

 

 

◆不明社2

 

 

 今回、ご紹介した2社は、どちらもミツハノメを祀る神社(=無人社)でした。しかしながら、両社とも境内がきちんと清掃されていて、悪くない居心地の神域でした。

 

◆参考

・『日本の神様読み解き事典』川口謙二・編著(柏書房)

・『日本の神々』鎌田東二(東京美術)

・東庄町教育委員会 生涯学習係(東庄町役場)

 

 

 

【御朱印】

 不明です。

 

 

 

【参拝ルート】

2023年 3月 7日

START=JR成田駅9:41発(成田線 下り)→下総橘駅10:36着~90m~①星之宮大神 ~2.5km~②東大社→TAXI→下総橘駅 12:26発(成田線 上り)→笹川駅12:31着~600m~③諏訪大神~同社境内「東庄町観光会館」(自転車をレンタル)→4.5km→④豊玉姫神社→450m→⑤良文貝塚層見学→1.7km→⑥瀧大神 →2.9km→観光会館(自転車返却)~600m~笹川駅15:34発(成田線 上り)→JR成田駅16:27着=GOAL

 

 

 

【あとがき】

◆良文貝塚層

 移動の途中、貝塚に寄りました。

保存状態の良いそれが見られるとのことで、行ってみました。住所から既に面白いです。→香取市貝塚字海ノ内^^

ホンモノの貝塚は初めてみました。貝殻がギッシリ詰まった地層にビックリ仰天!

 

 縄文時代のなかごろ、温暖湿潤な気候になり、南極や北極の氷が溶けて海水面が上昇。この周辺の谷まで海水が入っていたと考えられます。

 貝のほか、魚類、イノシシ、シカ、イヌ、イルカ、ヒト、などの哺乳類の骨も出土しました。by案内板

 

(了)