日枝神社 

《境内社に船橋大神宮の元宮が!?》

 当社では、境内摂社として神明宮が鎮座しています。

この社は、船橋大神宮の元宮とも言われています。

◇鎮座地:千葉県船橋市夏見2-29-22

◇最寄駅1:東海神駅~1.4km

(東葉高速鉄道)≒東京メトロ東西線

◇最寄駅2:船橋駅~1.6km

(JR総武線、東武アーバンパーク線、京成線)

◇バス停:八栄小学校入口~260m

(船橋駅北口[船53]船橋グリーンハイツ行の4つめ

 

◇御祭神:大山咋命

◇御朱印:なし

 

 

 

 

【表参道】

◆参道入口

 八栄小学校入口バス停から、参道の案内板が見えます。

 

 

◆坂道

坂道を上がります。道祖神を経て、左手に当社です。

参道とは言っても、今やフツーに自動車が通る道路です。

 

 

◆社頭

 当社は坂道の頂上、船橋駅北側の高台=夏見地区に鎮座しています。

 

 

 

◆一之鳥居

 鳥居は2つ。一之鳥居は石で建てられた明神鳥居です。

一之鳥居正面から見る参道の雰囲気は素晴らしいものがありました。

 

 

◆手水舎

 鳥居をくぐった左手。

 

 

◆水盤

 背後の岩のすきまから水が滲み出ています。

柄杓が2つ置かれていました。今どき珍しい(≒嬉しい)です。

緑に包まれた美しい水盤なのでもう1枚。

 

 

◆二之鳥居

 こちらは、木製の両部鳥居です。

 毎年10月9日に氏子の方々が、年番で新藁縄の大蛇を造ります。藁蛇を笠木に巻きつける際、蛇頭を伊勢神宮の方に向けます。これは、五穀豊穣を祈るためだそうです。

 

 

◆参道狛犬

 赤坂山王日枝神社では、拝殿前で神猿が赤い前掛けをしています。当社では、狛犬が着用しています。

 

 

◆緑の参道

 

 

◆常夜燈

 未明まで雨でした。そのため、参道の緑をはじめ境内全体がしっとりしています。 

 

 

◆拝殿を遠望

 この常夜燈は異色です。

 

 

 

【社殿】

◆拝殿

 御祭神:大山咋神

 大山咋神は、日枝大社、松尾大社、赤坂山王日枝神社などの御祭神です。

神様としてはビッグネームですが、日本書紀に記載がなく、古事記のみの登場です。

 

 

◆山王さま

  当社は山王様と呼ばれ、伊勢神宮領の夏見御厨の中心地であったと云われています。

 神社の建立年は不詳。創始伝承では、日本武尊の東征の頃、とのこと。

 

 

◆賽銭箱

 賽銭箱に注連縄。めずらしいかと思います。

 

 

◆大山咋神

 神名の「咋(くい)」は、境界を示すもの。または神霊の依代とするために山中に立てられた杭のことと言われています。

 

 別名を山末之大主神(やますえのおおぬしかみ)といい、山頂または山麓を支配する大いなる神です。

 

 

 

 

 

◆ご神木

 

 

◆本殿

 当社の御祭神である大山咋神は、日吉大社・東本宮の神様です。

元々は、比叡山そのものを守護する神であり、地主神でもあります。

 

 ちなみに、西本宮は大己貴神(=大物主神)。大和国・大神神社からの勧請です。

 

 

◆古事記の記述

 大山咋神の鎮座地は、古事記に具体的な記述があります。

→①「近淡海国の日枝の山」 すなわち、近江の比叡山。

→②「葛野の松尾」 すなわち、山城国の松尾山。

これらに坐す。と書かれています。

 したがって、日吉大社と松尾大社の祭神ということになっています。

 

 

 

◎神仏分離と廃仏毀釈

 明治政府による宗教政策は、神道を欧米のキリスト教のような位置づけにしようというものでした。そのため、仏教は「邪魔者」となり、寺院や仏像の破壊が全国的に広がりました。その先駆となったのが、日吉大社による比叡山延暦寺への攻撃でした。

 

 

 

◆本殿裏手の森

 

 

 

【夏見地区について】

①御厨(みくりや)の設立

 西暦1138年頃、当地に御厨が設立されました。御厨とは、伊勢神宮の荘園のことです。地名を冠して「夏見御厨」と呼ばれ、米や布などを伊勢神宮に調進しました。

 

②神明宮の創建

 伊勢神宮の神領となれば、遥拝所が作られるのは必然。結果、遥拝所が神明宮(=天照皇大御神)へとアップ・グレードされるのもまた必然でしょうか。

 

③神明宮から船橋大神宮へ

 時を経て、御厨が衰退。御厨の神明宮は、近隣の意冨比神社に合祀されました。それが現在の船橋大神宮へと進展していきます。

 

 

◆境内摂社

 瑞垣を挟んで本殿の隣に鎮座。他の境内社と差別化されていて、紫色の幕がかけられています。明らかに別格です。

 

 

◆神明宮

 帰宅後、この境内社について調べてみました。

この神社は船橋大神宮の元宮候補の1つ。という説を発見しました。すなわち、夏見御厨に鎮座していた神明宮と何らかの関係がある神明社ということになります。

 

 

 

【富士塚】

◆浅間神社鳥居

 

 

◆登山道

 ルートは2か所。写真の登山道は石が並べられていますが、もう1つは半分以上が土の斜面なので登りにくいです。

 

 

◆山麓

浅間大神の石碑

近くに小御嶽大神もありました。つまり、姉妹の石碑が並びます。

 

 

◆山頂

仙元大菩薩の石碑

 こちらは、浅間でなく仙元。大神でなく大菩薩です。

 

 

 

【境内点描】

◆神輿庫

 

 

◆境内末社

 表参道の中ほど。朱色鳥居つきで4社が並びます。

金刀羅宮・三峯神社・稲荷神社・妙正明神社などが鎮座します。

 

 

◆不明石碑

 

 

 

【御朱印】

 なし

  →社務所から出てきた老人(=先代宮司さん?)に有無を確認しました。

 

 

 

【参拝ルート】

2022年 6月 9日

START 東葉高速鉄道・東海神駅~1.4km~①夏見 日枝神社 ~240m~八栄小学校入口バス停→京成バス[船53]→JR船橋駅北口~船橋駅→総武線→西船橋駅~1.1km~タカナカ理容店(=印内 春日神社の御朱印を受ける)~750m~②古作 熊野神社~700m~印内バス停→京成バス・西船橋駅行→JR・西船橋駅=GOAL

 

 

 

【編集後記】
◆薬王寺

 バス停から坂道を上ると、右手に現れる寺院が薬王寺。当社のすぐ近くです。

こちらの御本尊は薬師如来。これは、実に示唆的です。

 すなわち、薬師如来とは、神仏習合の「本地垂迹説」に基けば、大山咋神(当社祭神)の本地仏とされているのです。この一致は偶然でしょうか。

 

 

◆境内の雰囲気

 当社は、御朱印こそありませんが、水も緑も素晴しいです。静寂もまた維持されていて、とても良い神社でした。(了)