鷺沼 根神社 

 当社は高台に鎮座します。境内は緑に溢れ、さわやかさ満載の神社でした。

近くには、鷺沼城(=中世の山城)の跡地を整備した公園があり、古墳などもあります。

◇鎮座地:千葉県習志野市鷺沼1-8-20

◇最寄駅:京成本線・京成津田沼駅~1.1km

◇御祭神:面足尊、惶根尊、素盞嗚尊、猿田彦神

◇御朱印:なし(おそらく)

 

 

 

【当社への道】

 京成津田沼駅 南口から習志野市役所方面へ進み、「市役所前」交差点を右折します。「菊田遊歩道」から鷺沼城址に登ります。

 

 

◆菊田遊歩道

 この道はかつて小川だったそうです。今は暗渠化し、遊歩道に。左手は丘の崖です。

 

 

◆鷺沼城址公園へ

長い階段を登りきると、広場に出ます。広場には古墳や石碑があります。

 

 

◆鷺沼源太満義の碑

鷺沼城を築城したとされる人物の石碑です。

『鎌倉殿』ネタを1つ。源頼朝が上総広常、千葉常胤らを従えて当地を訪れ、兵を整えた上で宿泊した、と伝わります。

 

 

鷺沼城址公園を抜ければ、当社まであと300mです。

 

 

【参道】

◆社頭

 既に高台ですが、さらにスロープと石段を上っていきます。

 

 

 

 

 

◆大鳥居

 

 

 

 

◆手水舎

 

水道栓を開くと、水盤を跨ぐ形の竹筒から水が流れます。水勢は強めでイイ感じ。

 

 

 

【社殿】

◆拝殿

 

 

◆御祭神

オモダル&アヤカシコネ

 修験者が信奉した仏神「第六天魔王・第六天」は、明治の神仏分離の際、面足尊、惶根尊に擬せられました。当社は、元第六天社?

 

 第六天社は、社号や祭神の変更を強いられた際、祭神である「第六」に関連させました。この夫婦神は、日本神話《神世七代》の六代目にあたるため、「六つながり」で選ばれた神です。

 

 第六天は、主に関東地方に広く分布しています。元・第六天は、墨田区の高木神社、渋谷区の隠田神社などです。西日本に少ないのは豊臣秀吉がつぶしまくったため。秀吉は第六天魔王の神威を恐れました。

by『日本の神様事典』柏書房 ほか

 

 

 

 

 

◆下総 三山七年祭

 当社は、『七年祭』に参加する9社に入っておりません。

しかし、大祭の前日に出番があります。祭りの参加者が身を清める「禊式」です。

 

 かつての禊式は、海で斎行されました。鷺沼浜は遠浅なので、かなり海中を進んでも胸の深さだったそうです。1kmほど沖で禊したそうです。今では、2km以上先まで埋め立てられています。

 

 現在の禊式は、根神社の800mほど南にある「袖ヶ浦運動公園」の一角に設えられた「式場」で斎行されます。

 

 禊式を終えた参加者は、根神社の氏子から接待を受けます。

翌日、当社氏子は祭に参加しませんが、客人として招かれます。9社の神輿が集まる「神揃場」に桟敷席が用意され、禊式の御礼に接待を受けます。

 

と、このような形で当社は『七年祭』に関わっています。

 

by 船橋市・習志野市のHP

 

 

 

 

 

 

◆本殿

 本殿は、維持管理されていて、放置~荒廃といった気配がまったくありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

【御嶽大神】

 御嶽大神側の斜面は護壁工事がなされています。その結果、下からの石段は潰され、ラスト3段しか残っておりません。

 

 

◆行者 一心

 注連柱は、「一心子勝講」と刻まれています。

一心とは行者の名で、木曽御嶽信仰を信奉する者で知らぬ人はないほど有名です。

 

 

◆「オンタケ」と「ミタケ」

 標記される文字は同じ「御嶽」でも、読みが異なることで別々の宗派になります。

 

 

◆「山に〇と三」の神紋

 「オンタケ」・「ミタケ」の区別は、もっとも分かりやすいのが社紋です。

この社紋があれば、「木曽御嶽(おんたけ)神社」の系統です。

 

御嶽教は、 創始者(=覚明行者、普寛行者)の弟子である、一心行者や一山行者が組織した講が関東一円に広がっています。当社は、一心に関連する講のようです。

by木曽御嶽神社HP

 

 

◆霊神碑(れいじんひ)

 霊神碑は、御嶽教の信者たちの「死後、自分の魂はお山に帰って、永遠に大神さまに仕える」という思いを形にしたものです。

 肉体は滅んでも、魂は永遠に生き続ける、ということですね。

 

 木曽御嶽山では、登山口やその周辺に、こうした碑が2万基以上建立されています。

by木曽御嶽神社HP

 

 木曽御嶽山の中を車で走り、車窓風景を10分ほどの動画にしたものをyou-tubeで観ました。霊神碑が延々と続くさまは、異様な光景でした。少々、怖さを感じました。

 

 

◇参考「みたけ」

 明治の神仏分離の際、蔵王権現を祀る神社は、御嶽(みたけ)神社、金峯神社、蔵王神社などと改称されました。

※蔵王権現とは、修験道において、釈迦如来(過去世)、千手観音(現在世)、弥勒菩薩(未来世)が権化し出現したとされます。

 また、神道において、大己貴命、少彦名命、国常立尊、安閑天皇、金山毘古命と習合・同一視されました。渋谷の宮益御嶽神社などがこの系統です。

 

 

 

【境内社】

◆古峯神社

 栃木県鹿沼市に本社を置く「古峯神社」の分社かと思われます。

であれば、祭神は日本武尊になります。

 神の使いは天狗とされ、「古峯神社=天狗の社」として知られます。

 

 

◆神仏習合の「古峯」

 古峯神社は、神仏分離まで日光修験の道場でもありました。火伏や豊作・村内安全の神として庶民の崇敬を集めました。

 東日本を中心に、崇敬者による「古峯講」などの講が活動しています。当社もその流れで建立されたのでしょう。

 

 

◆不明石祠①

 御嶽大神の傍らに鎮座。御嶽教関連の石祠かもしれないです。

 

 

◆不明石祠②

 境内の西側斜面に鎮座。

 

 

 

【境外社】

 スロープの下に2社が鎮座します。

 

 

◆不二見神社

 

 

◆子安神社

 

 

 

◆社務所(鷺沼集会所)

 境外社:不二見神社の裏手です。

 

 

◆回廊

 社務所の庭から拝殿に直行できる石段です。

 

 

 

【御朱印】

 おそらくなし。

『下総 三山七年祭』の際であれば、授与可能かもしれません。(未確認)

 

 

 

【参拝ルート】

2022年 5月19日

START=京成本線・実籾駅~290m~道祖神~160m~①大原神社~実籾駅→京成線→京成津田沼駅・南口~850m~鷺沼城址公園・鷺沼古墳群・源太宮~300m~②根神社 ~1.2km~京成津田沼駅・南口=GOAL
※京成津田沼駅は、北口に「菊田神社」もあります。今回はスルーしました。

 

 

 

【編集後記】

◆さわやかな風

 当社は、緑豊かな丘の上に鎮座します。筆者が境内に滞在している間中、さわやかな微風が断続的に吹いてきました。神社に吹く風の筆舌に尽くしがたい心地よさ。これは、経験されたた方々ならおわかりのことでしょう。

 ご朱印をもらうことはできませんでしたが、とても良い時間を過すことができました。

 

 鷺沼根神社、素晴らしい神社でした。おかげで心身がとっても癒されました。 (了)