今戸 熱田神社
当社の御宝刀「陰陽丸」は、長さ約4m。東国一の長さです。
◇鎮座地:東京都台東区今戸2-13-6
◇最寄駅:浅草駅~1.2km
(東京メトロ、東武スカイツリーライン)
◇バス停:今戸2丁目~60m
(台東区コミュティ・バス)
◇御祭神:日本武命、橘姫命
◇御神体:大太刀「陰陽丸」
◇御朱印:なし
※祭神の表記
当社では、祭神名が一般的表記ではありません。
◇日本武命
皇室関連の神さまには「尊」を用います。しかし、当社は「命」を使います。
◇橘姫
日本書紀=弟橘媛、古事記=弟橘比売命、旧事本紀=橘媛。
当社祭神はどれにも該当しませんが、同一人物かと思われます。
◎当社への道のり
上野は不忍池畔・水上音楽堂前のバス停から台東区・コミュニティバスに乗りました。
◆大鳥居
◆手水舎
竹筒から微量な水が流れ続けています。
◆手水舎から拝殿を遠望
狛犬はおりません。
【社殿】
◆拝殿
創建は、室町時代。元亀2年(1571年)に浅草・鳥越に鎮座。とされています。
江戸時代、社地が幕府の御用地となり、武蔵国豊島郡三谷村(現・東浅草)へと遷座しました。
◆神額
社号に「熱田」を戴きますが、熱田神宮との直接的な関係はないようです。
◆繰り返された遷座
当社は2度ほど遷座しています。
→室町時代:浅草鳥越の地に創建
→江戸時代:豊島郡三谷(さんや)村へ遷座。
→昭和時代:台東区今戸町へ遷座。
◆コロナ対応された鈴緒
【神紋】
雲紋の一種は「八雲」です。
由緒によれば、ヤマトタケルに由来するとのこと。
ヤマトタケルが伊吹山の神と対決した際の逸話によるものかと思われます。
→伊吹の神は、雲を起こし、氷雨を降らせるなどして、ヤマトタケルを病身にした。これが死につながった。
◆賽銭箱と水盤の神紋
◆拝殿と幣殿
当社は、関東大震災で被災。
現在地に遷座の際、社殿を鉄筋コンクリートにて造営しました。
◆本殿
【日本武尊の妃】
ヤマトタケルには、何人かの妃がいます。
その中に、重要人物が2名います。
①弟橘姫(おとたちばなひめ)
②宮簀媛(みやずひめ)
①橘姫(=当社祭神)
この媛は、夫の窮地を救ったことから、「夫婦愛」の文脈で語られます。
→媛は、海神の怒りを納めるため人身御供として海にダイブして、夫を救います。
②宮簀媛
この媛は、「熱田神宮創始に関わる人物」として語られます。
→ヤマトタケルが宮酢媛命の家に宿泊。その時、剣が神々しく光り輝いたため、宮酢媛命にその剣を奉斎することを命じ、そこで建てたのが熱田神宮だとされています。
いかがでしょう。
当社の社号は「熱田神社」です。
御祭神は、橘姫より宮簀媛のほうが相応しいように思います。
【ご神体】
熱田神宮に「三種の神器」の1つである草薙剣があるように、当社にも神宝の刀剣が存在します。
◆陰陽丸
(おんようまる)
全長:368.5cm。鹿島神宮のご神体=「韴霊剣(フツノミタマ)」より長い大太刀です。
通常、袋に納めて本殿の壁にかけられていますが、例大祭では、拝殿前に披露されます。
※写真は東京都神社庁HPより
江戸時代は、安政5年(1858年)にコレラが大流行。
その際、陰陽丸を町内巡行させ、疫病退散の行事をおこなったそうです。by由緒
【境内社】
由緒によれば、合祀の形でいくつかの境内社があるようです。
①豊川出世稲荷神社
→合祀:天満宮・疱瘡神
②厳島神社
→合祀:八幡社・青木稲荷社・庚申金毘羅合殿
①豊川出世稲荷神社
祭神:倉稲魂命
石鳥居、朱色鳥居、水盤、狛狐、拝殿、本殿を備えています。
◆水盤
手水舎こそありませんが、水盤の竹筒から清水が止めどなく流れていました。凄いことです!
◆拝殿
当社には、福寿稲荷神社も合祀されています。
◆本殿
◆境外から見る出世稲荷社
②厳島神社
祭神:素戔嗚尊、田霧(←ママ)姫命、湍津姫、市杵島姫命、倭姫命
社前には、 小さいながらも池がしつらえられています。
【境内点描】
◆狐塚
◆神輿庫
【御朱印】
社務所玄関の貼り紙です。
【参拝ルート】
2022年 2月 8日
START=上野公園・黒門跡(=人工滝)~500m~東照宮・大鳥居~参道・150m~①東照宮~230m~②花園稲荷神社&穴稲荷社~③五條天神社~700m~④境 稲荷神社&弁慶鏡ヶ井戸~550m~台東区循環バス・水上音楽堂前バス停→(めぐりん東西ルート)→浅草駅前バス停→無料乗り継ぎ→ (めぐりん北ルート:浅草回り)→今戸2丁目バス停~200m~⑤熱田神社 ~600m~⑥浅間神社~850m~鷲神社バス停→(めぐりん北ルート:根岸回り)→下谷3丁目バス停~60m~⑦三島神社~500m~東京メトロ日比谷線・入谷駅=GOAL
【編集後記】
◆山谷 熱田明神社
『江戸名所図会』巻六・第十七冊基いた「大人の塗り絵」より。
江戸時代の版画に描かれた当社。境内の広さは、現在と比べるべくもありません。
◆当社の印象
《水への配慮が申し分ない》
社務所が無人。その玄関には御朱印を扱わない旨の掲示まであります。しかし、御朱印とは付加価値的なもの。《神社の核心=手水》はきちんと供給されています。しかも、そうした配慮は、境内社の手水にまで及んでいます。素晴らしい!
また、拝殿の賽銭箱の横に設置されたクリアファイルには、手作り『由緒』(表紙を含め12ページ)まで用意されていました。 (了)