瀬戸 宗像神社
千葉県・印旛沼の西側には、狭い地域に13社もの宗像神社が点在します。
◇鎮座地:千葉県印西市瀬戸1081
◇最寄駅:印旛郵便局バス停から約400m
→以下駅と北総線・日本医大をつなぐバス
①京成佐倉駅(なの花交通バス)
②京成酒々井駅(ちばレインボーバス)
◇御祭神:市寸島比売命、多紀理毘売命、多岐都比売命
→当社は、多紀理毘売に「毘」を使い、「びめ」と濁ります。
◇御朱印:たぶんありません
【当社への道程】
バスを降りたら、「瀬戸交差点」を南下します。交差点は、コンビニが目印になります。
◆追分
道なりに400mほど行くと、小さな塚がある追分に出ます。当社は、その右手。
◆小さな塚
こじんまりとした美しい塚は、何本かの樹木、石碑、石塔が並びます。
◆塚側から境内を望む
社叢の向こうに社殿を遠望できます。
◆大鳥居
丹塗りされた木製の両部鳥居と手水舎。
浄めの水は水道栓から供給されます。
◎航海神
宗像の神は、村人の安全を守る共同体の守り神ではありません。ヤマトの軍事・外交に関わる航海の神であり、国家的な祭祀対象となる神です。
古代において、海外に渡るには航海技術だけでは不十分でした。加えて、神々の援助が必要と考えられていました。
by『神社の古代史』岡田精司 p.75
【社殿】
◆拝殿
◎役割分担もしくは縄張り
航海の神は、ほかにもいます。大阪の住吉神です。
なるほど、朝鮮に渡るためには、玄界灘を支配する宗像の神の助けが必要です。しかし、都から九州への航海は、宗像の神では難しいのです。
畿内から九州に行く際は、「住吉さん」の助けが必要でした。
◆遠景
境外から拝殿と本殿を遠望。
◆本殿
流造の美しい本殿です。
◎宗像三女神は特別
宗像の女神は、神話の上でも特別な神として扱われています。記紀の神話で活躍する神々は、出雲神話を別にすれば、すべて大和、河内、そして伊勢の神々に限られます。
ところが、宗像の女神だけは九州の土地神。しかも、その神話はアマテラス大神に関わる重要な物語の中に登場します。
by『神社の古代史』岡田精司 p.79
◆右サイドから望む
◆裏手から望む
◎天津神か国津神か
地方豪族宗像氏の神なので、天津神の扱いはできない。
しかし、国津神としては最高の扱いにしたい。
そのため、以下のような神話が作られたものと思われます。
天津神最高神=アマテラスと国津神=スサノオの誓約によって宗像三神が誕生。アマテラスはスサノオの剣を砕いたのち、自身の口から三女神を吹き出しました。そして、女神たちをスサノオの子と承認しました。
【別宮】
当社の別宮では、「水」と「風」に関わる神を祀っています。
◆別宮1
御祭神:水に関わる神(=4柱)
・水は農耕に不可欠。よって、水の神は、五穀豊穣を約束してくれる神でもあります。
◇水分神(みくまりのかみ)
水を司る神。「くまり」は「配り」の意で、水源や水路の分水点などに祀られます。
→天水分神、国水分神
◇龗神(おかみのかみ)
雨を司る神。龗は龍の古語です。
→高龗神、闇龗神
◆別宮2
御祭神:風に関わる神(=2柱)
・風は神様の息であるとされてきました。風の神は生命の根源を司るとも言われています。
◇風神
風を司る神。この神は、伊勢神宮(内宮&外宮)でも祀っています。
→級長津彦命、級長戸辺命
(別名:天御柱神、国御柱神)
【境内社】
境内の東・西・北に末社が鎮座します。
◆御嶽神社
御祭神:国常立神、大己貴神、少彦名神
◆本殿の西側(2社)
①子安神社
御祭神:木花咲耶姫命
左手の石祠が当社です。
②疱瘡神社
御祭神:大直日神
(おおなおひのかみ)
穢れを払い、禍(まが)を直す神とされます。 この種の神に用いる紙垂はたいてい赤色です。
この神は、伊弉諾尊が禊した際に生まれました。
その場所は、筑紫の檍原(あわきはら)。宗像大社が鎮座するのも筑紫です。
◆本殿の裏手(5社)
①左:三峯神社(伊弉諾尊、伊弉冉尊)
②右:八坂神社(素戔嗚尊)
③羽黒権現
出羽国羽黒山の山岳信仰と修験道に基づく神仏習合の神。
本地垂迹説に基づき、聖観音菩薩を本地仏として、権の姿(=仮の姿)で現れた神とされます。
byウイキ
◆石祠群
左=第六天神社、右・中央=不明
④=左の御祭神:第六天魔王でなく、なぜか弁財天。
⑤=中は狐が何体か転がっていたので、たぶん稲荷社。
⑥=右は社号もしくは祭神名が削られていました。
◆本殿の東側
石祠が2つ。祭神は不明です。
【御朱印】
たぶん、ありません。
【参拝ルート】
2021年 5月26日
START=09:31着 京成佐倉駅~850m~①岩名麻賀多神社~100m~コミュニティバス・宮前1丁目バス停 10:16発→(内郷ルート・右回り)→飯野バス停 10:22着~160m~②飯野麻賀多神社~550m~なの花交通・白翆園バス停 11:10発→日本医大 行→ 印旛郵便局バス停 11:20着~400m~③瀬戸宗像神社&昼食~徒歩~なの花交通・印旛郵便局バス停 12:51発→小林駅 行→一本松バス停 12:57着~1.2km~④吉高宗像神社~1km~(吉高の大桜)~1.8km~印旛郵便局バス停 14:34発→京成佐倉駅 行→京成佐倉駅バス停 14:48着~徒歩~京成佐倉駅 14:51発→特急・上野 行=GOAL
【編集後記】
◆神前で性的行為
『日本書紀』~「雄略紀」
天皇の命令で、宗像において神事をしている最中、祭壇を穢す行為があった。宗像の神のタタリを恐れて使者を処刑した。と、書かれています。
→①天皇が宗像の神を祭祀したという貴重な記述。
→②男女二人の使者が派遣されたこと。
→③あろうことか、祭壇で性的行為が行われたこと。
そもそも、神事を斎行した理由は、天皇が新羅を討とうと計画したためです。朝廷は、出発の1か月前から宗像に使者を出して航海の安全を祈りました。しかし、祭場において、使者が采女を強姦してしまっては、「神託によって遠征を中止。」と、せざるをえませんでした。
by『神社の古代史』岡田精司 p.82
◆瀬戸宗像神社
小さな神社ですが、居心地は良好でした。社頭の塚も良い雰囲気。多くの境内社が鎮座する中、「水の神」と「川の神」を別宮として特別な扱いにしているところが印象に残りました。 (了)