香取神宮・境外摂社
①又見神社 (またみ)
当社は、香取神宮祭祀に関わる 《香取氏にとって重要な神社》 です。
別名:若御児神社=若宮
主祭神:天苗加命(あめのなえます命)
この神は、経津主大神の御子神です。
そのため、当社は「若御子神社」とも呼ばれています。また、香取氏の祖神でもあります。
◇鎮座地:千葉県香取市香取1480
◇最寄駅:JR成田線
→佐原駅から3.2km
→香取駅から2.0km
◇御祭神
①天苗加命→別名:朝比古命
②武沼井命(たけぬいのみこと)
③天押雲命(あめのおしくものみこと)
※天稚彦(あめわかひこ)、下照姫(したてるひめ)を加えて5柱とする説あり
◇御朱印:なし
【又見神社に向かう】
◆起点
又見神社は、総門から650mほど。
総門の石段は、上がっても、上がらなくても、どちらでも大丈夫。旧参道を経由して、行くことができます。
◆旧参道
◇総門石段を上らない場合
→総門石段の手前を左へ進み、旧参道に入ります。
◇総門石段を上った場合
→手水舎を左に折れ、この石段を下りて旧参道に入ります。
◆笹川屋旅館
旧参道を進み、この旅館がある十字路を右折します。
ちなみに、左折すると香取・奥宮。
◆昔の笹川屋旅館
下總香取町宮中四ツ角 杉香楼 笹川屋旅館 と書かれています。*この古写真はネットから拝借
笹川屋旅館の十字路を右折して、すぐに左の路地へ。「若宮坂」を下ります。
道なりに進むと、正面の丘に鹿島鳥居が見えます。
又見神社ではありませんが、立ち寄ります。
◆八剱神社・若宮神社
由緒板もなく、御祭神は不明でした。
祭神不明とはいえ、八剱神社は日本武尊を祀っていることが多いようです。
若宮神社の場合、まず本宮があり、その御子神を祀るのが一般的です。本宮が不明です。
◆又見神社への近道
又見神社は、この丘の向こう側。Googleは、石段に面した道を右に行くよう指示します。しかし、それは四角形の3辺を行く遠回り道です。
左手は、ガードレール付きの坂道を上れば、1辺を行くだけです。
◆切通道
八剱神社の丘を斜め左に入ると、いい感じの切通道。ここを抜けていきます。
【又見神社】
◆社頭
石段の左には、スダジイの大木。
◆石段
鳥のさえずりを聴き、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みました。
◆瑞垣御門
当社は、拝殿を持っておりません。
記事冒頭で瑞垣の扉が新装された写真を使用しました。なので、こちらでは昨年末に撮影したものを貼ります。瑞垣の扉は修繕前です。扉が開いているのは、氏子さんが内部を清掃中でした。
◆本殿
御祭神の神名は、3柱とも馴染みのない神名です。しかし、その親神は、フツヌシ、タケミカヅチ、アメノコヤネ。すべて天津神のスーパー・スターであり、春日大社の祭神です。
【祭祀氏族の変遷】
①香取神宮の祭祀氏族
古くは香取連(かとりのむらじ)。すなわち、香取氏です。
②香取氏の始祖
始祖は 天苗益命(又見神社祭神)
西暦700年頃、天苗益の子孫が「香取連」を名乗り、香取社を奉斎し始めます。
③大中臣氏の介入
香取神宮の祭祀に中臣氏が絡むようになって、雲行きがおかしくなります。
④香取家に養子
大中臣清暢が《香取連 五百島》家の養子に入り、香取大宮司となります。
また、清暢の子・秋雄が香取大禰宜となりました。
以後、祭祀の中核を担う大宮司と大禰宜の地位を大中臣氏が独占。香取氏の影が薄れていきます。この体制は、平安時代末期まで続きました。
【境内社】
香取神宮・境外末社
②三島神社
御祭神:香取連 三島命
香取氏は、五百島(いおしま)の家系に、大中臣氏の血が入り、乗っ取られた格好です。
一方、当社祭神である「三島」は、五百島の兄弟。こちらは、ピュアな香取氏です。
こちらも瑞垣+本殿となり、拝殿を持ちません。
◎香取連 五百島は老後、匝瑳地区に隠居しました。
香取連 三島が境外末社『三島神社』の祭神なら、五百島もどこかで祀られているはず。
もしかしたら、境内摂社『匝瑳神社』の隠れ祭神?
あるいは、匝瑳市『老尾神社』の隠れ祭神?
さらには・・・
先日、Googleマップで香取市内を眺めていたところ、『香取家 氏神』という神社を発見しました。
となると、そこで祀られている?
不謹慎かもしれませんが、興味はつきません。
【又見古墳】
又見神社は又見古墳と一体化しています。
拝殿の横に解説板がありました。
古墳は7世紀半ばに築造された、と。
それは良いとして、驚いたのは・・・
「現在、石室があるのみで
墳丘は確認できない」
とする記述でした。
筆者は、古墳上に神社が建てられた。と、そう思っていました。違うのだそうです。
◆境内左隅
ゆるやかな自然のスロープは、古墳へ登って行くための道のようです。
◆墳丘でないのなら・・・
社殿や石室がある場所に出るため、長い石段を上りました。そこそこ高い丘です。社殿の裏手は、さらに盛り上がっています。にもかかわらず、「墳丘は確認できない」では、訳が分かりません。
◆石室
又見神社に向かって右横に隣接します。「境内を拡張した際に、むき出しになった」とされる石室。これもよく分からない話です。ただ、石室付近に妖しげな「気」は感じられません。
【御朱印】
又見神社、三島神社ともありません。
【参拝ルート】
2020年12月14日
《香取神宮 年末詣》
START=JR成田線・佐原駅~駅前バス停→循環バス→①『香取神宮』~徒歩350m~②八剱神社・若宮神社~徒歩250m~ ③摂社『又見神社』&末社『三島神社』 ~徒歩~(梅乃屋本店・蕎麦)~香取神宮バス停→循環バス→佐原駅~徒歩~観光案内所→自転車(約5km)→④摂社『返田神社』→自転車→観光案内所・自転車返却~徒歩~佐原駅=GOAL
【編集後記】
◆香取神宮の摂社
《9摂社》
社号と祭神
◇境内
①匝瑳神社(経津主大神の御親神)数m
②鹿島新宮(武甕槌大神)数m
◇境外
③奥宮(経津主大神の荒魂)300m
④又見神社(経津主大神の御子神)650m
⑤忍男神社(イザナギ)1.9km
⑥膽男神社(大国主)2.0km
⑦側高神社(古来より秘密)3.3km
→忌部系の天日鷲命らしい・・・
⑧返田神社(カグツチ)5.2km
⑨大戸神社(天手力男)6.9km
*本殿からの距離を併記しました。
◆又見神社と三島神社
今回は、2回目の訪問でした。御神域の雰囲気は気に入っています。
香取神宮の摂社・末社(=全30社)の中で「奥宮」に次いで、当社が好きかもしれません。丘からの見晴らしも良いです。次は、季節を変えて訪れてみたいと思っています。 (了)
*香取護国神社は、摂社・末社としてカウントしておりません。