赤塚氷川神社 (あかつか)

*旧称:氷川御霊合社

 →江戸時代に編まれた『新編武蔵風土記稿』は、この社号を記載。

 

《富士塚と木曽御嶽塚がある神社》

 室町時代(1458年)の創建。赤塚城主・千葉介自胤が武蔵國一之宮=氷川神社の御分霊を勧請しました。

 当社の特徴は、①長い参道、②富士塚、③木曽御嶽塚 などです。

 

◇鎮座地:東京都板橋区赤塚4-22-1

◇最寄駅:東武東上線・成増駅~900m

◇御祭神:素戔鳴尊

◇相殿神:藤原広継命*

◇御朱印:あり→拝受

◇社格等:村社

 

*藤原広継=広嗣(ひろつぐ)・・・奈良時代末、菅原道真のタタリで藤原4兄弟が相次いで死去。政権内で反・藤原勢力が台頭した背景のもと、広嗣は大宰府に左遷されます。彼は、政権への不満から九州で反旗を翻します。しかし、政府軍に鎮圧されました。

→こうした人物が東京板橋区に、しかも氷川神社に合祀されている。ゆえに、氷川御霊合社と称していたのです

 

 

 

【表参道】

◆一之鳥居

 こちらをくぐると、すぐ左手に不動尊の祠がありますが、仏教施設は割愛します。

 

◆並木

 この辺り、参道両側には民家も見えて、まだ世俗的な雰囲気が残ります。

 

 

◆二之鳥居が見えてきました

 参道の先に、朱色の鳥居が遠望できます。

 

◆二之鳥居

 屋根付きの「定」、木製の常夜燈と玉垣

 近年に再塗装されたとみられる両部鳥居。一之鳥居から約200mの距離です。

 

◆御霊神社

 神額には、御霊神社が併記されています。

 藤原広嗣を祀るのでしょう。広嗣は、処刑でした。これは、怨霊化しやすい死に方です。よって、都では『南都鏡神社』を作り、広嗣を鎮魂しました。

 問題は、なぜ、東国の片田舎・赤塚村「氷川神社」でも祀られるようになったのか!? なのですが、理由は不明です。ちなみに、関東の御霊系神社は、神奈川県に集中しています。

 

 

◇奈良・南都鏡神社に関連して

 藤原広嗣の御霊社である、南都鏡神社。隣接地に摂社「比賣神社」があり、あの十市皇女(とおちのひめみこ)が祀られています。高市皇子(たけちのみこ)と相思相愛でありながら、大友皇子(おおとものみこ)と政略結婚させられた悲劇の姫です。このあたり、里中満智子『天上の虹-持統天皇物語-』の愛読者なら、足を運びたいと思ってしまう神社ではないでしょうか。

 

 

◆常夜燈

 

◆狛犬

 精悍な表情です。

 

 

◆手水舎

 水盤は撮影したつもりでしたが、忘れました。

 

 

◆拝殿を遠望

 手水舎付近から拝殿を遠望しました。

 

 

【社殿】

◆拝殿

 

 

 

◆覆い殿

 ガラス張りの覆い殿。拝殿&覆い殿ともコンクリート造ですが、内部の本殿は木造です。

 

 

【境内点描】

◆神楽殿

 

◆神輿庫

 

 

【2つの御塚】

①木曽御嶽塚(おんたけ)

江戸時代後期に、木曽御嶽講中のひとつ「赤塚一山講」によって築造されたそうです。

◆登山道

 頂上までの高さは、2~3m程度です。石碑が林立しています。

 

◆頂上

 左手石碑には、八海山、御嶽山、三笠山と刻まれています。

 

 

②富士塚

◆鳥居

 こちらでも石碑が乱立しています。

 

◆里宮

 鳥居の左手に鎮座します。

 

◆登山道

 登り始めてすぐに、道は2つのルートを形成します。「富士浅間大神」の石碑右横にもう1本のルートがあります。

 

◆中腹

 鎮座位置から推測して「小御嶽(みたけ)神社」かと思われます。となれば、御祭神は磐長姫命

 

◆山頂「奥宮」

 祭神は、明記されておりませんが、フツーに木花開耶姫命でしょう。

祠の台座部分には、近年設置されたと思しき、大黒天と恵比寿の石像。

 

 

【境内社】

拝殿右サイドに6つの社や祠が並びます。

◆右から、合祀社(天祖神社・八幡神社)、榛名神社、白山神社

 

◆左から、三峯神社、痘瘡神社、大山阿夫利神社

 

◆大国主神社

 本殿の左サイド、木曽御嶽塚の麓に鎮座しています。

 

◆稲荷神社

 本殿の裏手にポツンと鎮座しています。

 

 

【御朱印】

 宮司さんが社務所から出てきたところを声掛けして、御朱印をお願いしました。当社は、次に参拝予定の「赤塚諏訪神社」の兼務社です。併せて拝受したかったのですが、印璽が諏訪神社にあるとのことで、いただけませんでした。

 

◆社務所

 宮司さんが出てきたのは、所用で外出するためでした。それをお引止めし、境内社すべての神社名を聞き取り取材させていただきました。御忙しいところ、ありがとうございました。

 

 

【参拝ルート】

2019年 7月18日

◆成増に鎮座する国津神の社を歩く

START 東武東上線「成増駅」~徒歩900m~①『赤塚氷川神社』 ~徒歩400m~板橋区『郷土資料館』~徒歩550m~②『赤塚諏訪神社』~徒歩100m~『赤塚諏訪神社・富士塚』~徒歩1km~都営地下鉄三田線「新高島平駅」=GOAL

 

 

【編集後記】

◆乳房大神

 江戸時代に作られた怪談にまつわる石碑で、「氷川神社」一之鳥居の向かいに建てられています。乳房に関する病に霊験があるそうです。ちなみに、怪談噺に出てくるのは榎ですが、こちらは欅。樹齢は、1700年超と言われています。

 

 

赤塚氷川神社を出て、赤塚諏訪神社に向かう途中、板橋区の「郷土資料館」があったので、寄ってみました。

 

◆郷土資料館

 古民家が移築されています。母屋と納屋でしょうか。

資料館の裏庭に当たるこの辺り、ホッとさせてくれる雰囲気が漂います。

 

 

 

郷土資料館から赤塚諏訪神社まで、500mほどです。(了)