喜多見氷川神社 

(きたみ)

 

《緑が際立つ静寂な参道》

 境内には「立石」、すなわち陰陽石も祀られています。

◇鎮座地:東京都世田谷区喜多見4-26-1

◇最寄駅:小田急線・喜多見駅~1.4km

◇御祭神:素戔嗚尊

◇配祀神:天照大神、稲田姫命

◇御朱印:あり

◇社格等:郷社

 

 

 

【表参道】

◆一之鳥居

きちんと整備された参道と言うより、雑木林の中を進んで行く感じ。気持ち良いです。

 

 

◆二之鳥居

~高さは3mほどですが、存在感たっぷりの石鳥居です。台石上部の根巻き(太くなっている部分)は、長さが柱の3分の1ほどに達します。1654年に寄進されました。(案内板より)

ネットに、例大祭時の写真がありました。この参道に、赤青黄色の派手な屋台がびっしりと並んでいました。おそらく匂いも凄いでしょう。この静謐な参道が悲惨な状況に陥っていました。

 

 

◆参道終点

~終点には、結界を思わせる石の垣根。ここを越えると、手水舎・祓戸・狛犬・茅の輪、そして拝殿と続きます。

 

 

◆手水舎

~背後の竹林に溶け込んだ、美しい手水舎です。屋根を支える柱は、左右各1本。それを稚児柱で補強しています。

 清水が流れ続けていること。これは、浄め続けているということ。流水は、周辺の気をも清浄にします。

水がもったいない気もしないではないのですが、神社の水盤として理想形ではないでしょうか。

 

 

◆祓戸

~祓戸では、白石を敷くケースが散見されます。こちらは土を露出させていて、素朴です。

 

 

 

【社殿】

◆拝殿

~入母屋造りの社殿は、きわめて重厚。まるで、寺院のような雰囲気を感じます。

 

 

◆神額

~簡素の極み。

 

 

◆蟇股(かえるまた)

~拝殿軒下を撮影していたところ、蟇股に樹木名が彫刻されていることに気づきました。境内を清掃中の宮司さんにお尋ねしたところ、「素戔嗚尊に関係のある樹木」とのことでした。

 

 

◆スサノオと樹木にまつわるエピソード

~日本書記の一文に、スサノオと彼の子らによる大八洲国を作った話の中にこれらの樹木が出てきます。「髭を抜いて放つとの木になった。胸の毛を抜いて放つとになった。尻の毛はの木になった。眉の毛はになった」と。*気になる点=槙が無く、話に出ない榊が彫られていること。

 

 

◆祭神・スサノオは蕃神?

~天照大神によって、高天原を追放されたスサノオは、新羅の曾尸茂梨(ソシモリ)に降り立ちます。神とは、その神を信仰する人々の居住地に降臨するのが常です。したがって、スサノオは新羅の神だった過去がある、という説があります。その後、彼は「こんな国に居たくない」と、出雲・簸川の川上へと逃げてきます。by 古事記  *蕃神(ばんしん)=異国から来た神。

 

 

表参道終盤の竹林

 

 

◆本殿

 

 

 

【境内点描1】

◆立石大神

~手水舎の隣に小祠があります。案内板がなかったので、再び宮司さんにお尋ねしました。

付近より出土した石棒(=陰陽石)を子孫繁栄の「立石大神」として祀っている。とのことでした。

 

 

◆龍石

~奇岩です。近年に奉納されたのでしょうか。とくに「言われ」などは無いようです。

 

 

◆神楽殿

~神楽殿の前は、駐車スペースでした。関係者専用なのか、来場者もOKなのか、不明です。

 

 

◆社務所

 

 

◆神輿庫

 

 

 

【境内社】

拝殿の左手が境内社エリア。アルミ・フェンスで仕切っていますが、中に入れます。夜7時から朝6時まで、立ち入り禁止となります。

 

 

◆七つ宮

~稲荷神社・天神社・大山祇神社・月讀神社・出雲神社・大鳥神社・祖霊社が祀られている「寄せ宮」です。この一角は、氷川神社の持つ「やわらかい空気」とは異質な空気感でした。

施錠されてなかったので、中に入ってみました。一例として、月讀神社と出雲神社を撮影。

 

 

◆水盤遺構

~棕櫚紋といえば浅間神社ですが、いちおう調べてみました。葉が11枚あるものは、とくに「米津棕櫚」といって、源氏の支流である米津氏の家紋でした。→源氏の米津≒米津玄師?

 

 

◆稲荷神社

~縁の上には、中央の鏡を囲むように白狐などがたくさん並んでいました。

 

 

◆正体不明の石像

~叢に鎮座する、いくつかのお地蔵さん。フェンスの中、しかも空気の異なる一角です。仏教関連の物件があっても、とくに抵抗ありませんでした。

 

 

 

【境内点描2】

◆裏参道

~駅から徒歩で来たら、こちらに出てしまいました。一之鳥居を目指して、荒垣の周りをぐるりと回りました。クルマで来た場合、こちらから中に入れそうです。

 

◆水盤

~草むらに、注連縄。この下に、天然石をくり抜いた水盤がありました。

 

 

◆忠魂碑など

~一之鳥居右手の荒垣内。左:「戦捷記念碑」右:「戦没者慰霊碑」、中央奥:「忠魂碑」と並び、空気が清涼な一角です。

 

 

 

【御朱印】

~青色のアジサイ、緑色の茅の輪。これらは、季節により入れ替わるハンコかと思われます。

 

 

◆笠と蓑

~授与所に掛けられていました。御朱印拝受後、宮司さんから許可をもらって撮影しました。

 

 

 

【参拝ルート】 2019年 6月26日

◆狛江・調布の古社を歩く

START 小田急線「喜多見駅」~徒歩1.4km~①『喜多見氷川神社』 ~徒歩~「喜多見駅」→小田急線→「狛江駅」~徒歩~南口バス乗り場→小田急バス・多摩川住宅行き→「水神前バス停」~徒歩30m~②『水神社』~徒歩120m~『万葉歌碑』~徒歩500m~③『伊豆美神社』~徒歩700m~「狛江市立緑野小学校バス停」→京王バス→「調布駅南口」~徒歩550m~④『布多天神社』~徒歩900m~⑤『虎狛神社』~徒歩700m~⑥『池の上神社』~徒歩500m~⑦『青渭神社』~徒歩120m~「青渭神社前バス停」→小田急バス→「三鷹駅南口バス停」~徒歩~JR総武・中央線「三鷹駅」=GOAL

 

 

 

【編集後記】

◆神仏習合時代の記憶

~手水舎の近くに建つ石碑。神社から50mほどの場所に、別当寺「祷善寺」があったことを伝えます。祷善寺は、明治の神仏分離令によって廃寺となってしまいました。

 

◆節分祭

~節分祭では「鬼問答」という小芝居が行われます。豆まきが始まると、突然、青・白・赤・黒の鬼が現れて社殿に上がろうとします。鬼たちの前に、神官や猿田彦が立ちふさがります。

→鬼:「鬼は内と声がした」→神官ほか:「言わぬ、言わぬ」などの押し問答が演じられます。

 

◆おススメ神社

~雑木林の参道に始まり、境内の清々しさが際立つ「喜多見氷川神社」でした。(了)