2019年 3月、2泊3日で奈良の神社を巡拝しました。東京→奈良は、《京都で途中下車可》の便宜が図られています。そこで、京都に寄り道しました。

 

 日向大神宮

(ひむかい)

 

《総檜・神明造の美しい社》

 当宮には、「外宮・内宮」の双方に本殿があります。写真は、「外宮(げく)」。総檜・神明造の社殿は、惚れ惚れとする美しさでした。草と木で造られた伊勢神宮を彷彿とさせます。

◇鎮座地:京都府京都市東山区日ノ岡一切経谷町29

◇最寄駅:市営地下鉄・蹴上駅~1.1km

◇内宮(=上ノ本宮)

御祭神:天照大神・多紀理毘賣命・市寸島比賣命・多岐都比賣命

→皇祖・天照大神+天照とスサノオの誓約の際に生まれた三女神

◇外宮(=下ノ本宮)

御祭神:天津彦火瓊々杵尊・天之御中主神

→天孫・ニニギ命+天地開闢の時、最初に現れた神

◇御朱印:あり

 

 

 

【参道】

蹴上インクラインの傍に、大きな常夜燈があります。そこから、神明山に入ります。

 

◆一之鳥居

 当宮は、山の中腹に展開しています。多数の境内社を擁し、山頂には「伊勢神宮遥拝所」もあります。

 三条通りに面した一之鳥居の下から境内にむけて出発します。

 この付近は、交通量の多い三条通りから近いので、民家があります。しかし、5分ほど上がっていくと様相は大きく変化します。

 

 

◆手水舎

~伊勢系の神社らしく、シンプルですっきりとした手水舎です。

 

 

 

◆外宮への石段

 社伝によれば、創建は古墳時代=485~487年頃。高千穂の峯の神蹟より、神霊を移して創建されたとのことです。

 応仁の乱(1467年)で社殿等を焼失し、祭祀が途絶えました。しかし、江戸時代初期、篤志家によって旧社地に再建されました。以降、交通祈願の神社として有名になりました。

 

 

◆二之鳥居

~笠木を御覧ください。装飾金具を取り付けています。このような神明鳥居は今だかつて見たことがありません。

 

 

 

 【外宮】 (げく)

こちらでは「げくう」でなく「げく」と呼ぶようです。

◆拝殿

~こちらの建屋、舞殿だとばかり思っていました。境内図に「拝殿」と書かれていて、ビックリ!

 

 

◆板垣御門

~舞殿のような拝殿には、賽銭箱がありませんでした。こちらの、板垣が連なる御門が実質的な「拝所」となります。

茅葺屋根の茅の厚みが凄いです。

 

 

◆かたじけなさに 涙あふるる by西行

~カヤとヒノキでできた建屋を眺めているだけで、ありがたい気持ちが身体の奥底から溢れてきます。伊勢神宮遥拝時の、西行の気持ちがよく分かります。

 

 

◆本殿

~千木は外削、鰹木は奇数。千木&鰹木の様式は、伊勢神宮の外宮と同じです。本殿を囲むのは板垣です。

 

 

◆祓所

~境内案内図には掲載されておりません。御饌殿と勾玉池の中間点にありました。

 

 

◆神橋

~勾玉池の向こうは内宮への石段です。また、仏教的建造物である狛犬は境内におりません。「京のお伊勢さん」とも呼ばれているだけあります。

 

 

 

 【内宮】 (ないく)

~こちらでは「ないくう」でなく「ないく」と呼ぶようです。

 

 

◆土間拝殿

~土間拝殿の向こうに板垣。その塀越しに本殿が遠望できます。

 

 

◆瑞垣御門

~拝殿正面からの写真です。板垣御門と御帳(みとばり)が見えます。

 

 

 

◆内宮の全体像

~内宮の裏山から撮影。千木は内削、鰹木は偶数です。

 

 

◆上ノ別宮「荒祭宮」

~画面手前の小さな社が「荒祭宮」です。

「荒祭宮」ですから「天照大神の荒魂」を祀っているはず、と思いました。しかし、違いました。御祭神は、月読尊、高皇産霊神、栲幡千千姫(たくはたちぢひめ)=万幡豊秋津師比売(よろずはたとよあきつしひめ) の3柱です。

 

 

 

【伊勢大神宮遥拝所】

◆参道(=登山道)

~この辺りは、フツーの登り道です。しかし、山頂への道は険しく、ぬかるんでいた部分などもあって危険でした。ちなみに、筆者はウオーキング・シューズでした。

 

こちらの大鳥居に正対する、すなわち伊勢神宮に正対。となります。

 

 

◆眺望

~鳥居に正対する位置から、180°振り返ると、こうした景色を見れます。朱色の鳥居は「平安神宮」です。伊勢神宮ー日向大神宮ー平安神宮ー京都御所が一直線上になるそうです。

 

 

 

【境内社】

◆下ノ別宮・多賀神社

御祭神:伊弉諾尊、伊弉冉尊

~春日神社、五行神社も同殿で祀られています。

 

 

◆別宮・福土神社

御祭神:大国主命彦火火出見尊鵜葺草葺不合命、神日本磐余彦天皇(神武天皇)

~大国主命から推して、皿には縁結び・恋愛成就の祈願が書かれているのでしょうか。

 

 

◆猿田彦神社&花祭神社(かさい神社)

御祭神:猿田彦大神&木花開耶姫

 

 

◆右:恵美須神社・天鈿女神社

◆左:御井神社(みい神社)

~御井神社は、朝日泉と言われる霊水を祀っています。平安時代に疫病流行が流行した際、この水を民に与えて流行を鎮めたと伝えています。現在は、飲料不適の評価です。

 

 

◆御祭神

~恵美須神社=事代主神、天鈿女神社=天鈿女神&大山祇神

軒下を見ると「八百萬神社」という神社も同殿のようです。御井神社=水波能売神

 

 

◆神田稲荷神社

御祭神:宇迦之御魂神

~狛犬不在の「日向大神宮」ですが、稲荷神社には狛狐がいました。かなり古そうです。

 

 

◆厳島神社

御祭神:市杵島姫命

~鳥居しか写っておりませんが、その向こうに覆い殿があります。画面左の社は、神田稲荷の本殿です。

 

 

 

【境内点描】

◆岩石関係① 影向岩

~影向岩(ようごういわ)。影向は、降臨と同義です。つまり、依り代です。内宮の隣ですから、神籬(ひもろぎ)なら納得です。しかし、磐座(いわくら)が鎮座しているんですねぇ。

 

 

◆岩石関係② 天岩戸

~内宮の前の道を上に登っていきます。岩盤をくり抜いたとみられる、この洞窟は、奥行きが5m。手前から奥にくぐり抜けることで、心身の穢れが落ちるといわれています。

 

 

◆戸隠神社

御祭神:天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)

~洞窟内に祠がありました。天岩戸、洞窟、神社、となれば「戸隠」しか考えられません。

手前から奥にくぐり抜けることで、心身の穢れが落ち、開運・厄除けの御利益があるといわれています。

 

 

 

【境内点描】

◆神饌殿

 

 

◆神馬舎とみくじツリー

 

 

◆天龍・地龍の石碑

~神明山・中腹の日向大神宮の境内から、さらに登った、裏山的なところに、稲荷系の「お塚」がいくつも並び、妖気が充満する一帯があります。そこに、この石碑がありました。

 

 

◆境内図

~「伊勢神宮遥拝所」は、画面右隅の厳島神社から、さらに右方向。山の頂上にあります。

 

 

【御朱印】

 

 

 

【参拝ルート】 2019年 3月18日

◆山城国一之宮&京のお伊勢さん

START京都駅→JR奈良線→「東福寺駅」~30m~京阪線「東福寺駅」→「出町柳駅」~250m~①『賀茂御祖神社=下鴨神社』~80m~「下鴨神社前」バス停→市バス・上賀茂神社行き→「上加茂神社前」バス停~30m~②『賀茂別雷神社=上加茂神社』~徒歩~「上加茂神社前」バス停→市バス・京都駅行き→「北山駅前」バス停~50m~地下鉄「北山駅」→烏丸線&東西線→ 「蹴上駅」~1km~③『日向大神宮』 ~徒歩~地下鉄「蹴上駅」→東西線→「六地蔵駅」~50m~JR「六地蔵駅」→JR奈良線→「奈良駅」=GOAL

 

 

 

【ひとこと】

◆途中下車

~2泊3日の主目的は大和・飛鳥。JRとホテルのパックは、京都駅で途中下車が可能でした。そこで初日は、京都を歩くことにしました。伏見稲荷大社、平安神宮、八坂神社、北野天満宮などは人で溢れていそうなのでパス。結果、上記3社の選択となりました。日向大神宮は、参拝者がおらず、上賀茂神社と下鴨神社も思ったほど多くない人出でした。

 

◆妖しい塚

~先に上げた「天龍・地龍」の手前にありました。成宮内親王の「御胞衣所・おえな所」です。成宮内親王は明治天皇の伯母にあたる姫君で、わずか1歳で薨去されています。御胞衣とは、胎児を包んでいた膜や胎盤など。後産(あとざん)として体外に排出されるものです。

このほか、「菅公胞衣所」もありました。菅公=菅原道真です。念のため。この辺り一帯は狐塚がいくつもあって、妖しげな雰囲気が漂います。(了)