春日部八幡神社
(かすかべ)
境内には、清澄な気が溢れていました。とくに、拝殿・本殿の左サイドから「奥の院」が鎮座する裏手にかけて。この小丘一帯は、驚異的なほどの清々しい気に満ちていました。
◇鎮座地:埼玉県春日部市粕壁 5597
◇最寄駅:東武アーバンパークライン・八木崎駅~250m
◇御祭神:誉田別尊、息長足姫尊、竹内宿禰命、豊受姫命
◇御朱印:あり
【表参道】
◆一之鳥居
◆石畳の参道
濃い緑に包まれたこの参道。気持ち良く歩けます。
◆二之鳥居
ヒノキの素木で建てられていた二之鳥居。笠木ににかかる、モミジの青葉が鮮やかでした。
◆常夜燈
お隣の岩槻市に鎮座する、久伊豆神社にも同型の常夜灯があったことを思い出しました。
裏側には、天保十三年(=1842年)建立の刻印。
◆手水舎
周囲に板塀を巡らせています。これは、正面から手水を使ってほしい、というメッセージとも考えられます。隅田川畔に鎮座する「三囲神社」の手水舎を思い出しました。
水盤には松と鳥の彫刻。通常、文字か神紋が刻まれているので、こういうのは稀です。
◆拝殿前の狛犬
経年劣化が進んでいますが、今はまだそれが「味」になっています。
【社殿】
◆拝殿正面
シンメトリーを追求しているかのような、キリっとした拝殿です。
【気が清澄な丘】
◆案内板
①鹿島社→②愛宕社→③香取社→(④本殿遥拝)→⑤奥の院、という順が示されています。
このエリアの「気」の良さには、感動しました。
◆「奥の院」への道
社務所・参集殿と拝殿を結ぶ渡り廊下を横断した直後に、目に飛び込んでくる風景です。
清浄感溢れる美しさに、息を飲みました。
◆手前:鹿島社 御祭神:武甕槌命
◆奥側:愛宕社 御祭神:火産霊神
このエリアに足を踏み入れた瞬間から、涼しげな「気」を肌に感じました。
◆香取社
御祭神:経津主神
こちらまで登ってくると、「気」は、さらに澄んできます。社の右手には「松尾大神」の小祠。
◆本殿遥拝
香取社の前から、右手を見た景色。瑞垣越しに本殿を遠望します。
◆奥の院
香取社から、あと少しだけ上に登ります。「気」の良さが伝わるでしょうか。
◆奥の院・石段下
石燈籠、「靖國型」石鳥居、そして拝殿。その威容に、身が引き締まります。
◆奥の院・拝殿
かつて、この場所に歴史的建造物がありました。室町時代後期の建築様式で、安土桃山時代に建立された、と推定される茅葺屋根の社殿です。しかし、2007年に不審火により全焼してしまいました。今は、2008年に再建された、銅板葺き・流造りの社殿が建っています。ていねいに清掃されていて、清浄感あふれる社殿でした。
◎気になったこと
「奥の院」という呼び方に、若干の違和感を覚えました。この表現は、お寺さんです。
神社なのですから、やはり「奥宮」と呼んでほしいところです。
◆瑞垣と本殿
屋根の青灰色、瑞垣の茶色、それを取り巻く社叢の緑。これだけでも、十分な癒しです。
◆「癒しの丘」
~拝殿の左サイドから小高い丘を登り、拝殿右サイドに降りてきました。結果的に、社殿を囲む社叢を巡ってきたことになりました。繰り返しますが、この丘は本当に気持ち良くて、「癒しの丘」とでも呼びたくなります。
次は、境内右手に広がる「鎮守の森」
そこに点在する境内社を巡ります。
【境内社】
◆天神社&弁天社への道
ほとんど、森林浴もしくはバード・ウオッチングの世界です。酷暑の1日なのですが、この地は涼しく、気持ち良い場所でした。
◆天神社
境内社は、お社だけというケースが多いのですが、こちらは紙垂付き鳥居もありました。
小さくても、階段や高欄まで付けられている、瀟洒(しょうしゃ)な社殿です。
◆弁天社
御祭神:宗像大神
(市杵島姫命・田心姫命・瑞津姫命)
天神社をあとにして、少し登ってゆくと弁天社です。一之鳥居から、石段を12段上がります。この辺りも、木々が生い茂っていて、かなり気持ち良い空間でした。
◆弁天社・二之鳥居
石段を上がると、木製の二之鳥居&社殿です。残念ながら、弁天池はありませんでした。
◆御嶽社
御祭神:櫛真知命
(くしまちのみこと)
小規模ですが、「御嶽塚」仕様になっていました。鳥居の奥に見える石碑は、「御嶽大神、少彦名大神、大己貴大神」と刻まれていました。
◆御嶽社・社殿
足場の悪い「登山道」を登ってきました。形としては、登拝となるのでしょうか。
◆氷川社
御祭神:須佐之男命、稲田姫命
向かって右の社殿です。左手は御嶽社。
【境内点描】
◆神輿庫
古びた小屋、といった感じの神輿庫です。扉の格子から中を覗いてみました。
薄暗い内部には、年代物らしい御神輿が安置されていました。壁には紅白の天幕。
◆神木
高くそびえる大銀杏。鎌倉・鶴岡八幡宮の御神木の一枝が飛来して、一夜のうちに繁茂した、と伝えられています。
◆社務所・授与所
呼び鈴を鳴らすと、神職が出てきてくれました。
【御朱印】
陰影は、中央=社名印、左隅=宮司印、です。
「墨の色、黒さが際立っていますね!」と、感想をお伝えしたところ、「お分かりになりましたか!? 発色の良い墨を使ったんですよ~♪」との、お返事をいただきました。
【参拝ルート】2018年 7月31日
START=JR京浜東北線・浦和駅~650m~①調神社~浦和駅→京浜東北線→大宮駅~大宮駅・東口バス停→国際興業バス・中川循環→中山神社・バス停~160m~中山神社 一之鳥居~300m~②中山神社~150m~富士見ヶ丘・バス停→国際興業バス・岩槻駅行き→岩槻駅→東武アーバンパークライン→八木崎駅~250m~ ③春日部八幡神社 ~八木崎駅=GOAL
【編集後記】
◆内陸砂丘
↓案内板が立っていた場所を撮影しました。でも、砂丘状になっているのがどこなのか、まったく分かりませんでした。砂地にはなっていましたが・・・。
◆春日部という地名
この地域は、西暦478年に朝廷の所領となりました。その際、皇女・春日大娘にちなんで命名された地名です。領地を管理するために、都から派遣された役人が、こちらの神社の地に居を構えていたことが近年の発掘調査により判明しました。
◆富士塚
隣接する春日部公園に、「春日部富士」と呼ばれる富士塚&浅間神社があります。高さ=約8m、外周=200m超と、大変大きな富士塚です。こちらは、あらためて「春日部稲荷神社」とセットにして記事化の予定です。
◆後記
春日部八幡神社は、素晴らしい神社でした。繰り返しになりますが、拝殿左側の社叢に広がる境内社エリアの清澄さは感動でした。
また、「春日部稲荷神社」の社殿が社叢内に鎮座していました。しかし、一之鳥居は完全に境外でしたし、区分上は境内社ではなく、独立した神社でした。
春日部八幡神社、いかがでしたでしょうか。三諸、オススメ神社のひとつです。 (了)