丹生神社 (にう)

 

千葉県で《丹生都比売を祭神とする唯一の神社》

 当社は、御朱印を出さない神社でした。今年から頂けるようになった、との情報を得て、2年ぶりに訪問しました。

◇鎮座地:千葉県習志野市谷津1-23-3

◇最寄駅:京成線・谷津駅~550m

◇主祭神:丹生都比売神

(にうつひめのかみ)

◇合祀神:伊弉奈美尊

→主祭神が「神」で、合祀神が「尊」

(後者が天津神だからなのでしょうか)

◇御朱印:あり

→2020年から頂けるようになりました。(2回/月です)

 

 

◆社頭付近

~駅から500mほどの場所です。樹木の向こう側は神域です。

 

 

 

【参道】

◆鳥居

~当社は、紀伊國一之宮『丹生都比売神社』の御祭神である丹生都比売神を勧請して創建した、と伝わっています。江戸時代、承応4年(=1654年)のことです。神域規模は、総本社とは雲泥の差で、地方の小さな神社です。

 

 ※丹生都姫は、『記紀』に記載のない神です。

その神格については、大きく分けて2説あります。

「丹」(=水銀)の採掘に携わる人々の守護神とする説

②水神である、とする説

の2説です。

 

 

 

◆石段

~無人社なのに、清掃が行き届いています。

 

 

◆手水舎

~水道水です。これで十分でしょう。

※写真は2018年のもの。今は、手水舎に隣接する形で、授与所が建てられています。

~プラスチック製の柄杓が2つ用意されていました。水盤は小さめです。

 

 

 

【社殿】

◆拝殿

~神紋は巴紋。狛犬と天水桶がそれぞれ1対とシンプルです。境内は、丁寧に掃き清められていて、清々しい空気が漂います。

 

 

◆畳敷き

~拝殿内部は畳敷き。灯りが点され、清潔そうな感じでした。

紀州の本宮は、バリバリの神仏習合社です。一方、こちらは仏教の気配がなく、「これぞ神社!」といった清々しさです。

 

 

◆清掃された境内

~無人社ですが、境内はきちんと清掃されています。氏子さんの努力が素晴らしい。

 

 

◆拝殿屋根

~屋根は瓦ぶき。波を象った彫刻が乗っていました。当地が海の近くだったことを暗示するかのようです。

 

 

 

◆本殿

~本殿は、江戸時代末期(=1812年)に再建され、今日に至ります。築200年超です。

 

謎多き女神=丹生都比売神

~祭神の神格には、いくつかの説が存在します。

 

《祭神説1》

◆水銀採掘者たちの守護神説

~「丹」すなわち朱砂(朱色の硫化水銀)の採掘に携わる人々によって祀られたという説があります。全国にある「丹生」と名のつく土地・神社は、水銀の採掘に携わった氏族(=丹生氏)と深い関係にあることが明らかとなっています。

 

 

《祭神説2》

◆水神説

~稲作の広がりによって、人と水との関りがより強くなっていきました。その結果、祭神は、人々が求める水関連の神=ミツハノメ信仰~オカミノカミ信仰といった水神系・龍神系へと変容していきました。

 

 

《祭神説3》

◆天照大御神の妹神説

~丹生都比売神は、別名= 稚日女神(わかひるめのかみ) と称し、大日女大神(おおひるめのおおかみ)=アマテラスの御妹神である、とも言われています。by当社由緒 

 稚日女神は、名前から見れば太陽神です。しかし、記紀では「機織りの神」としています。

 

◎祭神について

~筆者は、①説に親和的です。

「丹」という文字が使用されていることから、①と考えるのが自然ではないでしょうか。

 

 

 

◆本殿彫刻

社殿彫刻には興味ないのですが、特異な彫刻でしたので2点ほどご紹介します。

①不気味な象

~巨象の目が妖怪的に笑っていて、不気味です。

 

 

②浜辺の情景

~子どもたちが亀を虐待しています。亀は歯向かっていますが、左の子に抑え込まれています。右の子にいたっては、鋭利なモノを振り下ろす寸前です。この彫刻、いったいどのような意味があるのでしょう!?

 

 

 

【境内点描】

◆神聖な場所?らしかった

~石柱で囲い(=結界?)、中央に注連縄柱。

2年前は、「此処へは、一切の物を持ち込まないでください」との高札がありました。今、高札はありません。宮司さんにお尋ねしたところ、「あれは、無視してください」的なお話でした。

 

 

◆社務所

~玄関の扉は閉ざされていました。しかし、荒廃している感じはありません。日常的には無人でも、例祭や行事のときは、神職さんがやって来ます。最近は、御朱印授与の日もできたため、以前より人の息吹が感じられるようになりました。

 

 

◆神楽殿

 

 

◆授与所

~2020年にこちらを新築し、御朱印やお守り&おみくじを扱うようになりました。

 

 

 

 

 

【境内社】

◆境内社エリア

~境内の東地域に何社か鎮座しています。Y字型の樹木を境に左手=稲荷社、中央=水神社合祀、右手=寄せ宮です。

 

 

◆稲荷神社

御祭神:申迦之御魂大神

~「うか」の「う」=「宇」でなく「申」です。

 

 

◆水神宮

~御祭神は、「水の神様、農業の神様」とのこと。水と農業となると、龗神の系統ではなく、罔象女神かと思われます。

 

 

◆寄せ宮

蛭子神社(=恵比須大神)、八坂神社(=素戔嗚尊)、琴平神社(=大物主神)、疫神社(=蘇民将来)、妙見神社(=天之御中主神)、目守神社、以上6社

 

 

◆浅間神社石碑

御祭神:木花開耶姫

~境内で、もっとも標高が高いと思しき場所に鎮座していました。新しいもののようです。

 

石碑は、秋葉大権現、出羽三山、なども建てられていました。

 

 

◆石段頂上から振り返る

~わずかな木漏れ日が差していますが、キホン、陽光は社叢に遮られています。

 

 

 

【丹生都比賣神社・総本社のこと】

神仏習合の古社です

~和歌山県かつらぎ町の標記神社は、「延喜式」の式内社(=名神大社)であり、紀伊国一之宮。旧社格は官幣大社。そして、全国に180社を数える丹生都姫神社の本宮です。鎮座地の地名が天野であることから、「天野社」とも呼称されます。

 

 

◆神仏融合

~弘法大師が密教道場の地を求めて、当地に入った際の話。丹生都比売大神の御子=高野御子大神が、黒と白の犬を連れた狩人に化身して現れ、大師を高野山へと導きました。

 

 

 丹生都比売大神よりご神領である高野山を借受けた大師は、真言密教の総本山=高野山を開きました。その際、大神を祀る神社を建て守護神として祀りました。当社です。

これが、日本における「神道と仏教の融合」の始まりの1つです。

 

 

◆遷宮舞楽曼荼羅供

~高野山では古来、修学を妨げるとして管弦歌舞が禁止されました。そのため、高野山僧侶は、丹生都比売神社へ降りてきて、法会を営みました。by丹生津比売神社HP

 

 

◇密教と寺院と神社の図式

◎最澄・天台宗・比叡山・延暦寺

=日吉大社(日枝神社)

 

◎空海・真言宗・高野山・金剛峯寺

=丹生都比売神社

 

 

 

【御朱印】

~2020年から、御朱印を出してもらえるようになりました。

 

 

 

【参拝ルート】

【新】2020年 8月10日

START京成本線・谷津駅~徒歩550m~①『丹生神社』 ~徒歩~谷津駅→京成千葉線→幕張本郷駅~徒歩1分~JR総武線・幕張本郷駅→総武線→検見川駅~徒歩100m~新検見川駅・北口バス停→京成バス・八千代台駅行→畑小学校バス停~徒歩650m~②『子安神社』~徒歩~畑小学校バス停→京成バス→八千代台駅行→京成本線・八千代台駅=GOAL

 

 

【旧】2018年 6月13日

START京成本線「海神駅」~徒歩10分~①『山野浅間神社』~徒歩「海神駅」→京成本線→「谷津駅」~徒歩7分~②『丹生神社』徒歩~「谷津駅」→京成千葉線→「新千葉駅」~徒歩~5分~③『登渡神社』~徒歩~「新千葉駅」→京成千葉線→「京成千葉駅」~徒歩10分~④『千葉神社』~徒歩~JR総武線「千葉駅」GOAL

 

 

 

【編集後記】

◆酷似する社号

~奈良県吉野に「丹生川上神社」という神社があります。こちらの祭神は、水神・龍神です。

 上社=高龗神

 中社=罔象女神

 下社=闇龗神

 

ちなみに、「川上」とは、川上・川下の川上ではありません。

川上とは、川の上(ほとり)のことです。

古代人は、「川のほとり」を聖なる場所として考え、信仰しました。

 

 

◆祭神異説

~筆者が2017年に読んだ『姫神の来歴』においては、丹生都姫と天照大御神が同一人物である。なんて驚愕の説が書かれていました。 (了)