千葉神社 

 

《現役の神仏習合神社》

 当社は、《精霊信仰+仏教・妙見信仰》という、特異な神社です。

◇鎮座地:千葉県千葉市中央区院内1丁目

◇最寄駅:千葉駅~1.2km

(京成千葉線・JR総武線)

◇主祭神:北辰妙見尊星王

 (ほくしんみょうけんそんじょうおう)

別名:天之御中主大神

◇相殿神:経津主神、日本武尊

◇社格等:県社

◇御朱印:あり

 

 

※東西南北・四方八方・全方位全方角に霊力を発揮する北辰妙見尊星王を祀る北斗山金剛授寺として、西暦1000年に開山。1869年に千葉神社へと改称。

以来、北極星・北斗七星信仰の神社です。さらに仏教の妙見信仰をも習合しています。

 

 

【大鳥居】

~妙見の社が、どのような鳥居を使っているのか興味ありました。神明系の鳥居です。

 

 

◆「獅子児鍛錬」の獅子山

~谷底に突き落とされた子獅子が仰向けにひっくり返っています。おそらく、後頭部を強打しているものと見られます。

 

 

 

【楼門型分霊社】~神門と社殿のコラボレーション

この社殿は、 日・月・星の「三光」 福・禄・寿の「三宝」 、のご神徳を授けます。

 

◆尊星殿(そんじょうでん)

~均整がとれた美しい楼門です。隣接する市営公園側から撮影。

重厚華麗な神門は、両サイドに楼閣が造られています。

 

 

◆狛犬

 

 

◆日と禄

『日天楼』にってんろう

日天神(=太陽) の神霊依り代である 「陽明柱」 (ようめいちゅう)が心の御柱(しんのみはしら)として立てられています。

この柱に触れて霊力をいただけば、自己の中に陽気・活性作用が起こり、 精神上や生活上の加護 (=豊禄)が得られるとのこと。

 

 

◆月と寿

『月天楼』がってんろう

月天神(=月) の神霊依り代である 「光輝柱」 (こうきちゅう)が心の御柱として立てられています。

この柱に触れて霊力をいただけば、自己の中に生気・浄化作用が起こり、 身体上や生命上の加護 (=延寿)が得られるとのこと。

 

 

◆星と福

~本殿側から見ています。1階・『福徳殿』の中央にある八角形の大きな柱が「八星宮」。2階は『開運殿』です。

 

 

◆1階『福徳殿』 の離宮

~役割:方位=南、十二支=午(うま)、五行=火、人体各部=心臓・目・顔面・精神、神徳=商売繁盛・出世栄達。 ※八宮のうち『離宮』を選んだことに意味はありません。写真的に良いものを選択しました。

 

 

◆2階『開運殿』

~ここに籠り、霊力をいただけば、自己の全身全霊に蘇生作用が起こり、 運気や生命力向上の加護 (=宝徳) が得られます。

 

 

◆手水舎

~「尊星殿」(=神門)や「金剛殿」(=拝殿)とは、趣が異なって地味めな建屋です。

 

 

 

 

【重層社殿】

 1階:金剛殿(十曜紋)

 2階:北斗殿(月星紋)

~1階・2階どちらからでも”千葉大妙見”のご神徳をいただけます。

※妙見(=九曜紋神社)の本宮なので十曜紋なんだそうです。

 

 

◆主祭神=天之御中主神

 古事記において最初に出てくる神様です。『天地初めてひらけし時、高天原に成りし神の名は天之御中主神』と。この神さまについては、これ以上の記述はありません。次に現れたのが高御産巣日神(たかみむすびのかみ)と神産巣日神(かみむすびのかみ)で、この三神を一般に造化三神(ぞうかさんしん)と呼んでいます。

 

 

 

【神橋】

 妙見池(=神池)には、橋が2つ架かっています。2つの橋は、それぞれに異なる意味が付与されています。

 

 

◆ねがい橋

 願い事があれば、心の中でそれを思いながら、この橋を渡ります。

 

 

◆かない橋

 その願いがかなうことをイメージしながら、この橋を渡ります。

 

 

【ご神水】

◆妙見 延寿の井

 霊験あらたかな『妙見 延寿の井』は、お水取りができます。岩の上に『美寿之宮』が鎮座。

 

 

◆『美寿之宮』

(みずのみや)

御祭神:水神さま&龍神さま

 

 

 

【境内社】

◆御嶽神社

御祭神:国常立尊、大山祇神、瓊瓊杵尊

 決して小さな神像ではありません。先の「かない橋」の写真でこの像の大きさが分ります。

 

 

◆厳島神社

御祭神:弁財天

 境内社は「妙見池」の向こう側で長屋のように連なっています。しかし、こちらの社は単独で神池のほとりに鎮座しています。

 

 

◆境内社群

 香取神社、姥神社、星神社、石神神社、稲荷神社、金刀比羅神社、八幡神社、天神社、日枝神社、三峯神社、神明社、西之宮、が並びます。

 

 

◆天神社

 素木の拝殿です。こちら、千葉神社の旧社殿を移築しました。先に見た、手水舎はこの社殿とならば、建築コンセプトの一致を感じます。

典型的な入母屋造りで造営されています。天神ですので、御祭神は書くまでもないでしょう。

 

 

 

【境内点描】

当社には神楽殿や舞殿がありません。

 

◆亀石

 福を授ける神石です。

 

 

◆常香炉

 バリバリの神仏習合社なので、香を焚く炉まで設置されています。

 

 

 

【御朱印】

◆左:2018年、右:2017年

 

 

 

【参拝ルート】2018年 6月13日

START=京成本線「海神駅」~徒歩10分~①『山野浅間神社』~徒歩「海神駅」→京成本線→「谷津駅」~徒歩7分~②『丹生神社』~徒歩~「谷津駅」→京成千葉線→「新千葉駅」~徒歩~4分~③『登渡神社』~徒歩~「新千葉駅」→京成千葉線→「京成千葉駅」~徒歩10分~ ④『千葉神社』 ~徒歩~JR総武線「千葉駅」=GOAL

 

 

 

【ひとこと】

◆寺院から神社へ

 江戸時代には真言宗の寺院でした。明治政府の神仏分離令・民衆による廃仏毀釈を経て、神社となりました。日本の最高神が太陽神・アマテラスであるのに対し、こちらは星霊としての菩薩を信仰する、「妙見信仰」系の神社です。

 

◆千葉氏はなぜ「妙見神」を信仰したのか

 敵との合戦において、何度も危機を救ってくれたのが「妙見」だったためです。例えば、千葉氏の祖である平良文が「染谷川の戦い」でピンチに陥ったとき童姿で現れて救ってくれた。あるいは、千葉常胤ら7名が1000名超の敵に包囲されたとき童形の妙見菩薩によって窮地を逃れられたこと。などから、千葉氏一族はこぞって妙見を崇拝するようになった、とのことです。

 

◆千葉神社のこと

 太陽でなく北極星、アマテラスでなく菩薩。それが当社です。

正直、違和感を拭えません。とは言え、祭祀関係を横に置き、フラットな気持ちで訪れました。空間としては、清浄で気持ちの良さを感じることができました。たんに、雰囲気だけを求めて神社巡りするほうが、多彩で多様な神社を楽しめる。結果、心身が癒されるならそれで十分なのかもしれません。 (了)