鷲宮神社 

(わしのみや)

 

《龍神伝承を持つ「光天の池」》

 神代の昔、天穂日命と武夷鳥命が出雲の部族を率いて「神崎神社(=大己貴命)」を建てたのが始まりです。

 境内には、龍神が棲むと言われている池があります。

◇鎮座地:埼玉県久喜市鷲宮市1-6-1

◇最寄駅:鷲宮駅~500mで大鳥居

 (東武スカイツリーライン)

◇御祭神:天穂日命、武夷鳥命、大己貴命

◇御朱印:あり

鷲宮の読み

 ・神社&駅名は「わしのみや」

 ・地名は「わしみや」

 

 

 

【参道】

◆大鳥居

~古色蒼然とした木製の大鳥居です。木製鳥居は、小さいものならたくさんあります。しかし、このような大鳥居となると、意外に少ないものです。

(追記)この鳥居は、2019年に台風で倒壊しました。

 

 

◆オーブ

~逆光気味の光線で撮影すると、このようにオーブみたいな水玉模様が出ます。ただ、それが拝殿や鳥居には出るのに、ほかの被写体には出現しないことが不思議でなりません。

 

 

◆参道

~参道の両サイドには桜並木。桜の季節は、花吹雪が舞う中を拝殿に向かう、という最高のシチュエーションになるようです。

 

 

◆狛犬

~広い境内に、狛犬はこの1対のみだったような・・・。この狛犬、ウエストがダイエットされています。尻尾に動きをつけていて、爪はかなり鋭そうです。

 

 

◆金灯籠

~江戸時代末期に奉納されています。台座付近、ニワトリの精細彫刻が施されていました。

 

 

 

 参道を進むと、左手の崖下に御神池が見えてきます 

 

 

【御池社】 みいけ社

◆光天の池 みひかりの池

「龍神様が住んでいる」という伝承 がある御神池です。この池は、崖が崩れて土砂が水面に流れ込み、長らく地中に埋もれていた神池 なんだそうです。平成11年(1999年)から「平成の復元工事」が行われ、現在では 聖なる姿 を取り戻しています。

 

 

◆鳥居

~土砂を搬出した際、 湧水とともに龍のような霧が噴出し、上空を覆った というとう逸話があり、それにより「光天之池」と名付けられたそうです。社殿は池のほとりの社叢内に鎮座しているためこちらの鳥居から遥拝する形になります。賽銭箱はありません。

 

 

◆御池社

御祭神:彌都波能賣神、宗像三女神(湍津姫命市杵島姫命、田心姫命

 

 

 

◆姫宮神社

御祭神:玉依姫命

~玉依姫=霊(たま)の 依り(より)つく 巫女のことで、固有名詞ではない。という説もあります。豊玉姫の妹であったり、加茂別雷神の母だったりします。

 

 

◆手水舎

~良い雰囲気の手水舎でした。この規模の神社にしては、明らかに小型すぎるのではないでしょうか。お隣には「お水取り」用の井戸。渇水のため使用できない、との掲示がありました。

 

 

 

 

【拝殿】

~軒下や周囲に余計なもの、目障りなモノなど一切ありません。イサギよすぎるほどのスッキリ感です。このシンプルさ、見とれてしまいます。

 

 

◆虚飾がない

~社殿は塗装せずに素木のまま、軒下彫刻すらありません。向背は控えめですし、狛犬もいなければ、天水桶もありません。つまり、虚飾にまみれておりません。神社はこうでないと^^

 

 

◆深い砂地

~拝殿の西側。玉砂利が敷かれています。ただ、下地の砂が柔らかなため、砂浜を歩いているような感じになります。

 

 

◆神楽殿

~神楽殿は、拝殿に正対して建てられていました。つまり、神楽などは、神さまに捧げるためだけを真っ直ぐに考えている。と、そういうことです。こうした位置関係に、神さまへの限りない崇敬を感じました。

 

 

◆神楽殿の板絵

~天岩戸神話を描いているようです。

 

 

 

【本殿】

◆2棟構成

~手前の社:本殿=天穂日命&武夷鳥命、 奥の社:神崎神社=大己貴命

 

 

◆瑞垣越し

~千木=外削ぎ。 鰹木=本殿が5本。神崎神社が3本。 門柱の注連縄、右隅に紙垂が絡まっていました。ほぐしたかったのですが、触れるのは畏れ多いため断念しました。

 

 

◆瑞垣の幼木

~瑞垣は幼木に覆われています。今はまだ背が低いため社殿が見えています。しかし、これらの若木が成長すると境内の緑はさらに濃くなり、本殿は見えなくなるかもしれません。

 

この角度からみると・・・

もしかしたら、神事に合わせて祓所をしつらえる場なのかもしれません。

 

 

 

【境内社】

天津神系、国津神系、蕃神系(外来系=八幡系、稲荷系)の神々が祀られています。

◆八幡神社

御祭神:応神天皇

~石鳥居を潜って緑のトンネルを15mくらい進みます。

 

 

◆鹿島・稲荷・神明への鳥居

森の参道は奥深く続いていました。

 

 

◆鹿島社

御祭神:武甕槌神

~鳥居をくぐると、すぐ右手に鎮座しています。

 

 

◆稲荷社

御祭神:倉稲魂神

~鹿島社の少し奥に鎮座しています。例の幟は見当たりませんでした^^

 

 

◆神明神社

~鷲宮神社は、バリバリの国津神系神社です。とはいえ、天照大御神もまた祀っています。しかし、その鎮座位置に、出雲の意地を感じました。鎮守の森の奥深く、最奥にポツンと鎮座させています。Googleマップで「鷲宮神社」を開くと、その隔離っぷりの凄さを確認できます。

出雲は大和に征服されました。アマテラスは、大和の最高神ですから、祀らないわけにはいかなかった、ということでしょうか。

 

 

◆諏訪神社&久伊豆神社

左:諏訪神社=建御名方神

右:久伊豆神社=大己貴命

~諏訪神社に社殿はなく、石鳥居&「諏訪大神」と刻まれた大きな石碑の2点でした。

 

 

◆八坂神社

御祭神:素戔嗚尊

~左奥:神輿庫、中:八坂神社、右:神輿庫

 

 

◆粟嶋社

~天太玉命はじめ、16柱の神さまが合祀されています。

 

 

 

【境内点描】

◆参集殿?

~木戸に注連縄が張られています。しかりと戸締りされていました。

 

~建屋の軒下にも注連縄。上がり框には、レッドカーペット。

 

 

◆全貌

~手前は、細かい玉砂利。建屋は、左から神楽殿、拝殿、幣殿、本殿2棟。

 

 

 

【御朱印】

~初穂料は500円。都心並みです。

 

 

 

【参拝ルート】2018年 5月21日

START=東武伊勢崎線「加須駅」→朝日バス→「騎西1丁目 停留所」~徒歩5分~①『玉敷神社』&『玉敷公園』~徒歩5分~「騎西1丁目停留所」→朝日バス→東武伊勢崎線「加須駅」→東武伊勢崎線→「鷲宮駅」~徒歩7分~ ②『鷲宮神社』 ~徒歩7分~「鷲宮駅」→東武伊勢崎線→「春日部駅」→東武アーバンパークライン→「東岩槻駅」~徒歩18分~③『岩槻久伊豆神社』~徒歩~「東岩槻駅」=GOAL

 

 

 

【編集後記】

◆土師の宮 はにしの宮

~鷲宮神社の別名です。崇神天皇の時代に河内国から東国へ移住した土師氏。彼らは下総国・浅草から川を遡って当地に移住。その際、先祖を祀ったのが起源とも言われています。そして、「はにしのみや」が訛って、いつしか「わしのみや」になったとされる説があります。

 

 

◆「関東最古?」と鎮守の森

~鷲宮神社は「関東最古の大社」を自称しています。しかし、歴史資料に鷲宮神社が初出するのは『吾妻鏡』(1251年)です。延喜式に記載された玉敷神社のほうがよっぽど古いです。よって、「関東最古」には根拠がありません。

 とはいえ、古社であることに違いなく、大古を記憶する森も維持されています。神社の「鎮守の森」を歩くと、身体にはチカラがみなぎり、精神は安定へと向かいます。

 

 

◆准勅祭社(=東京十二社)

~明治元年(1868年) 政府は、東京守護のため『准勅祭社(=東京十二社)』を定めました。東京&近郊の神社から12社を厳選。鷲宮神社もその中の1社に指定されました。しかし、のちに方針変更。23区内に限定したため、大國魂神社と鷲宮神社を外しました。これにより、『准勅祭社』は『東京十社』と、その名を変えています。

 

※「東京十社」

→神田明神、日枝神社、白山神社、根津神社、芝大神宮、赤坂氷川神社、品川神社、富岡八幡宮、亀戸天神社、王子神社。

 

◆完遂

~筆者は、鷲宮神社参拝をもって、旧・「准勅祭社(=東京十二社)」をコンプ しました。(了)