素盞雄神社
(すさのお)
表記は、古事記=須佐之男、日本書記=素戔嗚です。
当社は、素盞雄。これは、国内唯一かと思われます。
《最強の疫病除け神社》
安政5年(1858年)、江戸でコレラが流行した際、「疫除守」を求める民衆が当社に殺到しました。byウイキ
当社の特徴は、いろいろあれど
核心は『疫病除け』です。
◇鎮座地:東京都荒川区南千住6-60-1
◇最寄駅1:南千住駅~550m
(東京メトロ日比谷線、JR常磐線)
◇最寄駅2:千住大橋駅~650m
(京成本線)
◇御祭神:素盞雄大神、飛鳥大神
◇御朱印:あり
《疫病除け・Part1》
【疫神祭】4月 8日
(えきじんさい)
神社では、創建日に記念式典を行うところが少なくありません。
当社は・・・
創建日に疫除神事 を斎行します。
朝夕2回行うなど、疫除けに対する並々ならぬ思いを感じます。
①四方鎮の儀(しほうしずめ)
→白い花をつけた 桃の枝 で祓を行います。
*四方鎮の写真は、当社HPより
②燻桃(くんとう)
→ 桃の木片 を燻した煙と香りとで四方を祓い清めます。
※桃のこと
桃=邪気祓いの果実 です。
記紀における、あの世・この世を隔てる黄泉比良坂の場面。ここで桃が登場し、悪霊を退散させます。
【表参道】
当社は、幕末まで『飛鳥社 小塚原天王宮』でした。
牛頭天王(=疫病除神) を祀っていたことが、この名称から分かります。
明治初年、神仏分離により『素盞雄神社』と改称しました。
◆手水舎
水盤は正方形。珍しい形状です。
狛犬に桃の枝が覆い被さっています。
◆獅子山
尾や鬣(タテガミ)に動きがつけられた造形には、見ごたえあります。
《疫病除け・Part2》
【天王祭】 6月3日
ー悪疫退散を願う祭ー
御祭神=スサノオの「スサ」には「荒・清浄」の意味があります。
疫病・罪・穢れ・災い・など、身に降りかかる悪しきものを祓い清める神様です。
祭の神輿渡御では、神輿を荒々しく&激しく振る「神輿振り」で有名。
激しく揺さぶることで、 牛頭天王の神威=疫病退散の霊力 がさらに高まる。
そう信じられています。
◇農村型祭礼=春と秋の祭で、稲の収穫を祈念・感謝する。
◇都市型祭礼=夏に疫病退散を祈願。ex.京都 祇園祭など。
【社殿】
◆拝殿=南面
~こちら、拝殿正面。『瑞光殿』とも呼ばれています。
◆拝殿=西面
左手の開口部が西面。昇殿者入口だと思われます。
◆拝殿=東面
こちらは、雛段になっていて、ひな人形の段飾りを鑑賞できます。
当社では、拝殿東口、神楽殿、参集殿、テントなど、境内のいたるところで、雛人形を見ることになります。
なぜ、このようなことになっているのでしょう。
その答えは、「疫除け」でした。
《疫病除け・Part3》
【雛人形】
雛人形は形代(かたしろ)の一種で、神や霊が降臨します。娘を襲う疫病や穢れに対して、雛人形が身代わりとなります。
よって、
《雛人形=疫除け人形》 です。
◆神楽殿の雛人形
◆本殿
【意味的には元宮】
◆瑞光石の祠
御祭神が御姿を現され、当社創建の起源となった小塚の中の霊石。それが瑞光石です。
したがって、この祠は当社の「元宮」とも言えるでしょう。
◆牛頭天王と飛鳥権現
御祭神は、降臨の際「疫病を祓う」と宣言しています。
《疫病除け・Part4》
【御祭神の託宣】
吾はスサノオ大神・アスカ大神なり
吾を祀らは 疫病を祓い 福を増し
永く此の郷土を栄えせしめん
《疫病除け・Part5》
【当社・ご神宝】
◆天降諏訪神面
「千住天王 飛鳥権現」時代の御霊代と考えられています。この木彫り面は、天文十年(1541年)に諏訪の地より入手とのこと。
悪疫流行の際には・・・、
除疫を祈願する『諏訪面巡行』
が行われました。 当社HP・要約
《疫病除け・Part6》
【疫除守】
◆白桃樹御守
災厄除けの「白桃樹御守」
= 「桃の御守」 が江戸時代より伝わっています。
◎4/1~4/8までの期間限定授与。*写真は当社HPより
◆霊木=桃
当社には、杉やクスノキ、あるいは招霊(おがたま)など、神社で目にする樹木がありません。その代わり、一般の神社でほとんど見かけない桃を見ることができます。
こんなところにも、当社の《疫除けへのこだわり》を感じます。
【境内点描】
◆富士塚
当社では「小塚原富士」と呼びます。荒川区史跡としての登録名は「南千住富士」。当社と荒川区で呼称が異なっています。
◆御神木
◆ご神水
地下水の汲み上げです。飲料水として合格しており、お水取りできます。
◆東口大鳥居
当社最大の鳥居です。社号提灯や大きな常夜燈があるため、表参道と誤認しそうです。 しかし、こちらの突き当りは拝殿の東側開口部(=雛段飾り)です。
◆社務所&参集殿
玄関右手が授与所になっています。
◆境内社など
境内社=菅原神社と2つの稲荷神社。あるいは、石塔類=庚申塔や地蔵などが境内に点在します。これらの写真はすべて割愛します。
【御朱印】
◆スサノオの文字
古事記では、建速須佐之男命、速須佐之男命、須佐之男命。
日本書紀では、素戔嗚尊、神素戔嗚尊、速素戔嗚尊。
当社のスサノオはいずれの表記にも該当しません。
【参拝ルート】
2021年 3月23日
START=新交通ゆりかもめ・市場前駅~550m~①魚河岸水神社「豊洲遥拝所」~市場前駅→ゆりかもめ→豊洲駅~乗り換え~東京メトロ・豊洲駅→有楽町線→新富町駅~850m~②波除神社~100m~③魚河岸水神社「築地遥拝所」(閉鎖)~500m~東京メトロ・築地駅→日比谷線→南千住駅~550m~④素盞雄神社 ~250m~⑤南千住熊野神社~300m~⑥橋戸稲荷神社~350m~⑦足立市場(魚)・千潮金刀比羅神社~400m~⑧河原町稲荷神社~450m~⑨仲町氷川神社~550m~東京メトロ・北千住駅=GOAL
【編集後記】
◆疫病除けへの執念
今回、視点を変えて編集しました。
境内を隅々までガイドした、4年前の記事と別物になりました。
結果、当社が《疫病除け》について、長年にわたり考え続けていることが良く分かりました。
そして、御祭神です。
スサノオ大神というより、牛頭天王のほうがふさわしい気がしました。
◆御大・水木しげる
当社と水木氏に直接的な関係はありません。
しかし、疫病退散つながりということで、氏の筆による「アマビエ」でしめさせていただきます。
祈 コロナ退散! (了)