モリス見たさに引き寄せられる
自分のお金を儲ける
それは自分の自由を獲得することなのだから
率先してやるべきことやないか
と、18歳でロンドンに踏み入れたあたしに
イギリス人彼氏はいった。
どのように
海外のアルバイトを探して良いのかわからず
当時ピカデリー・サーカスにあった
ジャパンセンターの壁に貼られている
求人リストの中から
ハイドパーク・コーナーにあるホテルの
日本食レストランの求人を見つけ
電話をして面接の日取りを決める。
で
当日、
ハイドパーク・コーナーまで行こうとしたら
またしてもテロがあり交通網がストップ。
歩いて行ける距離でもないので
日本食レストランに電話して
今日はいけないと伝える。
次回の面接日を向こうは指定してきたが
18歳の私
なんか一回ポシャると
こいつはわたしの進むべき道ではない
とか、
勝手に考えてしまう癖があり
次の予定を断ってしまう。
なんで
海外にいるのに
日本食レストランやら
日本企業のために働くっていう選択肢しか
JAPANセンターはしないのか?
ここに応募しておきながら
私の中のムズムズなことを
テロのあいさに思って
ちょっと
もう一回どうしたいのか
あたいは考えたいのさ…と
経済的な自立促進をする
彼氏に説明しておいた。
まあ、彼はイギリス人ではあるが
あたしみたいな暴れウマ🐎を
相手にしているので
ふーん…そうなんだね?って同意もせず
反対もせず対応するわけですよ。
気分転換をするために
ウィリアム・モリスに特化した展覧会が
ヴィクトリア&アルバートミュージアムで
あったので、こいつを観に行こう。
学生証があったら
V&Aには無料で入れると
たかを括っていたのですけど
特別展示の場合
数ポンドの課金が必要になりまして。
現場にでむいて
それを知ったのですが
財布にその入場料が払えるほどの
持ち合わせがなかったんですね?
ショッボーン
と肩落としながら
当時自分が住んでいたフラット(アパート)
に一番近い出口から
V&A博物館を
後にしようとした。
そしたら出口付近にカフェがあって
そこの黒板メニューを片付けている青年がいた。
うのふ:
あのう…
私、仕事が欲しいのですけど
ここでアルバイトとか
求人してないですかね?
と、
ラテン系な出立の長身な彼に相談してみる。
え?
と、彼はびっくりした顔をするが
うーん、
求人してるかどうなのか
僕にはわからないので
裏に聞きに行ってくるよ…
ちょっとだけ待っててくれる?
程なくすると
白髪頭のお偉い感じなスーツ姿の男性が出てきた。
ラテン系ウェイター君は
あたしに
こちらがうちのマネージャーです
と紹介して頭を下げて後ろに下がる。
マネージャー:
きみは仕事を探してると聞いたが…
まあ、あっちに座って話そう。
通された部屋が
さっき入られなかった
ウィリアム・モリスの壁紙だったので
あ!
ウィリアム・モリスなんですね?
と言うと
ああ、そうだね。
知らなかったの?
結構うちの名物なんだがなあ。
世界最古の博物館併設カフェは
モリスが一室デザインしたのって…
とふふんと笑うおじさん。
うのふ:
あのう。
履歴書はもっていないですが、
後日それは持ってきます。
でも
働くならここだって思ったので
(通り過ぎただけだけどさ)
どうか雇ってもらえないでしょうか?
白髪頭のマネジャーは
眼鏡をちょっと触って
私に聞く。
マネジャー:
きみって
まず
労働許可ってあるんかな?
うのふ:
ええっと、
学生ビザなので
週に25時間なら許可されてると思います。
マネージャー:
国籍は?
うのふ:
日本人です。
マネージャー:
ふーん。
ぼくも東洋人雇ったことがないんだよね?
だからちょっと扱い方わかっていないんだけど
ここさ、
結構日本人が来るのよ?
やっぱりイギリスを誇る博物館だからね?
だから、
今君が飛び込みできてくれて
僕の頭は急に考えたんだ。
ウェイトレスやってもらって
僕が言語的にサポートがいるときに
君が役立つかなって。
うのふ:
そうなんですね…
何か役に立ちそうならばいいのですが。。。
マネージャー:
それじゃあ、明日から来てくれるかな?
うのふ:
明日!?
と、叫び声をあげる。
そんな急展開ってあるの?
でも私も急に来たし
言い返すことできないよね。。。
と、ちょっと戸惑って
辺りを見回したら
先程のラテン系男子が隅に立っていて
ニヤッと笑ったのが見えた。
それでは
明日待ってるよ
白シャツ黒パンツできてね
とそれだけを約束して
マネジャーに送り出されました。
とりあえず履歴書を用意しないといけないので
慌てて帰り
日本食レストランに応募したときに
作成した履歴書の複製を用意する。
続きます。
本日もお読みいただき
ありがとうございます
うのふ