画像はアマゾンさんからお借りしております

​この味がいいねと思える日はまだ遠い

彗星のごとく突然現れる、

急に食べたくなるもの。


私にとっては日頃、

全く興味がないカツ丼。


これのものすごくおいしいものを

食べてみせるぞ!

と毎回思うのですが、

いかんせん極稀に起こる好みなので

どこで食べていいのかわからない。



多分、蕎麦屋とか

定食屋あたりなのだろうけど

一人でそんな店にはいるのが

ちょっと抵抗があったりで

めんどくさいアラフィフ女。




図書館の帰り、

通り過ぎた地元のちょっとこぎれいな

喫茶店の外看板に

カツ丼ランチというのが目に入り

ここならよかろうと入る。



店の中は予想外に混み合っており

さすが平日の駅前、

ビジネスマンとマダム連でごった返している。



皆さんミックスフライ定食屋や

オムライスを食べている。



ここで丼ものをかきこむのも

どうなんだ…と一瞬悩んでいると

バンダナを頭に巻いた男性店員が

奥の2人がけテーブル席はどうぞ〜

と私に言う。



やった!


奥の席なら気兼ねなく食べられる

と喜んだのも束の間、

ものすごい奥のトイレの引き戸の

真ん前の席という

カツ丼記念日には

全然につかわしくない席だった。


椅子に腰掛け

さっき借りたばかりの文庫をひらいた途端、

何だか不自然な香料の匂いに私は包まれた。




これは…

隣でおしゃべりに夢中になってる

マダムの化粧品の匂いだろうか…

と文庫本に目を落としたまま考えていると、

斜向かいのテーブル席の

スーツ姿の美容ビジネス関係の

営業男女の女の方が中座して、

わたしの真向かいにあるトイレのドアを開ける。



…マダム

疑ってごめん。


これはブルー●ット置くだけの

芳香臭だったよ。


今すっごいあのドアが開いた瞬間

匂いの帯が流れ出てきたから

それは完全黒星だ。



この環境でカツ丼は湯気をたてて

わたしに運ばれてきたのだけど


もうね

集中できないよね

カツとかたまごとかもうどうでもいいもん。


とりあえず色んなまぜこぜで

嗅覚がおかしくなるから

息止めながら食べたら

味なんかするわけない。



ブルー●ットだけに気持ちはブルーなまま

ものすごいスピードで

食べ終えて喫茶店をあとにする。


通りに出て、

うちに帰る道を歩きながら考えつく。


カツ丼といえば

被告人が警察の取り調べで

頼んでもらうやつだけど

臭気に逮捕されちゃって

もうしばらくカツ丼いいや。


さて

今度はいつ来るのか

カツ丼記念日。


その日は突然やってくる。

そして大体毎回失敗する。



せつない。



本日もお読みいただきありがとうございました花



うのふ