あのツルッとしてるとこなんか瓜二つ
今朝目覚めると
キッチンカウンターにゴキブリがいました
隣の県から嫁いで20年
ゴキブリを見たのが過去一度きり
あっひゃあーっていう声をあげるのも忘れています
害虫駆除スプレーもうちにないので
ここは虫にだけ強気な男
夫オリベを呼びます
彼は水と空気の美味しい場所で生まれました
虫類は慣れていまして
ゴキブリもコオロギかのように
手掴み(流石に素手ではないですが)で
近くにあった台拭きを被せて
外に捨ててきてくれました
彼を唯一男らしいと思える瞬間
それは虫を捕まえている時ぐらいです
ということは
20年の結婚生活で
夫を男して見たのが
過去2回しかないのか
と気づくのですが
まあ、その辺は流しておきましょう
夫オリベの野趣溢れる生い立ち
それは彼を強く育てたことに
今回のお話は絞っておくことにします
まず、
旧家育ちの彼は
推定築80年は超える農家で
25年近く生活していたので
玄関を開けるとすぐ土間
という住環境に身を置いていたんですね
そこに家族の靴がずらっと並んでいますが
ある晩靴を履いて外に出るため
自分のニューバランスのスニーカーを
暗がりで足で探ったそうです
おじいちゃんの長靴
おばあちゃんの草履
お父さんのビジネスシューズ
お母さんのつっかけサンダルをよけ
よっしゃこのサイズ感と思って
踏み込んだものが
ひきがえる
生暖かいニューバランス
クッション性はあったみたいです
また夜は暗いから
そんなことは起きがちと思いでしょう?
違うんです
朝には朝の
注意しなければならないことがあるそう
遅刻しそうだと思って
慌ててうちを飛び出したら危険
なんか長い枝を踏んだなと思って
寝ぼけ眼でじっと見たら
にゅっとなって
鎌首をもちあげる蛇
3秒くらいお互い見つめ合ったそうです
今踏んだ?
俺踏んだ
言葉は無くとも通じたのか
凄い勢いでおっかけてきたそうです
遅刻間際に強力な助力を
してくれるじゃありませんか
とにかく共存しているのが
人間じゃないものが多過ぎる
人口過疎化はあっても
生物過密度はすげ高い
そんな毎日を送ってきたわけです
いちいちビビってたら
生きていかれない境遇
で今朝方現れたゴキブリにも
思い出があるようで話し始めました
街中の大学に行っていたので
学生アルバイトを始めたオリベ
とあるホテル経営のスポーツクラブ
で受付業務
しかししばらくすると
そこの社長がゴキブリ駆除用の薬品を開発
急遽スポーツクラブ勤務者が
ゴキブリ駆除係員として働かされる
街中の飲食店の厨房部分に
社長開発の薬を塗りに行くだけの仕事ですが
なんてブラックな働かせ方だと
私だったら腹が立つと想像します
夫オリベはその仕事のことをこう言いました
『ピクニックみたいで楽しかった』
やっぱオリベにとっては
ゴキブリ=コオロギなんでしょうね
水と空気が綺麗な土地で育った彼は
心も澄み切っているんです
ウノフ