​和風建築の難しさ

3月3日は義父母の結婚記念日

今年は金婚式



近くの小料理屋を予約して

ここから車で

1時間くらいのところに住む

義実家の両親に

ご馳走したのですが


夫のオリベ曰く

結婚50周年ともなると

つもりつもった話もあるだろう


義父が婿養子


姑問題で大変苦労したみたいです


こういうことを踏まえた上で

当人たちの率直な意見を聞くには


部屋を二つに分けて

父部屋と母部屋に

それぞれ10分毎私たち息子夫婦の

インタビュー形式にした方がいいのでは


なんでしょう、

この息子であるオリベの父に対する

細やかな配慮


ひとことで言うならば


大きなお世話




これはトラップですからね


従順に従っていては

妻としての采配を大いに疑われ

義実家に対しての挑戦状になりかねない


だから


無視の一手に限ります




当日小料理屋に一部屋予約を入れて

打ち水に濡れた玄関口をくぐり

しっとり落とした照明の店内に入ると

華やぎに満ちた桃の節句の装花


入り口から廊下が伸びており

二間目が私たちの席となっておりました


感染予防の配慮から

カウンター席を除く

店内五部屋ほどある個室は

全て襖で閉じられており


その中の一室に

私たち四人は案内されました


運ばれてくる料理は

新鮮な魚の数々で


お酒もすすみ

私たちの話にも花が咲きました




色々と同居の苦労もあった様ですが


オリベを含む二人の息子たちも

それぞれ家庭を持ち

しっかりと独り立ちしてくれたのは

同居していた

姑夫婦の厳しい教育の賜物だった


もし夫婦二人きりであったのなら

息子たちを甘やかし過ぎて

良くなかったかもしれないと父


三世代同居の昔の苦労話などは

一言も出ては来ませんでした



襖で区切られた両側の部屋からも

歓談の声がして

こうして賑う雰囲気も久々に楽しいもの



小一時間ほどして

この温かい時間が過ぎたところ

私はお手洗いに席を立ちました




廊下突き当たり

三部屋ほど向こうに

お手洗いはありました


用をすますと

また廊下を部屋までもどります




襖をあけるとそこには




見知らぬ男女四人が

じっとこちらを

無言で見つめていました





これは

宴もたけなわ

私、闖入者コースやないか




部屋を間違えて開けてしまったことに

謝罪の気持ちをこめて

深々と謎のお辞儀


静かに襖を閉める



隣りの私たちの部屋に慌てて戻り



『隣の部屋と間違えて今襖をあけてしまいました』 

と義父母と主人に報告



まあ、ウノフちゃんのやりそうなこと

という感じであまり気に留める様子もなく

また和やかな歓談がはじまります




すると、その30分ほどあとでしょうか


中座した義父が

お手洗いにたち

戻ってきて言いました


襖が同じすぎる

俺も今隣りの部屋を間違えて開けてきたぞ


隣の部屋の人

娘も娘なら

父も父だな

と思ったことでしょう


いいえ、

私たち義父とその嫁です

血の繋がりは全くないのですが

と説明に行った方がいいですかね


しっかり者のオリベとオリベの母は

にこやかに笑っていましたが


平和に

ニ世帯で住むのは

ある程度

嫁いでくる側の

適正がいる


と思っていたに違いありません


因みに

オリベは田舎の長男ですが

結婚するときの条件で

実家に入る必要はないこと

それは好条件とウノフは飛びつきました


今回その理由がよくわかった気がします


とりあえず

母部屋と父部屋にわけたら

倍数となって

乱入現場がふえたはず


それが避けられたことに


ほっと胸を撫で下ろす

ウノフでした