幻惑されて | Miss.KISS怪盗★鈴木花子のブログ Forever

幻惑されて


























貴方を好きになったのは






あの晩

月が

綺麗だったから














貴方が私を引き止めたのも





きっと


あの夜

空に輝く 


十六夜の月が


手間取る私に重なり見えたから














蝉時雨











夏の訪れ













私達の恋の始まり















ひと夏の恋とは


よくいったもので







そんな気はさらさらなかったのに


















ツクツクボウシが鳴いていた



晩夏の頃には







2人別々の道を歩き始めていた

















ありがとう


って





どういう意味ですか?








貴方の目を見て尋ねる













狡い貴方は

何も言わない

  










頷いたかのように





少し顎を引いて



私を見つめる












そんな目で見られたら






もう


何も返せないじゃない……



















泣かないって
決めていた













帰りの地下鉄




窓に写る
小さな肩






大きな肩は


もう


隣には居ない















貴方のお気に入りの


黄色いTシャツ・・・・






もう


見ることもない









黄色いTシャツ


















地下鉄を降りて


家までの道を歩く








秋刀魚の焦げる匂いがした

























秋の訪れは


すぐ



そこまできていた



























































黄色いTシャツ





fin.