幡ヶ谷音楽紀行 Vol.8 幡ヶ谷36°5 2024.4.1
 
 
久しぶりのロクドゴブのガパオライス、んまかった!
 
 
最初ね、悩んでたんですよ。旭川からの翌日、年度の初日。
バタバタするのも疲れてるのも予想できたし。
でも、対バンが決まった途端に聞間さんにメールしちゃってました。しゃるここちゃんこと、Charmant cocoとの対バンだなんてー!行くでしょーー!!

しゃるここは大阪府交野市出身のユニットですが、交野市のキャラクター・星のあまんちゃんとの御縁で交野市のイベントや枚方でのストリートライブでステージを何度か見たことがあります。配信も何度か見ていて、いつかライブハウスで聴きたいなーと長いこと思ってた、それが叶った夜でした。多分、昨日のあのハコにいたお客さんの誰よりも俺得!って思ってたと思う。

聞間さんはもう一組の「カタソビ」さんともども、初の対バンとのこと。楽しみにしつつも、パッと見、3組に共通項が見当たらずどーなるんだろーなー?とも思ってたのは、まあ、杞憂でしたよね。面白く、凄く、わかりやすい共通項はなくともつながっていた。全員、旅人であり、全員、煩悶や焦燥や苦闘を抱えて…生きづらい世の中でそれでも生きてる人々の、つまり私達の気持ちに飛び込むような言葉と音を紡いでました。
 
愛花さんの伸びやかな声とやさしく支えるしょーまさんのギター、歌に包み込むような大きな愛を感じるしゃるここ、葛藤と苦悩を詩的・演劇的な世界と音に閉じ込めたダークと艶のカタソビ、そして想いを真っ向から歌う聞間拓。
 
パワフルなボーカリストな3組!
 
 
Charmant coco
愛花  Vo.
しょーま G.
 
 
私の生まれた町
TOKYO
あほらしい
なぁ、
眩しい
わたしだけの人生
完璧じゃなくていいよ(仮)
 

 

 

 
 

しゃるここは、とても「近く」にいてくれる音でした。
時々、立ち上がって客席にまで歩いて来て歌う、裸足の愛花さん。みんなと目と目を交わす。
愛花さんの変わらぬ伸びやかな声と、きっとキャライベでは見せないようなダークな言葉達への共感と、言葉少なくギターの音だけで愛花さんを支えるしょーまくんの美しいギターと。静かに、しかし強く深く届く歌でした。
「私の生まれた町」を聴きながら、交野の高い空と星のブランコからの景色と山々を思い出してました。「わたしだけの人生」、「完璧じゃなくていいよ(仮)」、言葉ひとつひとつが粒立って心に飛び込んできました。

 

声の大きさゆえなのか、時々オフマイクにして歌ったり、すっくと立ち上がったり、客席まで歩いたり、エネルギッシュな愛花さんの歌とステージに目が離せない心地。囁くような歌声でも力強さが消えないのがすごいところ。

しょーまさんのコーラスはやさしい。


みんな自分自身にやさしくしてほしい、と語る愛花さんのやさしさと同時に、つらい時は毒もはいちゃえ!な、いいこと・きれいなことばかりじゃない人生の肯定と抵抗でもある「あほらしい」「なあ、」のようなダークな曲はライブハウスでこそ。

そして、そういう曲の持つ鋭さがまた好き。

 

やっとリアルな場で聴けて嬉しかった!

 

 
 
カタソビ
 
アイラ Vo.
ふみな G.
 
 
 
 

「カタソビ」さんは、凄かった。

新潟からの女性二人組のユニット。自分達で作ってるのかなあ、おそろいの布ででも形が異なる衣装が凝っていて素敵。

 

ボーカルのアイラさんは役者もなさるらしい、なるほど、すごく演劇的なステージ。
キュートな高い声、ファルセット、同時に太く強い低い声、エッヂボイス。くるくる変わって、中性的でした。どっちでもないんじゃなくて、どっちも持ってるような中性。カッコよかった(なにかにたとえるのは好かんけど、AimerやAdoを想起させるような、声の色の多いボーカルでした)。
詩的な言葉で描く物語世界の中にどれも、胸に渦巻く淋しさのようなものがあって、夜の似合うユニットだなぁと思って聴いていました。ロクドゴブのあの暗さがいいんだ。


ギターのふみなさんは、びっくりするくらいうまくて、女性のギタリストでここまでタップしたり、指弾きしまくったり、エフェクターも駆使してバリバリに鳴らしたりしてる人はそう見ないのでひえーっと思ってました。
最後の方に歌った、ボイスとギター、どちらもルーパーを使ってた曲、すごく好きでした。民謡のような音階の曲もよかった、とても。

 

カトウマサタカさんのワンマンを見るための上京と合わせての東京のライブだったとのこと。もりきこさんともつながりがあるそうなので、いつかまたステージに不意に出逢えそうな気もする。

 
 
 
 
 
 
聞間拓
 
君が生きてる間に
Flare
とんじゃかない
うんこちんちん
心、動け
夜明けまえ前線
歌ってる場合ですよ
 
遥か遠くの隣から
 
 
最後は聞間さん。
ユニットはもう懲りた男、と自己紹介(笑)
ユニット、ユニットときて、ソロでしたからね。水野さんはなんでここに聞間拓をブッキングしてきたのか、聴いてみたくなるくらい、前の2組とガラッと変わるスタンドアローンな、骨太な世界。それがよかったのかな。

私は専科とモルタル以外のハコの聞間さんは久しぶり。ロクドゴブは聞間さんも「あけましておめでとうございます」って言ってたくらい、久しぶり。
ロクドゴブを特別な場所のひとつとして大切にしてるんだろうな、と伝わるような気合の満ち満ちた声とギターでした。ギター、すごくよく鳴っていた。
途中、シールドの接触なのか、ギターが途切れたり、マイクがバリッたりしてたんですが、止めることなく乗り切って。

冒頭から「君が生きてる間に」でガッチリ胸ぐら掴まれてわしわし揺さぶられるような心地。この曲のワッシワッシとギターとともに揺さぶるような歌が、最後にフッと静かになるところがすごく好きで、そこに来るたびに喉元がグッとなつまて泣きそうになる。聞間さんの曲はこの緩急が強い。その揺さぶられる感じが絶妙だと思う。
新曲の「うんこちんちん」はその「緩急」の塊のような曲で、タイトルはともあれとにかく名曲。「なんでもないよ、大丈夫だよ」と言うんじゃ陳腐すぎる、でも言いたい、そんな気持ちかな、と思ってるんだけど、みんなにコルレさせて笑ってるところを見てるとほんとは小学生男子の気持ちなのかもしれない(笑)

「とんじゃかない」とともにさんざんみんなを笑わせてからの「心、動け」「夜明けまえ前線」「歌ってる場合ですよ」のヒロイックなクライマックス、そして、「遥か遠くの隣から」のやさしく切ないアンコールまで、40分強、汗でいっぱいだし荒っぽくもあるんだけど、どこか美しくもあるステージでした。 
 
 
 
「とんじゃかない」のヤイヤイ。
五木ひろしやん、とぼそっと後ろから水野さんの声がして噴いてしまった(笑)
 
 
汗だくの咆哮!
 
 
 
 
 
久しぶりだけど久しぶり感のない、居心地の良さがロクドゴブなのでした。
 
聞間さんはしばし関東にいたのち、またすぐツアーで、今週からは関西、四国、東海…その後もひたすらに旅が続きます。
「幡ヶ谷音楽紀行」のタイトルどおり、新潟・大阪・静岡を拠点に旅をするミュージシャンばかりの夜でしたが、聞間さんにとっては最近は「旅」というよりも全国に「ただいま」を言いに行っている感覚なんだそうです。
 
全国に「家」があるっていいじゃないの。
 
今年はロクドゴブでの春のワンマンがなかったのは残念なんだけど、また必ず「ただいま」って言いに来てくださいね。