続・帰ってきた聞間専科~年忘れスペシャル
2023.12.27音楽酒場サラスヴァティ弁天
 
 
 
音楽酒場サラスヴァティ弁天
聞間拓
Knock
N.P.N.G.
ギターケース
十七歳の地図~OH MY LITTLE GIRL
DON'T CRY MY LOVE
River At Midnight
 
氷の世界
さよなら
ちぎれ紙の上、青虫
なぁ、みんなどうしてる?
帰り道からのラブソング
Long Road
500マイル〜駅
 
遺書
 


2023年ラストの聞間専科は、年末スペシャル。
「スペシャル」と銘打っていつも特にスペシャルなことはない…んですが、この日は年納めが近いのもあってか、なんとなく聞間さんもしんみり。
ゆるやかに、しかし、おしゃべりより歌で心境を表すような、専科にしては歌の比重の高い回になりました。年の瀬のセンチメンタルな感慨に身を任せるようなセットリストに。冬の歌、冬の空気の歌、多かったですね。

中でも、ラストに歌った 「500マイル」から「駅」に繋がる流れがとても素敵でした。

どんな人も、距離によらず「旅」をしている。
みんなの旅が2024年も、その先も、よい旅になりますように。

宮さんごはんは、新作の牛出汁うどんと迷って、結局、バターチキンカレーに。カレーを喰みながら、聞間さんの音も喰む、幸せな時間。

よき2023年の「聞間拓」納めでした。
 
 
いつものように、自身で緑茶ハイを作り(もう、自分ちの台所みたいになってる)、手元に置いてカラカラとみんなと他愛のないことを話す。その他愛のないこと、が、MCのきっかけになったということも多いのが、聞間専科です。

歌は少なめ、特に前半はいきなりスロットルをかけることなく、ゆるゆると走り出していくから、だいたい5曲以内。後半にようやく、歌うエンジンがかかってきて、まあ、いつもトータルでは12、3曲にたどり着く。

もちろんいつも、ではなくて、たまにすごく歌いたい日もあるし、カバーしかやりたくない日もある。
そのあたりは店内の空気と聞間さんの気持ち次第。

この日は、どういう条件だと聞間さんは酔っ払うのか、という話題があって、カフェインに弱いんすよ…という前振りが。
後半に入って聞間さんの顔が真っ赤になってきて、ちょっと滑舌も悪くなってきて、みんなで酔ってるねぇ?と指摘すると、えー、そんなに飲んでないんすけどねえ…と返す聞間さんにお客さんがぽそりと「珈琲飲んだんじゃないんですか?」

はあ!っと目を見開いて「あっ…飲んだわーー!」

場内、大爆笑。
こんなふうに客席との皮膜もほぼない、会話ごと楽しいのが聞間専科でもあります。
(ほんとはだから、配信は1/3くらいしか伝わってない気がする)

この日の客席には専科は初めて、二度目、という方がいらして、専科も年末ラストで、少し、「いつもの」感じと気分が違ったのかもしれないです。
セットリストは、だいぶ、しんみり、やさしい、そして、オリジナルは若い頃の曲を掘り起こす、少しセンチメンタルな流れでした。
 
 
聞間さんからも、専科は普段歌わない曲への供養的な時間でもあるんだ(お前のことが嫌いになったんじゃないの!って・笑)、という説明で冒頭2曲はまさにそんな2曲。
「Knock!」は皆さんの反応を見てるとこの曲が好きな人は多いと思うし、「N.P.N.G.」はリクエストが多くてよく専科では聴きますが、確かに普段のライブではまず聴かない曲。聞間さんが今、伝えたいこと、とは合わないのかもしれません。

若いころの自分の歌詞にちょっと照れながら、でも、今の聞間さんに繋がる曲なんですよね。ちゃんともうあちこちに香ってる。
 
もうひとつ、若いころの曲を、と「ギターケース」。
若いころに最初に全国にツアーに出たときの話とともに。
新潟で信濃川の橋の下で寝袋で眠っていたときの雪にぽっきり心が折れて、帰ろうと思った、ルートを短縮して戻った、そんな思い出があるそうで。
これも、10代の聞間さんの中に今の聞間さんとつながる淋しさがあって、とてもいい曲。

…なんですが、5カポなのを忘れてカポなしで歌ってたせいで、めちゃくちゃ低くなってしまっていて渋いバージョンになってました、でもこれはこれで今の聞間拓の歌う「ギターケース」でよかったですよ。
 
路上ライブでは、先ほどのKnockとギターケースを含む5~6曲(もう今は歌えないものもあるそうですが)のオリジナルのほかは、カバーで人の足を止めることが多かったそうです。

 
ここからはカバーやりたくなったなあ、と カバータイムへ。
「Knock」には尾崎の「十五の夜」からのインスパイアがあるということで、自然と尾崎の話に。「十七歳の地図」に出てくる歩道橋の話になって半分以上歌って、ここまで歌わなくてもよかったよね、と笑いながら、「OH MY LITTLE GIRL」。ううー、大好きなので嬉しい。聞間さんの声のかすれ具合が、尾崎の曲にある淋しさと響き合う。
冬っぽい曲いっぱいあるよね、と言ってたので、やはり冬の曲を歌いたい気持ちだったのかも。
そういえば、今年は12月の専科がちょっと遅かったので、クリスマス定番「恋人がサンタクロース」を専科で歌えなかった、と残念そうでした。
 
これも大好きだという長渕の「DON'T CRY MY LOVE」から、「River At Midnight」へ切なく、しっとりと続けて、休憩です。
カバーならラブソングも歌える、ラブソングって若い頃にしか作ってない、今は歌うと恥ずかしい、と照れてました。今も歌っているのは結句、広義のラブソングだと思うんですけどね。

 
休憩挟んで二部。
まだカバーモードで「氷の世界」「さよなら」。
私、聞間さんの陽水は初だったかも! すごい歌詞だよねぇ!と。字余り気味の歌詞をまくしたてるように、氷の世界、なのにちっともクールじゃない、熱のある、吹雪吹雪吹雪。
 
オリジナルに気持ちを戻して「ちぎれ紙の上、青虫」。
実話なんですよ、とそのときの話をしてたんですが、そこから膨らませて、青虫の不自由と人の不自由の重ね合わせが面白い曲。大好き。聞間さんの歌詞は具象が強いんだけど、文学的表現が多くて、美しい印象が強くなります。こんなタイトル、なかなか思いつかないよね。

このへんからちょっとおしゃべりも増えたような。酔っ払ってエンジンかかったかな?
熱海の話、「聞間」の姓の話、妹さんの話などなど…年始は浜松の学生時代の友人たちと新年会なんだそうです。まさに彼らに向けてやさしく歌う「なぁ、みんなどうしてる?」 
さらにちゃんとラブソング、あったわ!(笑)ってことでしっとりと「帰り道からのラブソング」。カバーもいいけど、オリジナルもいい曲だらけじゃないか、聞間さん! 専科があってよかったなーと思います。歌われないはずの曲達が蘇ることのできる場所。
 
すっかりこれで締めかな、と思っていたら、少し前のタイミングでチェッカーズか藤井フミヤか…とリクエストしてたのを思い出してくれて「Long Road」。
おお~~嬉しい~~。ちゃんと歌いこまれた響きで、柔らかくてとても素敵でした。
 
本編最後は「500マイル〜駅」。
清志郎の「500マイル」(原曲はヘディ・ウエスト。清志郎ノ訳詞によるカバー)からつなげて「駅」になる展開、すごく素敵。人生という旅の歌が重なり合う。
 
サンクスムービーは「遺書」。
2023年の終わり、最後の専科で遺す言葉。

「生きるが当たり前じゃなくなるときが来ても 
笑いあえてた毎日をまず称え合おう
約束ができるなら 今、約束ができるなら
1日でも長く生きる君でいて」

奇しくも年明け早々の哀しい出来事にも繫がる、縁といのちを愛おしむ曲で静かに専科の歌い納めでした。


来年3月で、聞間専科は10年になるそうです。
ココペリ亭からアースリーパラダイスからサラスヴァティ弁天まで、一回も欠かさず続けてきた聞間専科。
いろいろ宮さんが考えてくれてるみたいなので、万障繰り合わせてご参集ください!

ちなみに2月の専科はがっつりバレンタインデーです。
甘いものが嫌いな聞間さんなので、チョコ目当てではないと思います、多分。甘くない何かは求めてるかも?(笑)