ミチヲツナグヨル #55

熊谷モルタルレコード 2023.11.1

 

 

熊谷モルタルレコード

竹田侑海
助川貫
戸谷光
kurosawadaisuke 
 
 
2023.11.1 熊谷モルタルレコード「ミチヲツナグヨル」#55。
 
寄居町出身の竹田侑海(たけだうみ)さん、埼玉出身・戸谷光さん、戸谷さんつながりとのことで水戸の助川貫さん。そして、北海道代表、kurosawadaisuke さんという4人。埼玉枠が半分。山さん、必ず埼玉のアーティストを呼んでくれるので埼玉県民としては嬉しい。「私の街のライブハウス」なのだ(熊谷は隣の隣の隣くらいだけどさ)。
 
山さんのブッキング、時々「どこでどうひらめいたんじゃ?)」ってときがあるんですけど、この夜もそんな感じ。
でも終わってみたらなんか納得した。
 
20代、30代頭、30代後半、50代。
様々な年齢層。登場順もこのとおり。
 
最後の大介さんが歌ってるとき、前の3人のギターがちょこんと窓ぎわに並んでいて、何か初々しさを放っていて(属性の違う初期ポケモンみたいだった)、そこにどんと大介さんが黒のギブソンを抱えて立ってる姿が、龍属性の黒ポケモンって感じでえらく大きく見えたのでした。
 
年齢がすべてではないんだけれど、やはり歩いてきた道のりの長さの分、滲み出るものも深くなるし、道幅も広くなるし、抱えてるものも多くなる。若い酒が熟成してまろやかになるように。人もそう。
若さのよさと年月を重ねたよさと、どちらも確かにあって、人はみな、その道を辿っていくわけです。
 
言葉、歌、ギター、メロディ、土地、人、いろんなものがフックとなって、それぞれに少しずつ重なりながら、それぞれの道がつながっていくような、そんな印象を持って4組を聴いていました。
縁はまだが浅そうでも、何かしら繫がっている4組。なによりも音楽で、ですね。
 
竹田さんは謎のキーワード曲・「ボリビーラ」を芯にして全てはボリビーラに繋がってる、と独特の世界観で陽気に。
助川さんはその陽気を受け止めつつ、物語性の強い曲で空気を塗り替えて。初のモルタルで緊張してたのかも? 客席の拍手に気持ちをあげすぎて喉を枯らしちゃってたけど大丈夫だといいな。
戸谷さんは、またこれが高い美しい、しかし、強い声でモルタルの壁を揺らしてた。
 
最後に大介さん。
「EasyDIVER」からの曲を中心に。
「未来を見ながら」がほんとに珍しかった(大介さんも3回目かもって言ってた)です。個人的には「手のひら」の強さ、深さに胸を撃たれてました。
「ストーリー」もカッコよかったなー。
 
アンコールもかかって、最後は「YES」。
恥ずかしげに右脚を跳ねておられました。
4組なので30分くらいかと思いきやアンコール含めて50分近く! たっぷりでした。
あー、楽しかったー!

 ◆
 
竹田侑海


 
ボリビーラ
アドバンスジェネレーション
かくれんぼ
自分エール
 
高崎線の遅延でちょっと遅れてしまって、多分、2曲は聴き逃してますかね…。
そんなわけで導入なく、いきなり「ボリビーラ」の洗礼を浴びました。
謎のワード。でもなんか、聴いてると楽しくなっちゃう。一緒にボリビーラ!と歌おうと煽ったり、歌うのが恥ずかしい人は、ボリビーラのマークを出して、と手話のラ(音符みたいな形)を教えてくれたり。
すっかり楽しくなる私達。
「アドバンスジェネレーション」「自分エール」も、元気な曲。「自分エール」で、歌詞に合わせてナデナデと自分の頭を撫でるのはちょっと照れくさかったけど、そのこそばゆさが心地よくもありました。

歌うたびにパッ!と広がるエネルギー。
23歳の若さゆえ、だけではなく、おそらくは彼自身の持ち味。ザリっとした歌声で開放的に、くりっと丸く目を見開いて。

元気な露払いで、客席もすっかり元気になりました。

なお、竹田さんは寄居町出身とのことで、終わってからちょこっと竹田さんと戸谷さんから寄居の美味しいお店の話を聴けました。来年、行くかも、なので楽しみです(県央出身で秩父は遠足で行くところ…という印象なので、大人になって行く秩父鉄道の旅、新しい発見がありそうで楽しみです)。

 
助川貫


 
 
スノウマン
きえたい
ホワイトフラッグ
ハローワールド

貫、と書いて「とおる」と読ませるの、珍しいなぁ…ご両親の願いを見る思い。
 
モルタルは初、戸谷さんの紹介で来られたとのこと、ちょこっと緊張気味な始まりでしたが、歌いだしたら、すごく深い声と物語性の強い曲で一気に空気の色を変えました。

ギターの音がとても豊かでした。この日、大介さん以外で唯一エフェクターを使ってて、ルーパーの使い方が印象的。大介さんとはそのへん、話も合いそうだなあなんて思って聴いてました。
普段、etuというバンドをやってるそうで、それもあって、大介さんと近い、バンド感・ロック感の強いサウンドでした。

2曲目の「楓」という曲の弾むリズム、弾む言葉が素敵でした。「消えない」「鏡」と自身の心情を写した曲が続いて、特に「消えない」のエモーショナルな声が印象的でした。
この曲、すごくジャジーで裏声も素敵で、ギターの雰囲気がKing Gnuっぽいなぁと思ってたら、セルフライナーノーツで思い切りKing Gnuのことが出ていて、ヌー民としては思わずニヤリ、です。


みんなの拍手や声援にグッとテンションが上がってしまったようで「ホワイトフラッグ」で少し喉を傷めてしまってましたが、そんな様子もとてもライブ感。こちらもグッと来てしまいました。
(あのあと大丈夫だったといいのですが)

最後の「ハローワールド」ではみんなの助けが必要だと声を求めつつ。
センシティブな、モラトリアムな歌詞と声の切なさと、ギターが刻むリズムとが相まって、淋しさが強く耳に残りました。Amazon musicでバンドバージョンを聴いてみてるんですが、etuのライブも見てみたいです。



 
戸谷光


 
戸谷さんも埼玉の方なので出てくるワードが県民としては身近で親近感。

ライブは、すっごくびっくりしました。
多分、あちこちで言われてますよね、はい、言われますってあとで話したときに笑ってましたけど、すっごい綺麗な、女性かと聞き間違うほどの透き通る高音で歌うのに、地の声はめちゃくちゃ低い。ギャップすごい。あと、睫毛めちゃくちゃ長い!

声のパワーがとにかくすごくて、透明な声なのにグワアッと圧があって耳が声でいっぱいになる。
歌詞の世界はどちらかと言えば「僕の気持ち」、周りの人への思いとか、「君」へのラブソングとか、家族への愛とか…身近な距離感のものなのに、声のスケールが凄くてなんとも不思議な気持ちになる。
アコギの繊細で美しい音色に比して、強い声の力で場を圧していく、そんなステージでした。

お父様への思い、お母様への思いのこもった最後の2曲、耳に強く残りました。

ギターマニアなんだそうで、物販にシールドが並んでたのがすっごいびっくりでした。
前日に楽器屋さんでお客さんからもらったというエフェクターボードがあまりにでかくて、とりあえずモルタルに持ってけば誰かいるかも、と上尾から運んだそうなんですが、あとで山さんが「これこれ」と見せてくれたボードがほんとにでかくて(エフェクターボードというよりもはやトランク…)、これもびっくりでした。
結局、山さんが使うのかしら(なんでも入りそうでした)。

 

 
kurosawadaisuke


 
EasyDIVER
未来を見ながら
GO GO サマー
ミシンの下
手のひら
ストーリー
シャナナ
 
YES
 
 
最前列にシャナナ学園の優秀な熊谷スイミングスクールのサクラスイマーズが揃っていたので終始大ノリでしたが、後ろは引いてなかったでしょうか大丈夫でしょうか。
怖くて振り返れませんでした。
すいません、騒がしくて…。
でも、帰り際に後ろの方々に楽しかったわーって声をかけてもらえたし、ノリノリでつきあってくれたお客さんもいたし、無理強いはしてないし、多分きっと大丈夫。大丈夫?(笑)

 
すっかり埼玉といえばモルタル、になってきた大介さん(年明けも決まってるそうです)。
今回は全員とはじめまして、なので、やや探りつつな感じのステージでした。
(気にせずノリノリの俺たちとのギャップ!)

アルバム「EASY DIVER」からタイトルソング「EasyDIVER」でビシッと始めて、一気にkurosawadaisukeワールドに。
この日ほんとに四者四様の音だったんですが、アコギ弾き語り」な音と「ロック!」な音と、違いがくっきり見えたのが面白い夜でもありました。大介さんはもちろん、ロック!です。大介さんのギターのぶーんって低いルート音の響きが好きだなーと再発見もしてました。

発表してからやるのは3回目(えっ!)だという「未来を見ながら」。しんどい日々も楽しいことがあれば乗り切れるよね、という曲だと説明するのに、推しのライブとかあれば…という「推し」の例示が「SMAP」「嵐」「ジャニーズ」ときて「北島三郎」…客席から時が止まりすぎ、と突っ込まれてました(笑)
サウンドはめちゃくちゃかっこいいのに、なんかこういうとこがファニーになりがちなのが「kurosawadaisuke」なんだなぁ、と…(かわいいです、かわいい、が褒め言葉かはわかんないけど)。
温かい気持ちになれる「君」と逢える日を待ち遠しく過ごす…というラブソングの形なのだけれど、「君」は聴き手それぞれにとっての大切な存在であって、聴きながら人それぞれに思い起こすものがあると曲だと思います。
最後のサビに向かってテンポを落として歌うところに来ると、しみじみとした気持ちになります。


うってかわって、夏はとっくに過ぎたけど(笑)にぎやかに「GO GO サマー」。はじめましてのお客様が多かったので、大介さんの視線にちょっと躊躇を感じましたが、がんばって泳ぎました!

 
 
「ミシンの下」「手のひら」。
「ミシンの下」で、以前グッズで販売してた小さい指につけるマラカスを使ってて、これが素敵でした。この曲のやさしい音が好き。大介少年が見上げていた景色が浮かぶよう。

そして「手のひら」、ほんとに素晴らしかった…一つひとつの言葉に深さがあって胸に沁みて…歌うたびに、曲の器がどんどん大きくなってるように思う曲です。
戸谷さんが歌ったご両親への想いがまだ残ってる中で聴いて、なにか繫がってる心地でもありました。

「ストーリー」ではギタリストとしての大介さんの魅力をバリバリと。エレキパートが長くてカッコよかったーー!
ラスト、「シャナナ」で大騒ぎ!してからのアンコールで「YES」。
だいぶ遅い時間になっていたんですが、山さんがオーケーしてくれました。わーい。

はじめましての方が多いなかで、大介さんも探りながらのコルレでしたが、大きな声でイエース!と答えてくれた皆さんに感謝!!

恋じゃない、YES!! で、シャイに右足、ピョコン!
(最後の「Say Yes」はめちゃくちゃ短かったけどねっ!)

 
終演後、階段の下で、お店の中でワイワイと飲みつつ語りつつ過ごすのがモルタルでは楽しい時間です。
帰りたくなかったなー。楽しかった。
毎回泊まればよかったーと思う、その名残惜しさがあるから、また次が恋しいわけです。
またすぐ、行きますね、山さん!