かずま・皆川和義セッションライブ〜天使のダミ声のおぼしめし〜

音楽酒場サラスヴァティ弁天 2023.8.6

 

 
 
音楽酒場サラスヴァティ弁天

かずま Vo. G.
皆川和義  hca.

 

今回の宮さんのごはんは、豚バラなんこつの魯肉飯風(風、がポイント)でした。めちゃうま!

 
8月のサラスヴァ来訪は、かずま・皆川和義セッション。
かずまくんはギター弾き語り、皆川さんはクロマティックハーモニカ、ブルースハープ奏者。
今年3月の木村充揮さんの吉祥寺ライブで出逢って(タイトルについている「天使のダミ声のおぼしめし」とはそういうことなのでした)、今日がほぼ初めてのセッションとあって、お互いに探りつつのライブでしたが、いい探り合い、探検の結果は上々だったのではないかと思います(皆川さん的にはリベンジ案件もあるみたいですが…)。
 
お互いのレパートリーを5曲ずつ(+サンクスムービー+無茶振り1曲・笑)。
「ゆくよ」がよかったなあ…皆川さんセレクトの「Love's in need of love」(ある愛の伝説)も素敵でした。

当日突然の無茶振りの「ショットガンベイビー」で、パッ!と音の世界観を掴んでピッタリのブルースハープを聴かせてくれた皆川さんもすごいし、皆川さんのオリジナル「Love」で初めてと思えないギターを弾いたかずまもすごいし。対応力の強さはすなわち、身のうちにある音楽の豊かさの現れなんですよね。耳が喜ぶ2時間でした。
「かず✕かず」というユニット名も決まったことだし、次回のセッション楽しみですね。
 
にしても、皆川さんはかなりお茶目な方でした。水泳部からハープにたどり着いた(笑)道のりを次回は聴きたいです。
 
    
 
SweetMemories
ウィスキーがお好きでしょ
素敵に
ショットガン・ベイビー
いつものこと
Love
新曲(かずま、インスト)
聖者の行進
ゆくよ
Love's in need of love
You true it
 
A Beautiful Flower
 

事前に5曲ずつ選び、コード譜はお互い渡し合って、この日のリハでさらーっと合わせて、というダンドリだったらしいんですが、どの順番でやるとか細かい終わり方とかまでは詰めてなかったそうで。
そういう意味もあってお互いの探り合いが最初から最後まで続いてたんですが、とにかく、そのことが楽しそうでした。緊張自体が楽しそう。

ある意味で思ったとおりじゃない展開もあったみたいですが、それすらも楽しい、刺激的なまさにセッションでした。

この前日に東海道線で電柱が倒れる大きな事故があってこの日もダイヤがかなり乱れていて、お客さん数名、ギリギリだったり遅れたりしてたので冒頭は少し長めのトークタイム。少しじゃないか、だいぶか(笑)
お互いの人となりもまだよく知らないままだからということで、かずまくんが皆川さんにインタビュー。
生まれと育ちと、どんな部活してたか、とか。
足利のご出身で、ジョン・レノンと同じ誕生日で「生まれ変わりです」と言いながら「僕の4歳のときに亡くなったんですよね」(笑) 
小・中と水泳をやってらしたそうで、関東大会も出たくらいらしいです。

ふむふむ。 

え、で、そこからハーモニカにどうたどり着いたの…!? という部分は語られないまんま、この日は終わりました(笑) えー!?


全然始まらないなぁという宮さんのツッコミをきっかけに、まずは、皆川さんセレクトを2曲。
クロマティックハーモニカでの「SweetMemories」そして「ウイスキーはお好きでしょ」。おお、昭和歌謡!

ハモニカって、息を使う管楽器なので、音に空気がいっぱいなんですよね。ビブラートもかかるし、声と同じような個性が出ると思うんですが、この2曲は色っぽかった。

 


かずまくんの曲は「素敵に」から。
「素敵に」がいつもよりテンポを落としてかなりしっとりと始まっていて、ハモニカの音色に寄せていくような仕上がりでした。ハモニカがメインだとボーカルだし、サポートだとコーラスでありピアノであり。曲にほのかに翳りの与える響きがあるなあと思って聴いてました。

ここで、かずまくんがハモニカ吹くと口をすぼめちゃうと話したのをきっかけに、ハモニカは口はすぼめないよ、というところから、皆川さんのハモニカ講義があってすっごく面白かった!です。
そこまでのジョークの多い、飄々とした雰囲気の語り口とはガラッと変わった真面目な口調が印象的でした。

…からの、コロコロっと話が転がり、なぜか鉄砲の話になり、かずまくんのエアガンの思い出話になり、流れでまさかの無茶振り「ショットガンベイビー」へ。
皆川さんはまったくの初聴きでやるという!

頭のコードだけ伝えて皆川さんにおまかせ!しちゃってたんですが、コードと最初の展開だけで掴んでブルースハープでしっかり世界観を作ってきてたのがほんと素晴らしかった。
ご本人は大変だったと思いますが(笑)

ブルースハープの話を直前にしていたのもあってかブルースハープでしたが、これが曲にピッタリでした。間奏のソロがまーかっこいいこと!

かずまくんも「楽しい!こんなに楽しかったら5時間でもできる」とニコニコでした。

 

元に戻って(笑)しっとりと「いつものこと」。皆川さんとかずまくんのアウトロでのやりとりが素敵でした。どうもミュージシャンにしかわからないスリルが何かあったようなんですが、こちらは美しさばかりを堪能しておりましたよ。

皆川さんのオリジナルだという「Love」(カタカナかな?)はやさしい、素敵な曲でした。こちらはクロマティックハーモニカで。
吹き方によるのかもしれませんが、ブルースハープに比べて音がスッキリしてる印象。
かずまくんのギターソロも良かったなあ…。

皆川さんのハモニカ、とてもしっとりなのに、御本人のMCはどっちかっていうと諧謔的で、ジョークも黒めなのも多くて、ギャップが面白いなあ〜と思って聴いておりました(笑)

 
 
かずまくんのインストの新曲は初夏に産まれた息子さんを寝かしつけてるときに浮かんだ曲だとかでフレッシュなうちにやりたい、とタイトルも未定のままで。
指弾きのとてもとてもやさしい曲。2番から、ハモニカでメロディを作っていくんですが、時々、ギターとユニゾンするときがあって、ふたりで一緒にやさしく歌ってるようでほんとに素敵でした。
終わったあとで、弾いてるときのかずまくんの表情がとてもやさしい、と褒めてました。「そんなに僕のこと好き?って思った」って(笑)

 
生まれた赤ちゃんを寿ぐような曲の後で「死者の歌ですいません」と笑いつつの「聖者の行進」。
ブルースハープで。これはバリバリとテンポよく、まーごきげんでしたー!
途中、難しい!とソロを弾くかずまくんに「ほんとに楽しそうに弾くねー」と茶々を入れる皆川さん。その意趣返しのようにかずまくんがテンポをがっ!と上げると、皆川さんが死んじゃう!と根を上げる。そんなふたりのやりとりがまるで長年のコンビみたいで、音楽を使って会話してるようで見ていてほんとに楽しかったです。

かずまセレクトの「ゆくよ」、皆川セレクトの「Love's in need of love」。
「ゆくよ」がこの日、私は一番、好きでした。かずまくんの歌と皆川さんのハープがともに波を作るように歌っていて心地よかった。「Love's in need of love」はとても軽やかに、洒脱に。
ハモニカって、歌であり伴奏であり、声であり管楽器であり、いろんな役割を担える面白い楽器なんだなーと感じる2曲でした。

本編ラストはビート強めな「You true it」!
こういう強い曲にはブルースハープが合うんですね、きっと。ちょっとしたタイミングで短く入ってくるザリっとしたハープの音がカッコよかった! かずまくん、心持ちいつもより、ギターを細かく刻んでた気がします。
 
サンクスムービーは「A Beautiful Flower」。
かずまくんの曲の中でも、とりわけ大きさのある、美しい曲で最後は美しく締まりました。


2時間…まあだいぶ話してましたが…たっぷり!
日曜日のランチライブ、真夏の暑さの中で気だるく聴く美しいギターに切ないハーモニカ、耳が幸せでありました。

どっちがメインでもセッションできる組み合わせだけに、やれる曲はたくさんありそう。またこの顔合わせが実現するのを楽しみにしております。