木村充揮 関東ツアー〜弁天様のおぼしめし
2023.3.28 吉祥寺チェインギャング
木村充揮
Guest・皆川和義（ブルースハープ）
O.A.
TOSAKAZUMA（かずま・登坂亮太）
持田浩嗣
私の大好きな、このブログの登場率はどのライブスペースよりも多いのでは、なライブバー・関内 音楽酒場サラスヴァティ弁天。そちらのマスター、宮森さんが各地で主催する「弁天様のおぼしめし」シリーズ。
この春は、木村充揮さんの関東ツアーを吉祥寺チェインギャング、神田THE SHOJIMARUの２箇所で主催されました。
その吉祥寺での木村充揮さんのライブ。
持田浩嗣（もっちん）さんとTOSAKAZUMAがO.A.と聴いて、俺得やん！行きたいぞ！でも開演時間が早くて仕事帰りには間に合わないから無理だなーと諦めていたところ、別件で休みを取ることになったので、これぞチャンス！と馳せ参じました。
久しぶりのTOSAKAZUMAの美しいハーモニーと、もっちんさんの楽しい楽しいエンタテインメントなステージを満喫したあとの木村充揮さん。これが圧巻でした（ちなみに木村充揮さんのライブは初めてでした）。
自由とはこういうことなんだろうなあ。
素晴らしいブルースの数々と洒落の連発。喋りと歌のスイッチングは、ほとんど切り替わる瞬間がなく、フラットに、たゆたゆと流れるあるがままの時間。
そんな中で間欠泉みたいに時々バアッ！とギターや声が噴き上がる。そのたびに耳と胸がギュッ！となる。この緩急の強さたるや。
三宅伸治さんと作ったという「Happy Birthday」に泣きました。
最後には全員でのセッション。
これがまた楽しかった！
木村さんのステージは時間の感覚が飛んで、何分やってらしたんだかよく覚えてません。ただただ、嗄れた声と紫煙と酒、泣くギターに揺れる、不思議な心地の時間だったなあ、と振り返ると思います。
◆
TOSAKAZUMA
かずま
登坂亮太
すてきに
春色
還りたい
You true it
五月雨雲
O.A.は登坂さんとかずまくんのユニット、TOSAKAZUMA。さらにその露払いにかずまくんソロ。
かずまくんのライブはちょっとご無沙汰しちゃったんですが（あ、でも大塚のGET BACK FESで会ってるからそんな久しぶりでもないのか）、うーん、やっぱりいいなぁ〜。
木村さんとは長い付き合い（サラスヴァに行くと長髪のかずまくんと木村さんが並んでる写真が飾られてます）だそうで、こうしてツアーのO.A.を勤めることも多かったと。
そんなかずまくんも、もうすぐパパなんですよねえ、時は確実に巡る。
軽やかに「すてきに」、そしてギターの煌めくインストルメンタル「春色」と場を柔らかく柔らかくしてから、登坂さんを呼び込む。
登坂さんは木村さんとははじめまして、だそうで。木村さん、登坂さんをお気に召したのか、そもそもそういう人なのか、セッションで隣になったときに、ずっと登坂さんの膝に手を置いて話してたの面白かった。距離感がバグってる（笑）
しっとりと「還りたい」。ほんっとにいい曲ですね…目が潤む思いで聴いたのに、そのあとにゆとり世代を歌った「You true it（ゆとり)」を持ってくるのが、ふたりともシャイなのかしらん、と思うなど。
登坂さんの声は「麗しい」という言葉がぴったりなウェットさと揺れ（そりゃもう、きれいなビブラートなのですよ…！）で、かずまくんとのハーモニーは気持ちいい、以外に言葉がない。気負いがまったくこちらには感じられない、実に柔らかい佇まい。洒脱なステージでした。
「五月雨雲」はTOSAKAZUMAにとってのテーマソングのようなものでずっと大切に歌ってるんだ、と登坂さん。
まさに空に雲が流れていく様のような、爽やかな、ゆったりした曲。かずまくんの繊細に光るギターと登坂さんの伸びる声と。うっとりでした。
爽やかにもっちんさんにバトンタッチです。
持田浩嗣
We are the world
大都会
あいつの店で
シンプルになって
もっちんさんはもっちんさんで、大変なマイペースで。
年明けの京都GoreyCafeでの「弁天様のおぼしめしツアー」を配信で見てたんですが、まーさかーのーカラオーケー！に大爆笑で、いつか見てみたいなーと思ってたら、いつかとかいうレベルでなく、すぐさま出逢えたカラオケステージ（笑）
「We are the world」に「大都会」。
またさあ、「We are the world」のモノマネが…「そっくり」じゃないんだけど、でもめちゃくちゃ似てるんですよね（笑）
シンディ・ローパー、すっごい好き。
どっちもカラオケでしたけど、モノマネでしたけど、もっちんさんがとにかくうまいから通じるんだろうなーと大笑いしつつ、一緒に歌いつつ、思うのでした。
みんなと握手してたよ（笑）
カラオケは自分でせなあかんねん、って自分で止めてたよ（笑）
宮さんに最後の一曲を「巻け！」とカットされ（カラオケのせいかもしれない・笑）、ソロは「あいつの店」で、そして、TOSAKAZUMAとセッションで「シンプルになって」。
ガラッと空気が変わった、「シンプルになって」のカッコよさったら！
もっちんさんの嗄れた声と登坂さんの麗しい声が重なり合って作るハーモニーの美しさ、かずまくんの最高なギターソロ！ 堪能でした。
◆
木村充揮
ジョージア・オン・マイ・マインド
俺の村では人気もん
赤い靴〜石狩挽歌
りんご追分
嘘は罪
酒と泪と男と女
オール・オブ・ミー
No woman no cry
Happy Birthday
上を向いて歩こう
セトリはぼんやり覚えてるかぎり、です。順番もちょっと曖昧。
ステージに、ギターとお酒（ハイボール）とが用意されていて、時間になるとふらりと充揮さんがやってきて、客席の拍手の波間をゆっくりと抜けながら、ステージに上がる。
終始、笑ってる。
終始、飲んでいる。
たまに、紫煙をくゆらす（店舗は禁煙ですが、充揮さんのみOK…もはやそれも含めてのステージング）。
口癖のように「好きにやります〜」と独特のイントネーション…大阪は大阪でもミナミの方のイントネーション…で、何度も何度も繰り返す。
（実際、YouTube動画のタイトルにもなってるし、そうなんでしょうね）
言葉のとおり、好きに、自由にそこにいらした。
曲はカバーのほうが多かったけれど、カバーもオリジナルもなんの差もなく、するりと始めてするりと終わる。飲む。また、するりと歌い出す。
客にもひとつもかしこまることを求めておらず、好きにやるから「みんなも好きにやってなぁ」と笑う。
基本的には静かに歌うし、静かに弾くのだけれど、時々、間欠泉が噴き出すようにがなったり、笑ったり、駄洒落をかましたり（駄洒落と言うか、地口というか）、ギターをうんと強く強く鳴らしたり。予測ができません。
歌い始めて、ふっと途中でやめちゃったりもしてました（笑）
ファンの皆さんは慣れてるらしくて、遠慮なく駄洒落にツッコむ方もちらりほらり。
不思議な時間感覚で、正直、何分あったんだかよく覚えてないのです。曲数的には90分くらい…？ もっとあったような気もするし、もっとあっという間だった気もする。
フワフワした心地でした（登坂さんがものすごく美味しそうに充揮さんが飲むから、僕もだいぶ飲んだ、と最後のセッションのときに話してたけど、わかる気がする…）。
印象敵だったのは日本の唱歌・民謡をまるでブルースのように歌ったくだりで「りんご追分」がことに耳に残りました。「No woman no cry」も素敵でした！
嗄れた声が揺らす空気に、心も揺れていく。
そんな歌声。
後半はハモニカ奏者の皆川和義さんが加わってのセッション、ハモニカの音ででますますブルージーに。
皆川さん、若い方でちょいちょい充揮さんにからかわれたり、ツッコまれたりしてて、そのたびに恐縮してるさまがなんともキュートでした。
さらに最後にはTOSAKAZUMA、もっちんさんも加わって。
充揮さんのお誕生日が、４日前の3/24ということで、もっちんさんが先導してみんなでHappyBirthdayToYouを歌う。
（もっちんさんが客席で誕生日の人ー？と声をかけると、私の隣の方がその日が誕生日、さらに、私が前日が誕生日、ということで、ふたりとも祝っていただいたのは嬉しい思い出です。開演前に誕生日の話を同じテーブルの方でしていてわかったのでした。隣同士で１日違い。そんなことある？）
「上を向いて歩こう」を全員でセッションしておしまいだった…と言う記憶…です（笑）
充揮さんのことは、憂歌団時代をほんの少し齧ったくらいでほとんど知らない、あの場では完全な門外漢でしたが、まったくそんなことは関係なく「好きにやったらええねん」と迎えていただいた心地で、楽しく過ごせました。とにかくよく笑いました。
