ゴールデンカムイ展〜白石由竹ナイト

2022.5.26 東京ドームシティ ギャラリーアーモ

 

 
 
ゴールデンカムイ

 

 
ゴールデンカムイ展 4/28-6/26

 

 
★野田サトル先生インタビュー
読売新聞オンライン
「読者を真正面から受け止め、納得してもらえると信じて描いたラスト――『ゴールデンカムイ』完結、作者が語る制作秘話」
すごいボリュームなんですが、連載読み終えた方にはおすすめのインタビューです。ぜひ。
※内容かなり触れてるので未読の方は単行本発売後にどうぞ!
 
・前編

 

・中編

 

・後編

 

・ゴールデンカムイ展レポ

 


 
行ってきました、「ゴールデンカムイ展」。
奇しくも連載最終回、大団円の4/28から始まったわけですが、それから約1ヶ月、毎日盛況なようですね。
ギャラリーアーモには「ネコ市ネコ座」で行ったことがあってだいぶ狭いのは知ってましたが、やはりかなりこじんまりとした展示でした。
1時間もあればじっくり見られます。もちろん混雑してると難しいでしょうけど。
通路がかなり狭く通路の両側に展示があるので、だいぶ密になりがち。順番どおり見なくていいとはアナウンスはあるんですが、逆流は禁止なので、混んでるときは思うように見るのは厳しいです。
できる限り、平日の空いてる時間に行くのをオススメします。
 

当初から、入りの薄そうな平日夜の企画として木曜の白石由竹ナイト、火曜日の鶴見・鯉登ナイトが発表されていたんですが、これがむしろ好評らしくて、どんどん18→17→16→15時と開始時間が繰り上がって、白石ナイトじゃなくて白石アフタヌーン(笑)になっている現在です。

別に白石ナイト目当てではなかったんですが、たまたまのんびりしてたら15時過ぎに着いてしまったので、まあせっかくなら…と白石ナイトに参加してみました。

このシライシのお面が全員に配られます。
入場特典の色紙も普段はランダムですが、この日はシライシです(てことは、鶴見・鯉登ナイトはどちらか、なのでしょうね)。

ほとんどの人がシライシ関連の展示の前で自撮りしたり、お面と一緒に撮ったりしてました。

 
囚人コーナーは、シライシ、手配書からも脱走して抜け出してるんですが、お面がちょうどよかったりして。


そして、右を見ても左を見ても前も後ろもシライシ。サイコーの絵面です。
楽しかった(笑)


何しろね、王様ですから!

 
ナイトのときだけ用意される撮影パネル。
みんな、シライシで撮ってました。
お面だと自撮りも難しいので、ぼっちのひとにも譲り合ってお互いを撮って上げてた、やさしいせかい。


いやー、お面なんてかぶったの、いつ以来かな。
楽しかったです。 

さて、以下、レポをさらりと。
ネタバレ含みますんで、閲覧注意です。


注意事項すら楽しい。

・トイレは館内にあります
・コインロッカーはギャラリーアーモの当日券販売所の前にあるので、待機列に並ぶ前に!
・待機列は屋外でほぼ屋根がないので悪天候時は注意!入口前に池があってその反対側の最後尾からだいたい30〜40分でした。
・ショップは現金・クレジットカードのみで、キャリア決済は非対応でした。
・ショップには一回の入場につき一回しか入れません(チェックカードがある)。
 
 
第1ゾーン 金塊争奪戦の開幕
 
どでかいキムンカムイのお出迎え。なんと、科博提供のガチのヒグマの剥製でした。
 
 

入ってすぐは、登場人物達のプロフィール、設定資料の展示です。
いきなり杉元とアシリパさんなのでみんな足が止まりがち。


杉元の、オソマの入ったあのワッパ!
そして少女世界!

野田先生が膨大な資料を集め、その資料に限りなく忠実に描いてらしたのがどのキャラクターでも伝わってきて、いきなり圧倒されました。
時々、先生自身の解説もついてます。

 
アシリパさんのテクンペとマタンプシ、ニンカリ。テクンペ=手甲、は、内地の言葉とも繋がる感じがしますね。このテクンペは参考資料としてつくられたもの。
野田先生がアイヌの作家さんや関係の方に再現して作ってもらっている資料が展示でもとても多かったです。

このキロランケのマキリも、野田先生の私物で、貝澤徹さん作。
アイヌ工芸の作家さんです。


 
インカラマッのシラッキカムイ。
占いに使う白狐の骨。これも先生の私物でびっくりした。
 
 
鶴見中尉の軍服のモデル。
肋骨服、と言うんですって。これは再現ではなく、本当に当時、使われていたものだそうです。



こちらは、月島軍曹の軍服(のモデル)。
野田先生のコメントが「肩章の連帯番号は気にしないでください」で、そんなこと書かれたらむしろ気になるでしょーが!

 
…17でした。

こういう小さなことであれこれ妄想しちゃいがちなヲタクのためのコメントだったのかもしれません(笑)

 
鯉登少尉のサーベル。
持ち手がめちゃくちゃ素敵。両手用のサーベルで、自顕流をやるには向いてない、ってコメントされてました。


ここにあげたのなんてほんとちょっとです。
写真や本で済ませず、実物を目にし、触って、キャラクターを構築していったんだなーと野田先生の熱意に感服。

第2ゾーン 24人の刺青囚人
 
続いては刺青の囚人達のコーナー。
ここからはパネル展示になります。ほんとはアイヌのキャラや第七師団の面々みたいに、いっぱい資料あるんだろうなーと思いますが。
実在の人物をモデルにしたキャラクターも多いので、当時の新聞記事などが合わせて紹介されていました。


牛山のパネル、面白かった(笑)

坂本とお銀は、特に新聞記事多かったです。 
ボニーアンドクライドみたいなふたり、実在してたんだなあ。


このへんから、上も気にすると面白いと思います。いろんなものがあるよっ(笑)

なお、このコーナーのすぐ先にトイレがありますよ!
 
第3ゾーン 命を繋ぐものたち
 

ここからは、アイヌの歴史、衣食住、文化についての紹介コーナー。パネルや写真だけでなく、実物も交えての紹介で、とても興味深く、面白かったです。
実物を見るとグッと印象が強まりますね。

 
この頭巾(コンチ)の模様が綺麗で、刺繍が丁寧で素敵だったなー(こちらも現代の作家による再現)。野田先生が漫画の中できちんと模様までそのとおりに描かれてるのも素敵。

 
ストゥ(制裁棒)、こんなにでかいんか!ってびっくりした。痛そう…。

 
ヴァシリの頭巾とシカーリンパハ(刳り椀)。
シカーリンパハ、刳り貫きなのがすごい…。

 
メノコイタにときめく。

 

チタタプ(目玉も食べろよ、杉元)!
※もちろん本物じゃありません
こうして使うのね、と実感。


アイヌ文化ばかりでなく、当時の日本の風俗・文化についての展示も。

で、このあたりに、バーニャ(サウナ)のでかいパネルや、例のラッコのシーンについての小さなパネルとがあって、めちゃくちゃ笑った。
ラッコの催淫効果についてはアイヌの食文化のひとつとして野田先生は描きたかったもので、普通には描きたくなくてああなったそうな。
ただ、いわゆる同性愛志向を強めて書いたつもりはないそうで、そっちに受けちゃうのよなあ、というボヤキを感じるコメントが添えてありました。
でもなあ、バーニャのとこといい、ラッコといい、確信的なものも感じるんだけどなあ(笑)
 
 
第4ゾーン それぞれの役目
第5ゾーン 黄金色名画廊
 

ここからは、終盤に向けての展開を原画と参考資料をベースに展示。ここの原画は撮影OKでした。

鶴見の三八式機関銃の真鍮製模型。依頼して作ったもののようです。

 
杉元の三十年式小銃。こうして実物を見ると重みを感じる。

 
表紙を中心にしたカラーパネル。
原画もカラーもデジタルなんですねー。色遣いが独特でした。濃い。

原画は特に、アナログだと思ってたんですが、デジタルでした。でも描き文字とか、アナログ的な味わいが強かった。
原画はよく見ると背景の書き込み、極端に少ないんですね。週刊誌連載だから細かく描き込んでたら時間足りないよな、たしかに。
必要最低限の背景と、けして白く感じさせない効果と。改めてじっくり見られて面白かったです。

 

さて、ここから先は、撮影禁止の原画ゾーン。
刊行本未刊行部分の原画を物語に添って抜粋展示。読んでない人は駆け抜けろって感じのコーナーでしたが、抜粋なのに、いちいちハラハラしたり、ホロリとしたりして、大幅加筆されるという単行本が待ち遠しくなりました…。

更に今回の展覧会で日替わりで配布されている野田先生書き下ろし色紙がズラリと並ぶ。
 
最後に、野田先生の挨拶とともに、大きな谷垣ニシパの絵が。
柔らかな表情の谷垣ニシパが、マタギのカネ餅を手に「け」とにっこりと差し出す…じんわりとしみるいい絵。
連載中、コツコツ描きためてたものだそうです。
その大きさ、柔らかさには大きな仕事を終えた充実感のようなものも感じました。

野田先生、この先は「スピナマラダ」の再構築(あれ、多分、打ち切りですもんね…)や新しい物語を描こうとすでに意欲的で、「ゴールデンカムイ」のスピンオフなどは現状予定はないみたいです。
そのあたりはカムイのみぞ知る…でしょうね。

展示を見終わったらもう一度、頭から「ゴールデンカムイ」、読み直したくなりました。…というか、読み直します!

そして、外にもこんな展示があったのを皆様、お気づきでしたでせうか。レタラー!
時間なくて全部は探せなかったので今度、探してこようっと。

東京での会期は6/26まで。今後、巡回も予定はされてるそうです。最終回まで読み終えてから行かれることをオススメします。
 

 
オマケ。
野田先生の谷垣ニシパへの愛をいろいろ感じる展覧会でもありました。


この、降ってくる谷垣ニシパも最高ですが、バーニャのとこ、ラッコのとこ、最後の絵。何より、第5ゾーン 黄金色名画廊で並べてあるこの2枚…爆笑でした。


なんで並べるのよう〜(笑)

みんな、撮ってた。みんなも大好き、谷垣ニシパ! 
フチとの約束をただただ守り、インカラマッと子どものためにただただ生きる。なんかね、ゴールデンカムイの良心、素朴なの塊って感じがします。