佐野元春 film NO DAMAGE 2013.9.8





※以下、Facebookのノートからサルベージしたもの。
当時のまま再録しています。



9/7から公開になった佐野元春のドキュメンタリー「NO DAMAGE」。ソニーのLiveSpireなんですね。
 
 いつまでやってるか正直、わからないんで、初日に行く!と決めてまして、早速行ってきました。夜の上映回、客席100くらいかなあ、いたのは10人いるかどうか。都内の上映館なら違うのかもしれませんが…これから見ようと思ってるかたは早いほうがいいように思います。

以前、ソニーの企画で上映会があってそれで一度見ていますが、それからでも10年以上経っていて、それでも内容は鮮明に記憶にありました。とにかく懐かしかった。若い佐野さんのライブ映像、PVの撮影風景、ツアースタッフの素顔、ジョンとヨーコのベッドインのパロディ、ツアー中のメンバーの素顔などなど…。

このころ、佐野さんは27歳、私は当時12歳で、佐野元春という名前も知らず、唯一、ナイアガラトライアングルの「A面は恋をして」は大好きで、それでぼんやり、知っていた程度でした。
はっきり佐野さんを認識したのはそれからさらに3年後、15歳のとき。それからでもなんと27年です。最近は追いかけきれていませんが、今でも佐野さんの言葉、曲には励まされていて、もはや自分の人生からは切り離せない存在になっています。
映画の中の佐野さんは若くて、エキセントリックで、でもとても27歳とは思えないどこか老成した雰囲気もありました。自分が27歳のときに比べたらずっと大人。
でもこうして、自分が当時の佐野さんよりはるかに年を重ねてみると、やっぱり幼くも見えてほほえましく、いろんな目線が混在する不思議な時間になりました。
 
ここまでの27年間のこともいろいろ思い出してしまいました。
思春期の多感な時期にとにかく佐野さんの真似をしてすごしたこと、たくさんの本や音楽を佐野さんの影響で読んだり聴いたり…今の自分の素地はこの人に作ってもらったこと。ラジオに夢中で毎週はがきを送ったこと(結構読まれたんですよ)。大人になってから佐野さんと話す機会を得たときの恥ずかしさ(支離滅裂になっちゃったんですよね…)も思い出して映画館で身もだえしました(笑)
 
ホテルにまで押しかけるファンにもやさしく手を差し伸べて握手する姿を見ていて、私の好きになる人はみんなこういう優しい、受け取る側の気持ちを大事にする人だな、とふっと勘三郎さんのことも思い出しました(実は佐野さんと勘三郎さんは同じ学年なので、この年代が自分でもどうやら好きらしいです(笑))。
 
ロックンロールナイトの歌詞にある「瓦礫の中のゴールデンリング」という一節が私は大好きです。人生はその「金の指輪」を探す旅だと思う。勘三郎さんという金の指輪は現実世界からはいなくなったけれど、私の指にはまだきらきらと輝いている。「佐野元春の音楽」も私にとっては金の指輪の1つで、きっとずっとそばにある。そんなことを思ってずっと後半は涙が止まりませんでした。
 
後ろのお客さんはずっと歌ってた(ちょっと迷惑だけど気持ちはわかる)。懐かしい、自分の原点を探るような、そんな思いのする映画になってます。まあ、佐野さんのファン以外は見ても面白くはないと思いますが(笑)、80年代のロックシーンを垣間見るという点では興味深い映画ではないかと思います。