宝塚月組「夢現無双/クルンテープ」 東京宝塚劇場
2019年5月3日(金)~ 6月9日(日)
宝塚歌劇団
https://kageki.hankyu.co.jp/
「夢現無双/クルンテープ」
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2019/mugenmuso/index.html
『夢現無双 吉川英治原作「宮本武蔵」より』
脚本・演出/齋藤 吉正
『クルンテープ 天使の都』
作・演出/藤井 大介
5/15マチネ公演、所見。
久々の宝塚でした。
いつぶりだったかなあ、なんか最近見た記憶があるんだけどなぜかさっぱり覚えてない。
えーと、あれ、何を見たんだっけな…。←ひどい
確認してみたら2013年の星組さんでした。
そんなやつなので、現在の生徒さんは一切把握していません。
私がどっぷりはまってたのは、1995~2000年前後。
生徒さんで言うと、天海祐希、真矢みき、紫吹淳、瀬奈じゅん、というところです。
ファンクラブにまで入ったのはこの面子。
応援してた子はもちろんもっといたけど。
そもそもね、年上が好きなんですよ。
上記の面々だともうあさこなんかは年下で、ほんとにはハマりきれてなかったなあ。
真矢みきさんがほんとに大好きで、彼女は二番手から見始めてトップになってあっという間に退団になってしまって、それで一気に駆け抜けた感じがあって、みきさんのいなくなった宝塚は私を引き留めるほどには輝いて感じられなかったっていうのが大きい気がする。
(その後、勘三郎さんに惚れて12年間をささげてしまったしね)
なので、正直、不安でした。楽しめるかなあ、って。
縁があって、お誘いいただいて、久々に足を運んだ東京宝塚劇場です。

一三先生、お久しぶりです。
相変わらずこの赤絨毯と螺旋階段、シャンデリアにはときめくね。
資生堂の緞帳もすっかり新しくなってました。
今回は、月組。
ああ、私のホームグラウンドじゃないの。
珠城りょうさん、美園さくらさんという新しいトップコンビのお披露目、かつ、二番手の美弥るりかさん退団公演という、ファンの悲喜こもごもがこもった公演です。
事前に顔くらいチェックしてけよ、ですが、しませんでした。
お芝居は大丈夫でしたが、さて、お芝居でこの役してた人はショーで何やってるかな、ってなるとほぽ結びつかなかった…またよりによってエスニックショーでみんな黒塗りなんだもの。とほほ。
◎夢現無双
吉川英治の宮本武蔵を原作に、武蔵の半生を描く舞台。
お芝居ではなくミュージカルでした。
うーーーん…うん…
井上雄彦の「バガボンド」、読んでおいてよかったなぁと思いました。だいぶ補われた。
逆に言うとそういう見てる側のある程度の事前の理解に甘えた脚本でした。
武蔵の半生を追うのに精一杯で、それぞれの場面の作りが浅い。キャラクターの造形にもオリジナリティがなく、一般的なイメージに甘えてる印象。
これ、若い子だとちんぷんかんぷんじゃない?
新免武蔵ってなんぞや、から、吉岡道場ってなんぞや、とか、吉野太夫ってなにもんや、とか、本阿弥光悦って何してる人、とか、柳生一族って何、とか、いやそりゃね、そもそもそういう知識があるほうがいいんだけど、それにしても真っ白な人には不親切極まりなかった。
結局は既存のもののなぞりにすぎないのです。
たとえば吉野太夫が武蔵の人柄を認める場面。
面白いお人やわあ、って…何もしてねぇぞ、武蔵。やっつけられて、起きて、慌てて帰ってっただけ。太夫は何を面白いって思ったのさ。
キャラクターの多さに振り回され、出すことに手一杯、深みを与えられなかったという印象てす。
長い物語のどこにスポットを当てるのか、焦点を定めきれなかったんでしょうね。
今回、退団する美弥るりかさんに小次郎を当て、重めに描いてるんですが、なら、巌流島に焦点を当てて描けばよかったのではと思います。
挿入歌もなあ…ペラッペラやったなぁ…。
宝塚は座付き演出家が本を書く伝統ですが、それだけに当たりハズレも激しい。
そんなとこ、もう少し変わっててもいいと思うんですが、ちっとも変わってませんでした(笑)
生徒さんは感情を乗せにくいでしょうね…皆さん、頑張ってらした、もちろん。
珠城りょうさんは野性味の強い男役さんなんですね。ガタイもしっかりしててかっこよかった。前半のたけぞうと、後半のむさしの差がもう少しはっきり出ると良いのですが、これは脚本のせいだな…。
美園さくらさんはおつう、トップコンビお披露目にこの地味さ加減はどうなのよ、とは思いつつ。一心にたけぞうを思う懸命さは伝わってくるお芝居でした。
美弥るりかさんは、コム(朝海ひかる)ちゃんを思わせる美青年! 怜悧な雰囲気が小次郎に似合ってました。
沢庵和尚や柳生一刀斎など役柄として年齢層高めの芝居なので、男役さんは苦労も多かったろうな…。
印象に残ったのは、お甲と祇園藤次。頭抜けてうまかった。
おばあと権叔父はバガボンドの中でもいいコンビなんですが、特に権叔父の春海ゆうさんがあったかい空気で、ボケちゃったおたばあを優しく見守る姿とか、いいお芝居されてるなーと思いました。
まあもう少しいい本でお仕事させてあげてほしいです。こーゆーとこ、100年もやってて変わらないなあ、宝塚。
◎クルンテープ
藤井大介先生のショー。
多分、いいだろうなーと思ってたら、やっぱ面白かった。てか、大介先生も変わんないなぁ…。
ただ、タイを舞台にしたアジアテイストのショーだったんですが、「王様と私」を盛り込んだせいもあるのか、全体にアジアンな曲や振付が薄めでそれは残念。
(エキゾチックにもっと徹したショーかと思ってた)
セ・マニフィークからのShall we dance?の連発の流れはそれでも面白かったですけど。Shall we dance?だけで押しまくるの、あんなんありかー!(笑)
前半の珠城りょうさんと美弥るりかさんのハスの花のシーン、耽美でよかったですね。珠城りょうさんは正直、芝居よりずっとショーの方が身体の大きさや男役としての魅力が出てたと思います。珠城さん、ダンスいいですね。美弥さんの濃厚な味わいもよかった。
すっごいインパクトだったのは中詰のあたり、男役さんが羽根背負ってドレスでバリバリ歌いまくるとこで、あれ誰なのーー!?と、宝塚に詳しい子に聞いたら、祇園藤次やったのと同じ人だと知ってびっくり、そして、納得。個性的な男役さんだそうで。輝月ゆうまさん。とっても押し出しも華やかで、何よりうまかった!よかったです。
多分、お甲役だった娘役さんもショーもよかったなー。
ショーについてはほかにはこれ!って飛び抜けて印象的な子が残念ながらいなかった… 今、娘役さんも結構みんな大きいんですね。男役さんはあの中で男らしさを出していくのは大変だろうな、と思います。
で、つくづく思ったのは、宝塚ってもはや完全に様式美なんだなあということ。
そらそうだよね、100年とっくに超えて、いわば老舗なんだもの。
私が見ていた90年代から00年代頭のころと比べても、芝居もショーも、男役や娘役の表現にも大きく変化がない。あの頃はどのトップさんも男役、娘役の表現に現代らしさを出そうと苦心されてましたけど、今は逆にらしさを求めるとフェミニンになってしまうのかも。
男役ならではの立ち居振る舞い、娘役ならではの可愛らしさというものが現代の感覚と離れようとも、「宝塚らしさ」としてこうして残っていくのかもしれない…と感動すら覚えました。
そしてそれってかつて見ていた人が戻って行きやすい土壌なんですよね。ファンが連環して続いて行きやすい構造。
あぁ、懐かしい、と思わせてくれる。
変わらない良さ。
私も全く知った生徒さんがいない中でも、拍手のポイント、手拍子のポイント、生徒さんの目線の届き方、ショーの構成なんか全部わかって戸惑いゼロでしたもん。
ショーについては大介先生もまたあえてそう構成してるんだろうと思ったし…スーツの総踊り、化粧や頭はタイだけど完全に「宝塚のショーの総踊り」ですもんな(あそこ、振付はヤンさんかなー? 岡田イズムの継承も感じました)。
どんだけタイをテーマにしようが、ダルマのロケットはあるし、羽根をしょって大階段は降りる。エトワールは高らかに歌う。
ザ、宝塚。
それでいいんだと思います。
(でも時々、ノバ・ボサ・ノバみたいな化け物みたいなショーも出てくるから面白いんですよね…)
今、私の周りの歌舞伎ファンの友人たちがどんどん宝塚にハマっていってるんですけど、歌舞伎もある種の様式美の世界なので話の辻褄より絵面の良さが勝ったりすることがある。その絵に感動したりする。
そのあたりの感覚に繋がるものがあるのかもしれませんね。
6年ぶりの宝塚観劇、懐かしくもあり、新鮮でもあり、なかなか楽しかったです。
オジ好みからすると、ハマるのはもう難しいかなー!(笑)