君はゆけ2018~道連れ編~
岩瀬敬吾 BIRTHDAY&ANNIVERSARY one-man 「20th→40th」
下北沢 CLUB Que
 
岩瀬敬吾 vo.&g.
小島剛広 ba.
サンノヘシゲカズ g.
ヤマグチユキヒコ dr.
 
 
 
考えたら、ノロッストリオ以外の敬吾さんを聴きに来たの、初めてです。
 
Queに200人近く。すごい状況。
ぎゅーぎゅー。
 
普段、私が知ってるノロッストリオのお客さんとはまた違う、岩瀬敬吾を愛してる人達。
19が好きだったって人も多いのかな。
フロアにも「いつもノロッス聴きに行くと見る顔」をなかなか見かけなくて(それだけ人が多かったってこと)、不思議な気持ちになってるところに、ニコニコとこの夜はお客さんの、ひとちゃんこと東海林仁美ちゃんがやってきて軽くハイタッチしてくれる。少しホッとする。
 
みっしり、みっしり。  
人もみっしり、音もみっしり。
 
下手の少し高くなっている場所をキープして、ひとちゃんと並んで立って。
頭一つ分抜けているので、タケさんがちょっと見切れがちなくらいであとはほんとによく見えた。
にこにこの敬吾さんも、クールなシゲさんも、特にハジさんはすこんと視界が抜けて、手元から足元までよく見えた。
みんな、かっこよかったなあ。
 
19時半過ぎにふっと照明がついて敬吾さんがまずふわりとやってくる。軽く挨拶して決めて始めようとするのだが、ついフザケてしまい、真面目にやろうとしとんのに、と仕切り直して始める。
メンバーみんな、今回の記念Tシャツを着ている。敬吾さんとハジさんが赤(カープカラー?)、シゲさんとタケさんが黒。
 
胸元に大きく
 
20
Birthday
40
Anniversary
 
と書かれている。
デビュー20周年の今年、そして、40歳のまさに誕生日!のこの日のためのTシャツ。
いいね!
 
セットリストは敬吾さんいわく「みんなも気づいたと思うけど、時系列に並べてる」ということで、ソロデビュー以降の代表曲を次々に繰り出していく感じだったようだ。
(ほら、ノロッスしか行かないからわかんないの、曲がまだ。そろそろちゃんとアルバム揃えるか…)。
 
オープニングから3曲ほどほぼ喋らずぶっ続け、MC挟んでまた3曲ほど立て続け、とほぼ休みなく…エレキギターをアコギに持ち替えたときくらいかな、少し長くしゃべってたのは…そのくらいスピーディに、基本的には音楽だけで空間を埋めていくライブ。
 
それでも時折挟むMCでは繰り返し、40歳になった嬉しさとファンへの感謝を口にしていた。
 
朝、目が覚めてすぐ、おお、40歳、やったぁ!って思ったんですって。
 
歳を取るのやだな…って感じで話す人が一般的には多い中、珍しいな、なんて聴いてたんだけど、途中、先日亡くなられたさくらももこさんの作品への衝撃や思い出(お姉さんの「りぼん」を盗み読みしてたんですって、シゲさんは妹さんの「りぼん」を盗み読みしてたんですって・笑)を語りながら、あまりに早いその死を悼む様を見ていると、よくここまで生きられた、って気持ちなのかな、と思いもした。
自分自身がここまで生かされたのは本当にみんなのおかげなんだと、そんなことを話してたし。
 
いつものようにふわりと笑い、ちょっとふざけながら。シゲさんとタケさんにちょこちょこからみながら。
「飽きもせずついてきたみんな」ってぽろっと言ったあと「飽きもせず、はねえわ、ごめん、今のは黒い岩瀬だった」と苦笑いしながら。
アンコールでタケさんが持ってきたケーキならぬお好み焼き(それも、敬吾さんが「これあれや、どうせ●●(レンジでチンするやつ)のや」って言ったら、下北沢のhirokiという広島焼きのお店のもので、すんませんって謝る顛末つき・笑)に嬉しそうにローソク吹き消しながら。
 
ことあるごとに「ありがとう」と、おめでとうって自分を育ててくれたQueで言ってもらうのは特別な気持ちだと御礼の言葉を繰り返していた敬吾さん。
そういう敬吾さんのありがとうの心がステージの上からたくさん送られてきて、それをファンのみんなが目いっぱい受け止めてて。
 
隅から隅まで笑顔でいっぱいだった。
 
サイドで見てたから、みんなの笑顔はとてもよく見えた。
 
最前列の男の人たち、ずっと飛び跳ねながら歌ってた。笑顔で。
真ん中あたりで背が小さいからいくぶん窮屈そうに背伸びしながら、でもずーっと笑顔だった女の子。
一番後ろで高く手を掲げてた人。ほとんどすべての唄に合わせて口を動かし続けていた人。
お子さんと一緒に来て、好きな曲だとぴょんぴょん飛び跳ねたり、手拍子したりしてたお母さん。
 
笑顔、笑顔。
 
敬吾さんにも見えたかなー。
「今日は客席は見ない」(泣いちゃうから?・笑)って言ってたけど、そうは言いつつきっと見えてたよね。
 
そんな様子にすっかり引き込まれたスタンディング二時間、全然苦じゃなかった。
楽しかった。
知ってる曲も、知らない曲も、どちらも聴きごたえあって本当に楽しかった。
 
アンコールでは「さっき、時系列にやってるって言ったからには最後は一番新しい曲じゃないとね」と「象になった君の夢」をバンドセットでやったあと(これがまた渋くてかっきょよかったのであった…)、この夜作り上げたこの20年のクロニクルの「合間を埋める曲」とぽそりと言ったあとで「いつもどおりのまま」をやった。
 
私は19の活動中もほとんど接点はなく夢中になることはなかったけれど、この曲は知っていた。一緒に歌った。いい曲だ、ハジさんが終わってからストレートに話してたけど、本当にそう思う。
さらにダブルアンコールには「プレゼント」とさわやかに笑ってからの「雲レ日」。
 
19時代のおしまいの方は「ダークサイドに堕ちて」たと冗談めかしつつ「今夜、解放できた気がする」とも語っていたけれど、最新の曲と最も古い曲を並べて、くるりと輪を描いで繋ぐようで、ここの流れはとてもよかった。
 
昔に戻りきりなのではなく、最後にはまた「今」に還るのである、常に。
 
隣の方はよほど嬉しかったのか、ジャンプしてたけど、客席全体からは(もちろんこの曲をやるのか!という驚きは流れていたけれど)「この曲だから」という特別感…19時代の曲だから特に嬉しいというような強い高揚感は感じなかった。今のレパートリーの中の一曲を受け止めるような感じ。
 
それを見ていたら、過去の思い出に浸りすぎず「今」の岩瀬敬吾の音楽を聴きこんで愛しているファンの方が多いんだなとそれを強く感じたのだった。
 
20年の敬吾さんの道のりが、そんなところにも表れていたと思う。よいセットリスト、よいライブだった。
 
 
Queは初めてだったのだが、まあ、音がよかったなあ。
5つのピースがすべてきちっと耳に届いてくるのがほんとに心地よくて。
とりわけ、ハジさんのシャープなドラムと、シゲさんのクールなスタンスなのに熱いギター!
照明もとても凝っていて「NEW STANDARD」で、シゲさんのエレキがぎゃーーん!って入ってくるところでバーン!って照明が白く明るく変わったときはほんと痺れた…。
 
ハジさんをこれまでノロッスでしか聴いてないのでドラム叩いてるとこ初めてだったんだけど(本業なのに失礼な話だな、すいません)、セッティングの仕方がなんか独特っていうか…全体に低めな印象で面白かった(Queだからなんだろうか?)。
足がものすごく細かく動いてるし、スティックさばきはしなやかでシャープだし、あとすっごく印象的だったのがフロア・タムの音。
なんかすっごく響いて気持ちよかったなー。
シゲさんのエレキも出すぎず出なさすぎずの絶妙さで、何度痺れてたか。
 
あと、気が付いたことがあるのだが、私、敬吾さんの曲の音の下がっていくとこが好きみたいだ。ふっと不安になって、胸がきゅっ、となる。あの心地よさ。
やっぱちゃんとアルバム探そう、うん(昔のアルバムって出回ってるのかなー?)
 
いやはや。
ほんとよかった。もう一回聴きたい。
もう一回聴きたい。
このバンドでツアーに出るそうなので、近くに来たらまた足を運びたいなあ…シンプルにもう一回聴きたい。そう思うほどいいライブでした。
 
改めて、敬吾さん、デビュー20周年、そして、40歳、おめでとうございましたー!