神田SHOJIMARU 2018.6.28
石田洋介・中塚詩音・やもとなおこ
 

 

 

石田洋介

http://yohsuke-i.net/

 

中塚詩音
 
やもとなおこ
 

石田さんは2月以来のSHOJIMARU。
久々なようでいて、すでに5回目の登場でもあり。この1年、3ヵ月に一回ペース…もはやHugoより出てるんじゃないのかしら(笑)
何かウマが合うんでしょうかね。

いつもSHOJIMARUの夜はちょっと他と違う、特別な音になります。
それはブッキングされるシンガーがこれまでの石田さんの出逢ってきた方たちとはまた異なる系列の方が多いから…な気がします。
石田さんも、はじめましてってずっと言ってるよね。
 
今回はSHOJIMARUさんのブッキングだったそうで、ガーリートリオ(ん?トリオ?)。
石田さんって、こうやってブッキングされた時、男性と組んでも女性と組んでも違和感ないんだよなあ、面白いよなあ。
男性ばかりなら野郎色強めに、女性が多ければ柔らかさも出して…ってフレキシブルに変われるからなのかな。
こうでなくてはやれないってことがあんまりないんだなあといつも思う。
スピーカーとアンプに囲まれた爆音であろうと、アンプラグドであろうと、ひとりだろうとバンドだろうと、キャラクターと一緒だろうと、どうにかなるでしょ、合わせてくよ、っていい意味での「いい加減」ができる。現場対応力満タン。

おかげでこちらもSHOJIMARUに来るたびに人との出逢い、音との出逢いが豊かになるのです。
 
でね。
今回は若い女の子に囲まれてガーリーナイトだなーなんて思ってたんですが、この2組の女性シンガー、思ってたよりずーっとタフな、ガーリーという言葉じゃ収まらない、何とも骨太な唄でした。
予想を裏切られる楽しさ!!
これだからライブは面白いんだよねえ。
 
 
中塚詩音
 

 

19歳ーー!!

あとで石田さんのMCで知ったんだけど。

高校卒業してすぐ岡山から上京して1年ってことだそうで。


石田さんもしみじみと(だって娘ですって言って違和感ない歳の差だもの)、「俺が19歳のとき何してたかなあ…ぼんやりしてましたよ…」と表現は忘れちゃったけど、なんか性欲の塊だったみたいなことも言ってました。

ガーリーな現場への対応力をほめた矢先にそれか。


そんなおっさんのたわごととは縁遠い、純粋な瞳の詩音さん。

ほんわかとした可愛い風貌に比して、ギターはたくましかった!


何でも斉藤和義さんが憧れとのことで、なるほどです。
吉祥寺に暮らし、八百屋さんともうひとつバイト掛け持ちして、そんな中で音楽をやって。青春だね。
 
でも、歌ってる唄はなかなかにスパイシーでした。何度か聴いていてはっとした。
自分の出身の岡山についての歌、吉祥寺の町の夕景を歌ったという新曲「オレンジ電車」、ラストの「Don't Cry」よかったです。
持っている雰囲気と歌とに今はまだ乖離を感じるんだけど、声にはとても色気があって、この先が楽しみだなあ、どんな大人になるのかしら…と思わせるシンガーでした。
小さいことからやっていたというウクレレを使ったカバー「虹が消えるまで」はとても面白かったです。ウクレレいいね。
 
 
やもとなおこ
ヤモーンズというバンドでも活動しているそうですが、この夜は弾き語り。
またこの方が予想を裏切る面白さ!
 
歌はとてもパワフルで、ギターはとってもエネルギッシュ!!
私、こういう躍るギタリストが本当に好きなのです。たまらんね。
 
この日は弾き語りでブルース多めにした、と話しつつ、何曲かビートの強い曲も持ってきてて、それがまたご機嫌でした。
口をでっかく開いてでっかい声ででっかいアクションで歌う。
気持ちのよいシンガー。

みんなと「なんなんそれ、それってなんなん」ど歌った「なんなんそれ」は楽しかった!
「少しだけ大人びたウエディングドレス」、「今夜は丸い月の下で」、素敵でした。強いブルース!

明るさの中にざらっとした味のある声で、ブルースを歌ったときに、一色じゃない、色んな色が混ざったような感触がありました。
他の誰でもない声の持ち主だと思います。
そんな彼女が変態ばかりだと言う、ヤモーンズ、気になります。

 

 

 
 
石田洋介

 
ライブハウス
(What's so funny 'bout)Peace,Love and Understanding?
すんきでげんき
満天の星
ふたりの屋根
PUZZLE

デイ・ドリーム・ビリーバー


ほんとにまったりゆったりやるつもりだった&ワールドカップ日本戦を見るためか?(笑)MCも少な目、唄はゆったりめなのにさくさく進むの巻。
 
実は前夜の高円寺TheWhoジョン・エントウィッスル追悼コンサート、THE WHOOLIGANSのボーカルを担当していた石田さん、ギターなしでボーカルだけだった後半に「飛ぶくらいしかやることなかったんだよ」ってことでぴょんかぴょんか、まあ隣で安東さんがスパスパ飛んでたのもあったんでしょうけど、跳ねまくってたら最後にぶちっとやらかしちゃったらしい…左ふくらはぎ筋肉断裂!
(その追悼コンサートのレポはこちら。振れ幅が面白いのでよかったこっちも読んでみて。https://ameblo.jp/uno0530/entry-12386779355.html‬ )

あとで「ほんとに肉離れなのー?実は攣っただけじゃないの?」などとひどいことを言ってみたのですが(だってほんの数十センチ跳んでただけなのに…)、「いやだってすっげー衝撃でさ、俺、エンリケさんに蹴られたかと思ったもん!邪魔だ、って怒ってんのかなって…」…ってことなのでほんとにやっちゃったらしいです(笑)

ちなみにステージでは1ミリもそんな風に感じさせずに最後まで笑顔で乗り切っておりました。プロだね!
 
そんなわけで最初からゆったりやる宣言していたわけですが。
 
麦わら帽子にアロハシャツ、クロップドパンツにスニーカー。
ラフなスタイルで、椅子にこしかけて。

「あのね、別にけが人だから座ってるわけじゃないんですよ? 今日はこういうリゾート感でやろうと思ってたから、この帽子にこんなシャツで座ってるんですよ、演出ですよ?」
 
この言には軽いブーイングがかかってました(笑)
 
 
そんな高円寺の話から、ライブハウスあるあるの歌で始めるよーの「ライブハウス」。
茶目っ気たっぷりに。
 

 
続いて「(What's so funny 'bout)Peace,Love and Understanding」。
「僕の訳詞なので、よりこの歌の内容は皆さんに伝わりやすいんじゃないかと」

これがとってもよきアレンジで。

弾き語りで聴くのは初めてじゃないんだけど、このテンポは私は初めて…かな…たぶん。少し低く聴こえるのはゆったりしてるからかなぁ。
普段の速いテンポだと爆発的な感じ(パブロック!パンク!)に歌うけど、この夜は言葉をかみしめるようにゆっくりと。
後半の「何を信じれば」の前のギターフレーズがね、めちゃめちゃいいよ!

ラストの「Peace,Love and Understanding」からの「We must have peace,than love for the children of the me generation」も静かな味わいでよかったです、とっても。
 
1年半近く歌いこんで、もう「石田洋介」の歌みたいだね。
 
 

やもとさんがMCで石田さんのYoutubeを見たら野外でキャラクターと一緒で…って話すので、思わずみんなで「そっちを見たのか…」と笑ってたんですが、自分でも「僕がほかの人と違うとこって言ったら、全国のご当地キャラクターと一緒に仕事して、キャラクターのための歌を歌ってるってとこだと思うんだよね」と話してた石田さん。

それだけならまあほかの人でもいるわけだけど、石田さんが独特なのはそことそうじゃないとこの振れ幅の大きさで。
月頭には蛍光色のTシャツ着てキャラクターとともに歌い踊り、翌週には頭にかわいいくもっくるのカチューシャつけて歌い、さらに翌週、青山でエレキギターぶんならし、高円寺のShowboatで爆音の中、肉離れになる勢いで(笑)TheWhoを熱唱し、その翌日こうして自分の曲とそんなキャラクターの曲を織り交ぜて静かに弾き語りし…って…まあ、このバリエーションの豊かさはほかになかなかない。

ということで、キャラソングをとの前置きで2曲。
すんきでげんき、満天の星。
でもこの2曲はキャラソングって言われなければわからないような普遍性の強い曲。
すんきでげんきは先週、青山での3ピースを聴いていて、そこからの弾き語りなので違いがとても楽しい。弾き語りのほうがより歌詞はしみるように思う。
バンドバージョンは熱量だ。
 
満天の星は来週、七夕なのでだんだんぴったりのシーズンになってきた。
この曲をいつか本当の星空のもとで聴きたいんだ。誰か野外コンサートをぜひ!
 
この夜の満天の星は全体がしっとりしたセットリストの中で、しっとりしながらも大きな強さを伴っていました。
静かだけど、強いエネルギーに溢れてて、私たちを強く巻きこんでいく。
石田さんの声にSHOJIMARUの壁がびりっと震える。
圧巻でした。
 


「ワールドカップに間に合わないといけない」「ここからは踊れるやつぱぱっとやってさっと帰るよ!」と笑いながらの「ふたりの屋根」そして「PUZZLE」。
 
ふたりの屋根は、いつものように煽るテンションではなくややクールめでこれはこれで、この夜にはいい感じ。エンディングもいつもよりさっくりとしてました。


PUZZLEも出だしをとってもゆったりやっていて「手拍子したかった?」て笑って言うから思わず「いい!」って答えたけど、ほんとにね、いらないときはいらない。
いつでもひゅーひゅー言いたいわけじゃない。メリハリ。
石田さんも、空気に合わせて変えていく。フレキシブルに。
 
 

フレキシブルといえば、この日「君がいるから僕は歌える」と歌い出して、にかっと笑ってた石田さん。時々そんな風に歌ってくれて、聴衆としてはそんなときに居合わせられると実にハッピーです。
それこそライブならではの瞬間だからね!
最後のコーラスは少人数の割にはみんないい声出してたと思うんだけど、どうかな。

「ロシアにも届いたね!」
 

…日本戦が気になってしょうがない様子の石田さんでした(笑)

でも。平和だからこそ、ワールドカップも成り立つんだ。

ピースしよう!!


このとき22時ちょっと前かな、もうちょっといいんじゃない?とアンコール。
「けが人にまだ歌わせるか!?」とちょと毒づきつつ「まだ大丈夫?」と確かめる石田さんに、SHOJIMARUのPAさんも「大丈夫ですよ、何ならここ、テレビありますし」と即答。
 
「ここでみんなで試合見るってか!? 終わったら帰れねえじゃん、朝までコースか?」
 
それはそれでありだった?
いえ、私は帰りますけど!(笑)
 

「今日はパーさんいないんだよね…ドラム叩いてもらえないけど」と笑いつつ選んだのは「デイ・ドリーム・ビリーバー」。
これがまた素敵でございました。
 
全体に柔らかい音で包んでくれたこの夜。「まだあと1日ある」木曜日にはぴったりのゆるやかなテンション、セットリストでとっても心地よかった。
 
絵面が変わらないのでいつもよりは撮らずに聴いてたのですが、少人数で会話するような空間で石田さんの歌を聴いてることに、なーんか、私、今、すごく贅沢なことしてるなぁとしみじみと。
 
 

仕事でちょっとやなことあってくたびれてた気持ちを、3人のシンガーの歌で吹き払ってもらった幸せな時間でもありました。
芸能のはじまりは歌と踊り、つまり、人間の肉体が生むものがハレの空間を作ってケの穢れをはらってきたわけで、そう思うと、身体の力ってすごいな、と思うわけです。
 
テクノロジーでは絶対に生み出せないもの。
ハレの時間。非日常。音のシャワー。
この夜もそういう時間でした。こればかりは来ないと味わえないもの。
 
テレビ越しのサッカーもまあいいんだけど、僕はやっぱ生の音楽、生の舞台が好きだなぁ、と。ワールドカップに備えて早く帰っちゃった人も多いのかな、でも、この夜の音はそりゃもうよかったんだよ。
 
SHOJIMARUの夜はいつも、特別だ。

 

楽しかった。
また御三方、一緒にやってくれるといいな。石田さんは、肉離れ、お大事に!(笑)
 
Kickin'!