十五分程経ち、グラスの氷もほとんど溶けてしまったころ。ドアベルが静かに鳴った。
入ってきたのは二人の男女。二人とも五十代前半くらいだろう。男の方は肩幅が広く、身長も大きい。女の方は男とは対照的に小さく、とても細い体をしていた。
桑原慎三さんと桑原蛍子さん。彼女の両親だ。
僕が頭を下げると、二人も続いて会釈をした。
「お待たせしてしまったね。外崎くん」
慎三さんが後頭部を描きながら言う。
「いえ、大丈夫です。今日はどうせ暇だったので」
社交辞令の笑みを浮かべて、僕はそう答えた。相手も笑みを浮かべていたが、同じ向かいの席に座ると、それもすぐに剥がれた。
ウェイターがやってきて、彼らの注文を聞いたあと、しばらく沈黙が続いた。
どちらから話を切り出すか。それを探り合っていた。
僕が水を啜る音が響いて、食器の擦れる音が聞こえて、外を通っていく救急車のサイレンが小さくなっていく。
そして一瞬、何もかもが黙った。静かすぎて耳鳴りがするくらいに。
「彼女の.....彼女のことを、教えてもらえますか」
僕が、沈黙を破った。
二人の眉がピクリと動いた。
僕は構わず、先を続けた。
「なぜ彼女が、人を殺めたのか。理由が知りたいんです」
グラスの氷が溶けきった音がした。
作者のコメント
ひどく寒い季節ですね。
手袋が欠かせません。
物語もようやく本番になってきました!
あいも変わらず文章が微妙な感じですが、それを改善すべく、今色々な本を読んでいます。
村上春樹さんの「ノルウェイの森」を読み返したり、
小川洋子さんの「博士の愛した数式」をじっくりと読んだり、
太宰治の「人間失格」を視野を広めるために読んでみたり。
日常生活が大変でありながらも、なかなかに充実しています。
しばらくは他にも色々な本を読もうと思っているので、もしもオススメがありましたらぜひ教えてください。
では、また近いうちにお会いしましょう。