この記事には、いくつか本に関するネタバレがあります。それでもよろしい方は、どうぞ。
いい物語を読み終わると、思わずため息をついてしまう。
私の癖なのか、皆さんもそうなのかは分かりませんが、私はこのため息をついた作品は何度も読み返すことにしています。
もちろん、ため息をつかなかったからよくないと言うわけではなく、ため息をついたものは読んだ中で特に良いものだったと判断しているからです。
今日はそんなため息をついた物語のうち、一冊紹介したいなと思います。
今日紹介するのは、こちらです。
私は『ネタバレ』があまり好きではないのですが、全部を紹介しきると大抵の物語が分かってしまうかと思います。
『ネタバレ』がお好きではない方がいらっしゃったら、先に読んでいただくのもいいかもしれません。
後悔はさせない本だという自信があります。
この本は階段島シリーズの第1作目にあたります。
物語の内容としては、突如として『階段島』という島に飛ばされてしまった主人公、七草(ななくさ)。
その島は誰かに捨てられた人が飛ばされるらしく、七草以外にも多くの人がいた。
静かな島の暮らしに多少なりとも満足した主人公はのんびりと過ごしていた。
しかし、ある日のこと。
七草は海岸で真辺由宇(まなべ ゆう)と出会ってしまう。
彼女は七草の知り合いであり、七草と同じように島へと飛ばされた人間だった。
七草は彼女のことをある意味では尊敬しつつ、ある意味では嫌っていた。
七草はそんな彼女に引っ張られながら、島から出る方法を探し始めるのだった。
こんな感じです。
私が物語を読み終わり、ため息をついた後。
一番にこう思いました。
この物語は酷く美しい。
残酷で、自分勝手で、奇妙で、そして綺麗なのです。
残酷でありながらも美しいというのはなかなか伝わりにくいかもしれません。
しかし私は確かにそう思ったのです。
何が酷く、何が美しいか。
それは人です。
人の醜さや強さがとても綺麗に見えるのです。
例えば、主人公七草は始めから全てを諦めているような人間です。
何をしたって無駄だろう。
悟っているみたいです。
真辺由宇は真っ直ぐすぎる人です。
自分が納得できないことが大嫌いな人間です。
相手の考えや場の空気を読むことができません。
他の登場人物だってそうです。
ゲームのBGMを聞かないと落ち着かない人、
人と直接会話するのを怖がっている人、
この物語の全ての登場人物は何かしら欠点があります。
しかし、そこには強さがあるのです。
真実を言ってしまいます。
彼らは、実は本人ではありません。
七草は七草本人ではないです。
真辺由宇も真辺由宇本人ではないのです。
階段島というのは、人が成長する過程で捨てた部分。
自分が嫌だと思って変えた部分が置いていかれる島なのです。
つまり、この物語の登場人物は、それぞれの人が捨てた(克服した)、自分の欠点が具現化した人(?)なのです。
本当の七草は、すぐに諦めて悟っているようの自分を克服しました。
だから階段島にいるのです。
本当の真辺由宇は、自分の真っ直ぐすぎる部分を克服しました。
だから階段島に来たのです。
他の登場人物もみんなそうです。
この辺りは少し説明が難しいので、実際に読んでいただいた方が早いかと。
この物語の美しさはそこにあります。
全員が欠点そのものなのです。
そんな彼らが日常を普通に過ごそうとしたり、島から出る方法を探そうとしたり、島で起こった事件を解決しようとしたりする。
欠点がこれほどまでに明確に、全員に出ている物語はそうそうありません。
そこが残酷であり、美しいのです。
もう一つ。
この物語は文章が非常に美しいです。
古びた写真が写す、薄い色の夕焼けに包まれた街並み。
そんなどこか懐かしく、寂しさが感じられる文章でこの物語は書かれています。
そこにも注目してほしいです。
......どうでしょうか。
この本を読んでみたくなったりしましたか?
もしそうなっていただけたらうれしいのですが、私の文章で魅力が伝わっているのかどうも不安でして。
とりあえず、読んでください!
後悔は、させません。
読んでいただけるなら、一つ注意(?)を。
この物語は「青春ミステリ」と括られていますが、私が読んだ感覚ではミステリとはあまり言えない気がします。
なので、ドキドキする事件やズバッと解決する探偵の姿を想像して読むのはお控えいただいた方がいいかと。
これからも面白いと思った本はバンバン紹介していきますので、よろしくお願いします。
追記
普段から文章を書いて、文章力を高める。
私事ではありますが、それが今の私の課題です。
そのため、日常に文章が書きやすいこのブログをもっと定期的に行おうかと思います。
また、読んでくださる皆様に不定期な投稿で心配をかけないように、これからは基本的に毎週土曜日投稿をしていこうかと。
小説だけでなく、色々と土曜日に投稿していくつもりです。
事情により少しずれることあるかもしれませんが、何卒よろしくお願いします。
小説家志望 Tai_san
