シニョーリア広場を見下ろす、94mの塔を抱く力
強く 優美なゴシック建築は、かつてのフィレンツ
ェ共和国政庁舎・ヴェッキオ宮殿です。
1299年から1314年にかけて アルノルフォ・ディ・
カンビオによって建設され、メディチ家もピッティ
宮殿へ移るまで、ここを住居としていました。現
在もフィレンツェ市庁舎として使われています。
ここを一躍有名にしたのが、トム・ハンクス主演
ダン・ブラウン原作の映画「インフェルノ」。 私も、
たまたま今年の9月に観たばかりだったので新
鮮でした。
一番の見所は【五百人広間】です。主役のトム・
ハンクスと ヒロインのフェリシティ・ジョーンズが
この広間の屋根裏で、追いつ追われつの 大活
劇を繰り広げていました。
広間の天井と壁は、ジョルジョ・ヴァザーリのフ
レスコ画「マルチャーノ・デッラ・キアーラの戦い」
で埋め尽くされています。ヴァザーリは、この絵
をメディチ家のコジモ1世の命で描きました。
実はこれ以前、この壁画はイタリアの2大巨匠
である、レオナルド・ダ・ヴィンチと、ミケランジェ
ロに依頼されたものでした。ダ・ヴィンチが描い
たのは「アンギアーリの戦い」で ミケランジェロ
が描いたのは「カッシーナの戦い」です。
ミケランジェロの「カッシーナの戦い」は彼の才
能を妬んだ彫刻家バンディネッリによって破壊
されてしまいます。また、ダ・ヴィンチの「アンギ
アーリの戦い」も 画稿を壁に移す段階で 乾燥
に失敗し、剥がれてしまったとのことです。
しかし近年、ヴァザーリのフレスコ画の下には、
ダ・ヴィンチの「アンギアーリの戦い」が 隠され
ているとの指摘がありました。その一部が 《タ
ヴォラ・ドーリア》 といわれるこちらの絵です。
そして、映画「インフェルノ」でも 重要なキーア
イテムとなっている ダンテのデスマスク。 映画
とは違っていて、裏側に回って ラングドン教授
がやったように盗むことは出来ません。
ヴェッキオ宮殿内には、この他にも『フランチェ
スコ1世の書斎』 『エレオノーラの礼拝堂』 『レ
オ10世の間』 『百合の間』 『地図の間』など 様
々な部屋があります。
それぞれに天井画、壁画、そして絵画と、ウフ
ィッツィ美術館にも負けず劣らぬ 素晴らしい芸
術作品を多数 鑑賞することが出来ます。
フィレンツェで このヴェッキオ宮殿に 先導して
くださった 同じツアーに参加されていた岡村さ
んご夫妻には、大変お世話になりました。